Hとお母さん。

Hは、僕のすぐ近所に住む39歳くらいのゲイ。なんというか、典型的なSO GAYだ。(笑)
ほんの数年前に鹿児島のご両親にカミングアウトをしたのだけど、ご両親にはまったく受け入れられず、まるで何もなかったかのようにその話題にはお母さんも触れなくなっていた。
それが、久しぶりにお母さんが、鹿児島から東京のHの家を訪ねてくることになったという情報が、神宮前二丁目ファミリーの中で駆け巡ったのだ。
「日曜日の夕方、『irodori』におかんと行きます」
 
そんな情報を聞いて、僕も紀伊国屋で買い物を済ませ『irodori』に向かうと、お母さんとHと、なんとHの恋人のKeまでいるではないか!これはいきなり、自分の恋人まで一気にお母さんに紹介するようだ。そこへ、Hの弟さんとフィアンセも加わり、なんだかなんでもありのような大所帯になった。
お店に入るなり、お母さんにご挨拶をした。
お母さん「あらあ、Hがいつもお世話になっております」
僕「いやいや、僕の方こそ、いつもHちゃんにお世話になってるんです」
僕の後に、神二のファミリーが続々と駆けつけた。ゲイ、ビアン、オナベ、ノンケ・・・なにもかも入り乱れて、お母さんにはもうセクシュアリティなんてよくわからないんじゃないかというくらいに。
帰り際、みんなで集合写真を撮って、お母さんは安心しているのがわかった。こんなにたくさんの友達に囲まれているなんて・・・と思ったみたいだった。そして、ふいにお母さんの口から、「LGBT]という言葉が出た。
僕「お母さん、LGBTなんて言葉ご存知なんですか?」
お母さん「知ってますよ。あれから私も随分勉強したんです・・・」
Hには言わなかったのかもしれないけど、お母さんはお母さんで、Hのカミングアウトを受け止め、自分の中でゆっくりと理解しようとしていたのだった。
温かい仲間たちに囲まれて大きく笑うHを見て、僕もとても幸福だった。別れ際、お母さんは何度も僕たちに頭を下げていた。
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