ゲイバーで紅白歌合戦を見ること。

大晦日には、石垣島のゲイバー(アナシー)で、みんなで紅白を見ていたのだ。
ゲイバーで迎える大晦日に興奮しているお客さんが数人いて、最初から場はちょっと興奮気味になっていた。
誰かが出てくる度に、誰かが何かキツいことを言い、その相方がつっこみを入れるみたいな不思議な流れが出来上がっていた。
こういったお祭り騒ぎの時のゲイバーの会話は、だいたいこんな感じなのだけど、たとえば松田聖子が歌い出した途端に、
「あ!聖子、音域すっごい下げてる!年だからもう声出ないのね・・・」
この程度の時はまだみんなゲラゲラ笑っていたのだけど、それがやがてだんだんエスカレートしていき、キツいことを言っていた若い子たちが、更にヒートアップしはじめた。
ふと隣のKが僕の服を摘んだので、「どうしたの?」と聞くと、「もう帰ろうよ」と言うのだ。年明けまであと20分くらいなのに、「どうしたんだろう?」と思ったけど、こんなKは珍しかったのでお会計をして外に出た。
K「Kちゃん、もうゲイバーの紅白見に来たくない」
僕「ちょっとうるさかったけど、多かれ少なかれゲイバーでみんなで見る紅白は、だいたいこんな感じだよね」
K「それならもう、Kちゃんはこれからは家で家族と見る。誰も歌手のこといちいちけなさないもん」
僕「そうだね。ゲイバーでみんなで見てると、僕もそうだけど多少発言が大袈裟になっちゃうんだよね・・・きっとみんな悪気はないと思うんだけど・・・」
K「でも、ファンの人があの中にいるかもしれないでしょ?その人きっと嫌な気持ちになっていると思うんだ・・・あんなに貶さなくたっていいのに・・・」
僕「そうだね・・・これからは僕も気をつけるね」
僕は、欅坂が出てきたときに、
「もう4人以上のグループは禁止にしたほうがいいのに・・・」と言っていたのだった。(だって、同じような何十人ものグループが多すぎないだろうか?)
ホテルまでの帰り道をふたりで歩きながら、「僕のパートナーはなんてやさしい子なんだろう・・・」と思っていた。
ホテルに帰ってふたりで『ゆく年くる年』を見ながら、時折聞こえる石垣島のどこかのお寺の鐘の音に耳を傾けた年越しだった。
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