Fruits de Mer

家の定番の塩は、とても大切だ。
塩は、食事の中心的な役割を担い、あらゆる料理の味を決めているから。
僕の家では、パスタなどを茹でる粗塩は、日本の天日干しした塩を使い、以前ここにも書いた『藻塩』は、サラダなどにふりかける時などに使い、メインの料理の塩は、写真のゲランドの中でも『Fruits de Mer』を使っている。
塩気の中に仄かな甘味さえ感じる塩は、『Fruits de Mer』ならではで、フレンチやイタリアンのみならず、和食にもきちんと合う。
少し値段が高いなあと思うこともあるけど、調味料は、口から入り料理の味を決めるもの。少々高くても安全で本当に美味しいものを選んだ方が結局は徳なのだ。

水出汁のすすめ。

以前、昆布水のことを書いたことがある。適当な容器に水を入れて昆布を入れておくだけなのだけど、昆布のまろやかな味が水に溶け出し、様々な料理に活用できる優れものだった。
それが最近はどんどん横着になり、昆布に煮干し、鰹節や鯖節などの混合節を入れて冷蔵庫に常備するようになった。
容器は、無印良品で見つけた1リットル用の冷蔵庫の棚にも治るタイプで、尚且つ茶漉しのようなものが中にあるので、鰹節や混合節など、細かなクズが出るものも、いちいち紙のティーパックのようなものに入れなくて済むのだ。
ポイントとしては、水出汁は、8時間くらいじっくり時間をかけて引き出すものなので、前日の晩には水に浸けておくこと。
量の目安としてはお水の量に対して昆布は1割、その他は2割くらいだろうか。僕はかなり適当で少し多めに入れておく。
これで1回使ったらまた水を足して2回くらいそのまま出汁を取り、3回目には全てを鍋に開けて尚且つ水を500mlくらい足して火をつけて沸騰する前に昆布を取り除き、そこに更に鰹節を入れて出汁を引き出す。
忙しい朝でも水出汁があるだけで、慌てずに簡単に味噌汁が出来るのでとても心強い。
水出汁は、主夫の味方です。

熱が出た日に。

朝からなぜだか身体が重く、「眠れなかったからかなあ・・・」と思いながら仕事をしていたのだけど、午後になって外出先で具合が悪くなり、夕方早めに家に帰ってきた。
寒気がするので体温を測ると37.3度。
身体が重たいけど、帰ってくるKのことを考えて簡単にカレーを作って、ご飯を炊いて、サラダを用意して、豆腐に塩とオリーブオイルをかけて待っていた。
仕事の後にゴールドジムに行ってから帰ってきたKは、お腹をすかせていたようで、いつものようにすぐにご飯を食べはじめた。
僕「ちょっと頭が重たくて、寒気がしたから風邪かも・・・」
K「なんでさっき言わなかったの?Kちゃん、ゴールドなんか行かないで帰ってきたのに!」
僕「熱があるだけだから大丈夫だよ」
そう答えてご飯を食べたのだけど、食べ終わったら、「ただしくんはもうシャワー浴びてすぐに寝てあげて!」と言って、僕をリビングから追い出して、洗い物やら明日の朝ご飯の準備やらをやってくれた。
僕は着替えをして、ベッドで好きな本を読みながら待っていると、洗い物を終えて歯磨きをしながら『ちびまる子ちゃん』を見ていたKが終わってベッドにやってきた。
K「まだ熱あるかな?」
心配そうにして僕の額に手をあててみるけど、次の瞬間にはベッドに横になり、僕と手をつなぐとすぐに寝はじめた。
いつもは帰ってくると全部僕が晩ご飯の準備もして待っていて、片付けも僕がやるのだけど、たまに具合が悪いとKが一生懸命手伝ってくれる。
たまにはこうして具合が悪いなどと言って、楽をするのも悪くないな・・・と思った。きっと世の中のお母さんも同じようなことを思っているだろうな。

