孤独な天使たち

ベルナルド・ベルトルッチの10年ぶりの監督作というので、
期待と不安を胸に、シネスイッチへ。
14歳の繊細で引きこもりがちな少年が、スキー合宿をさぼって、
異母兄弟であるお姉さんとふたりだけで、
1週間せまい地下室で隠れて過ごすという青春映画。
映画自体、思春期の危うい官能をうまく表現していると思うし、
このお姉さん役の女優が不思議な美しさを秘めている。
10ccの『I’m not in love』で始まり、
デヴィッド・ボウイの曲でクライマックスを迎えるところも、
観ていてなんだか恥ずかしくなるくらい青春ど真ん中な作りだ。
それにしても、やはり気になるのは、
『暗殺の森』や『ラストタンゴインパリ』を撮ったベルトルッチが、
72歳になり、なぜこのような思春期の少年映画を撮ったのだろうか?
彼のインタビューを見ると、病気か事故か分からないけど、
いつの間にか車椅子生活になったことを知った。
<失意のからの新たな出発>ベルナルド・ベルトルッチ
自分が(病気のせいで)動けなくなったとき、映画監督としての日々は終わりを告げたと思った。もう映画を作らないという思いは、ひとつの章が幕を閉じ、別の章が幕を開けたことを意味する。だが私にはそれが何かわからなかった。自分が動き回るのに車椅子が必要だという事実を納得して受け入れるために、私は苦悶した。そして少しずつ自分の状態を受け入れる“方法”を学んでいった。だがその瞬間から、いつもとは違う位置から映画を撮ることは可能ではないかと思い始めた。立っているのではなく座ったままで、この映画を撮影した私は、また自分が走り出したことを、そして早急に次の映画を作るための準備ができていることを感じている。
72歳のベルトルッチが、3Dを試したり、新しいテクノロジーにも挑戦している。
次はどんな映画を我々に見せてくれるのか、楽しみだ。
★孤独な天使たち http://kodoku-tenshi.com/

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