我が家をリフォームしてくれている大工さんのMさんは72歳。43年もロサンゼルスで過ごして、その後北欧やイタリアを回ったのちに日本に帰国した。
そのMさんの片腕は38歳くらいだろうか。なだ若く細身だけど力仕事が得意なGさん。
そして、2人組の女の子がいて、一人は20代半ばでサーファーのNちゃん。もう一人は30代初めのダイビングインストラクターのEちゃん。
毎朝8時を過ぎたあたりに一座はやってくる。今は汗だくになって解体作業や天井を取っ払う作業をしていて、時々海をじゃらしに来たり、僕がお茶を運んだりしているうちに夕方の5時を目安に家に帰っていく。
最初、この不思議な一座で一体大丈夫なのだろうか?と不安になることもあったのだ。
だって、Mさんはキッチンのシンクの下で混合栓を付け替える時なんかに、「はあーーーーー」とため息をついたり、「オーマイガー!」と突然叫んだりするものだから、何か良くないことが起こったんじゃないかと思ってその度に心配になったのだ。
それに、Gさんは結構ワイルドで、でも時々ブツブツと独り言を言っているので、今何をやっていてどんな問題にぶち当たっているのかが僕にもわかってしまう。
サーファーとダイバーの2人組はとても人懐こくて、宮古島や自分の移住してくるまでの話なんかを気ままに話してくれる。
「一座に任せておいたら、この家のリフォームは、あと1年くらいかかるんじゃない?」
Kがそんなことを言って不安にさせる。
でも、3月に入ったあたりから急にピッチが進んできて、ものすごい勢いで解体作業が進み始めた。
今の僕たちにできることは、この不思議な一座の仕事振りを、kと2人で祈るような気持ちで見守ることなのだ。