家の右隣の土地が細長いブリーチーズのように5坪くらい別の人の土地になっていて、我が家の倉庫がそのチーズみたいな土地にかかって建てられていることは以前ここに書いた。
いよいよ決済をするというときになって測量しさんが計測にきて判明したことなのだけど、これには家の持ち主もびっくりしていて、今まで何十年も隣の土地の上に自分たちのブロック塀や倉庫が架かるように建っていたことを売る時になって初めて知ったのだった。
この隣の土地の持ち主は、幸い売主の知り合いで、今は沖縄本島に住んでいる92歳のおじいさんとまでわかった。僕はそのおじいさんが亡くなる前にこの件をはっきりと精算して欲しく、不動産屋さんに何度もお願いしていた。
もしおじいさんが亡くなってしまったら、土地の所有者が息子さんとかになり、この5坪の土地を譲り受けるのにまた面倒なことになると思ったからだ。
今日はそのおじいさんの妹(75歳くらいのおばあ)が土地を確認しに来ると聞いて、売主さんと不動産屋さんとおばあとで家に来ることになっていた。
僕は必要なかったのだけど、家の庭にも入って確認するようでそのついでにおばあに挨拶をした。
「あら、随分若い人が引っ越して来たのね・・・私たちこの家が売りに出ると聞いて、どうなっちゃうんだろう?と心配してたんだけど、こんな若い人たちが来て本当に嬉しいわ」
おばあは我が家のある上野という地区の生まれで、今でも僕の家の2軒先に家を持っていて親戚ともども別荘のようにして使っているとのこと。
「秋にはいつも豊穣を祝うお祭りがあるからぜひ来てくださいね」
おばあの家は地主のようで、近くの小さな神社のようなところも所有していて、そこでお祭りをやるのだそうだ。
挨拶を終えて夕方、家で食事を作っていると玄関のベルが鳴っ他ので外へ出ると先ほどのおばあが別のおばさんを連れて立っていた。
「近所の人を紹介したいと思って・・・」
「はじめまして・・・その向こうに住んでいる○○です。ウエディング関係の仕事してるんで、何かあったら電話くださいね」
そのおばさんは本当でも大きなウエディングビジネスをやっているようで、仕事のチャンスはないかと挨拶に来たのだった。
「こんな勢いで地元のおばあやおじいがどんどん襲撃してきたら怖いな・・・」Kと2人顔を見合わせたのだった。