希望の灯り

今から30年前、ベルリンの壁が壊され東ドイツと西ドイツが1つになった。
あの時のニュースは、遠く離れた日本にも届き、同じ国名でありながら分断されていた社会主義と民主主義がひとつになることがどんなことなのだろうかと想像したものだ。
映画『希望の灯り』は、東西ドイツがひとつになった直後の東ドイツ側にある町のお話。
ある大きなスーパーマーケットに若手の新人が入ってくる。彼は身体中にタトゥーがあるのだけど、それを制服で隠して、規律正しい毎日がはじまる。
テレビのようなストーリー展開に慣れている人には退屈に感じられるかもしれないけど、ここに描かれているのは、東ドイツの町で暮らす普通の人々の暮らしだ。
ソ連型社会主義から一気に民主主義に変わりはじめた社会に戸惑うかのように、人々はどこか影を抱え時々昔を懐かしむかのように毎日を暮らしている。
硬く閉ざされた新人くんの心は、まるで父親のような職場の先輩との触れ合いと、年上の女性との出会い中で解けていく。
ささやかで地味な彼らの毎日は、退屈に見えるかもしれないけど、そんな毎日の中にも、きらめくような美しい灯りが存在しているのだ。
地味だけど映画好きにはたまらない作品。
⭐️希望の灯りhttp://kibou-akari.ayapro.ne.jp/info/top

新宿 今井屋本店

もも肉焼き

ムネ肉の皮巻き

椎茸がたまらないおいしさ

ちょっとランクアップした焼き鳥を食べたい時に利用するのが、『今井屋』。
もも肉やムネ肉の焼いた物がおススメだけど、ぼんじり、セセリ、レバー、ムネ肉の皮巻きなどもびっくりするくらい美味しい。
今が旬のアスパラは、焼くとタケノコのような香りがして、椎茸はふっくらとして濃く豊かな味わい。
庶民的な焼き鳥屋さんの値段よりは高くなってしまうけど、ゆっくりと落ち着いた空間で比内鶏の炭火焼を食べることが出来る。
⭐️新宿 今井屋本店
050-5890-1517
東京都新宿区新宿3-33-10 新宿モリエールビル B1F
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13009212/

和歌山へお墓参りに。

満開の桜

朝7時の電車で和歌山へ。
毎年決まって桜の咲くこの時期に和歌山に来るのは、僕が昔10年間つきあっていたNのお墓参りがあるから。
彼が亡くなってもう5年も過ぎたのかと思うと、未だに信じられないのだけど、僕が29歳から39歳まで、人生を共にした人との思い出は今でも薄れることはなく、紀ノ川を渡る時には決まって彼と車の中で過ごした時間を思い出すのだ。
お墓があるのは和歌山駅よりも更に南に降りていったのどかな駅なのだけど、そこに向かう電車が30分に一本しかなくて、途中、湯浅という駅に着いて30分次の電車を待つ羽目になった。
鄙びた町は、昔彼と一緒に来た時を思い出させ、お墓のある寺に着くと、
「N、会いに来たよ」
と声をかけた。
東京では桜が満開をすでに過ぎていたけど、和歌山は今まさに桜が見頃を迎えようとしていて、桜が大好きだったNが、敢えてこの時期に亡くなったのだろうと思わせてくれる。
ふたりでお酒を飲んで、ゆっくりと話をする。もちろん一方的な僕の話しかける言葉だけだけども、どこかでNが聞いてくれていたらと思うのだ。
金曜日の朝、大阪に行く僕に向かって、Kはいつものように言った。
「Nさんによろしく」
いつかKも仕事がなければ、一緒に和歌山に来たいと思う。
亡くなった人なんて、お墓になんかもういないのかもしれないとも思う。
たとえそうであったとしても、こうして毎年命日にめがけて僕が来るのは、一緒に人生を連れ添った人を亡くした人ならば、きっとわかると思う。
生命や身体は、もう消えてなくなってしまったのかもしれないけど、Nはまだ、僕と一緒にずーっと生きているのだ。
お墓詣りの日は、Nと過ごした日々のことを色々と思い出す。
たとえ周りから色々なことを言われようとも、僕とNは、ある時期において確かに世界一幸福だったのだ。

