はじまりの街

大好きなイタリアの女優『マルゲリータ・ブイ』が出ているので思わず前売り券を買っておいたのだけど、週末は2週連続で東京にいなかったので岩波ホールでの上映が終わりそうになり慌てて観に行った作品。
ローマで暮らしていたアンナ(マルゲリータ・ブイ)は、夫のDVが激しくなり、13歳の息子ヴァレリオを連れて学生時代の友人カルラ(ヴァレリア・ゴリーノ)を頼りにトリノへ向かう。
カルラは結婚もせず演劇を続けている気ままな一人暮らし。決して広くはない家に親子で転がり込んだのはいいが、はじめての土地や学校に慣れないヴァレリオは、母に反抗するかのように荒っぽく当たるようになる。
映画はとても地味で、淡々と流れてゆくのだけど、僕の家の境遇と重なるところがありずっと映画の中に入り込んで見ることができた。
夫から隠れて暮らしながら収入もなく、見知らぬ土地で生きることを選んだ母親の決死の思いが伝わってくる。
揺れ動く13歳の繊細な感情を、少年はとてもうまく演じている。
母親の友人役のカルラ(ヴァレリア・ゴリーノ)は、『レインマン』『リービングラスベガス』にも出ていた女優だけど、奔放でやさしいイタリア女になりきっていて素晴らしい。余談だが、友人が本当に困った時に、カルラのように全てを差し出して助けてあげられるような人が、本当にやさしい人なのだと思った。
イタリアの至宝『マルゲリータ・ブイ』のやつれたおばちゃんになりきった演技はさすがだ。秋が深まってゆくトリノの町の紅葉が息が止まるほど美しくおさめられている。
⭐︎はじまりの街http://www.crest-inter.co.jp/hajimarinomachi/

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