夕方、晩ごはんを準備していると、キッチンから見える裏庭に車が止まって、40代くらいの女性が車から降りて伸びをしているのが見えた。
「あれ、娘さんかも・・・」
娘さんと言うのは、この家の前の持ち主の末娘さんのことで、僕たちの家の裏の空き地を持っている女性。
しばらくすると玄関の呼び鈴が鳴ったので出てみると、そこにはその娘さんと前の持ち主の70代のお婆さんが立っていた。
「明日は1日なので、お墓にお花を持って行くので花を取りに来ました」
僕は、2人を連れて庭を案内しながら、植え直したブーゲンビレアやバラや宿根草を見せた。
「こんなに綺麗にお花を咲かせてくださってありがとうございます」
娘さんは花々に感動したようで、何度もお礼を言った。
「あそこにあった白い蔓の植物は切ってしまったのですか?あれはいい匂いがしたのだけど・・・」
「あ、マダガスカルジャスミンですね・・・あれは蔓がそこらじゅう絡みついていたので思い切って伐採しました」
ふたりは庭を懐かしそうに眺めては、目を輝かせていた。
今までにお婆さんがこの家にきたのは3回くらい。旦那さんや3人の子どもたちと暮らした日々を、今でも大切に思っているのがわかる。
「またいつでもお花を取りに来てくださいね」
そう言って2人を見送ったのだった。