讃岐うどん 今雪

温かいぶっかけうどん

若鶏天と半熟卵天

くくるの明石焼き

夕方の便で、大阪へ。
このところの多忙による疲れから、軽くいつもの駅の明石焼きを食べた後、晩ご飯は何か軽いものにしようと、ホテルそばの讃岐うどん屋さんに入った。(粉×粉)
家でも朝ごはんにうどんの登場回数は週に1回と多く、少しずつ自分の家のうどんの味を改良しているのだけど、うどんを食べるたびに、いつまでこんな炭水化物が食べられるのだろう…と思うのだ。
60歳を越えた友人たちは、糖質を気にしてうどんや白米を量を少なくするか食べなくなってきている。
50歳の僕は、健康診断で特に何も引っかからないので、今まで通り白米もうどんも食べ続けていられるのだけど、このままいつまでもいけるのかどうか?
それにしても、讃岐うどんにしろ、大坂のうどんにしろ、稲庭うどんにしろ、福岡のうどんにしろ、なんでこんなに美味しいのだろう?
死ぬまで小麦粉をつるつる食べ続けたいと思うのだ。笑
⭐️たこ家道頓堀くくるhttp://www.ekimaru.com/shop/たこ家-道頓堀-くくる/
⭐️讃岐うどん 今雪
06-6316-0826
大阪府大阪市北区神山町3-10 清覚ビル 1F
https://tabelog.com/osaka/A2701/A270101/27067874/

ベランダの春。

ジューンベリー

イチジク

バラ

桜の開花から1週間くらいしたら、我が家のジューンベリーの花が咲きはじめる。小さな蕾が伸びてきたな…と思ったら、ある朝急に咲いているのだ。
時を同じくして、イチジクの粗い枝から小さな葉っぱが姿を現しはじめた。イチジクは、もみじや楓と同じように、葉っぱの芽出しがとても美しいのだ。
バラの葉っぱは凄い勢いで伸びはじめていて、蕾がちらほら顔を覗きはじめた。
毎日毎日眺めていた下の通りの桜の花も、盛りを過ぎて花の中央が赤みを帯びてきて、葉っぱが見え、風に乗って花びらが散りはじめた。
季節が移り変わっていくのを、どんなに忙しくても見逃さないようにと、いつもの道を歩きながら思うのだ。

オレンジ色のチューリップ。

今朝、会社に向かう道を上がっていると、母から電話が鳴った。
母「あなた、もう会社?」
僕「いや、今向かってるところだよ」
母「去年あなたが持ってきたチューリップが咲いたのよ。オレンジ色ですっごいきれいなの…
今朝咲いてるの見つけたからうれしくて、早くあなたに言わなきゃと思って…」
僕「あ、もう咲いたんだ?うちのチューリップはまだ葉が出始めたとこだよ」
母「お父さんもきれいだから驚いてたわよ」
母はそう言ってすぐに電話を切ったのだけど、オレンジ色のチューリップを見ながら、喜んでいる姿が目に浮かんだ。
僕の母は、昔から花という花はどんな花でも好きで、どこかで花が咲いているのを見つけると、わざわざそれを僕に教えるような人だった。
今になってわかることは、僕の母は、そんな些細なことで幸せになれる人だということ。
一度、僕の父と離婚もして、その後も沢山苦労を重ねて、大金持ちになるわけでもなく、この秋で79歳になろうとしている母は、それでも今は最愛の旦那さんを見つけて幸せに暮らしている。
昔はなんとか僕が母を幸せにしてあげなくては…と思い続けていたのだけど、母の幸せとは、毎日の中に咲いた花を見つけるようなことだったのだ。
そんなことに気づくまで、僕もかなり年を取ってしまったな。

怒りの鎮め方。

今日は。はじめて仕事をする有名カメラマンとの打ち合わせで緊張した後、急ぎで移動して別の仕事でクライアントを交えて会議があり、その総勢10名くらいいる場で、僕と上司が激論になってしまった。
言うなれば、表現するもの同士の言い合いで、人前であれほど上司に歯向いながら自分の意見を通したのははじめてのことだった。
打ち合わせが長引いたので、終わったら少し遅く夜は外食にすることにして、Kと家のそばの中華屋さんで待ち合わせて、ふたりで飲みながら食事をしはじめるものの、僕の興奮状態は冷め切らず、そのままヒートアップしていき、Kは相槌を打ちながら僕が話し続けていた。
K「そうなんだ…で、そのおじさんそこでなんて言ったの?ただしくんはなんて返したの?」
僕「いや、俺の企画だから、守らなきゃって必死だったんだよ。
とにかく終わったらヘトヘトになっちゃって…
会議室出たところで、両側にいた後輩の女の子たちに、ごめんね。怖かったでしょう?って聞いたら、怖くて一言も口を挟めませんでした…だって…」
K「はははは!かわいそう。そんなに激しい言い合いだったの?」
僕「あんなこと、会社入ってから経験したことないね…」
僕「まるで、ゴジラ対キングギドラみたいだったよ」
K「あはははは!」
飲んで食べてそんな話をしながら、気がつくと僕の緊張や怒りは、いつのまにかどこかに消えて無くなっていた。
家族って、そういうもの。