海、久しぶりの留守番。

僕たちが裁判に向けた合宿に行くため、午後から家を空けることになった。

海をどうしようか直前まで迷ったのだけど、1日預けるほどでもないし、帰りの時間が見えないので時間単位でお預けしても帰りに引き取れない可能性もある。

考えた末に結局午後から家を出て8時間以内には家に戻れるだろうということで海だけ一人留守番させることにした。

4時間くらいまでならば狭いクレートの中で留守番。4時間から8時間くらいまではケージに入れて留守番。なんとなくそんなルールを作っていて今年の春くらいまでは僕もしょっちゅう東京に出かけていたので留守番させる機会も多かった。

でも、4月くらいからはほとんど僕が東京に行く機会もなくなったので、海はほぼ毎日一日中僕と一緒にいるということに慣れているに違いない。

ケージ内にお水を入れて、おもちゃも入れて、Kが心配なのかビデオをセットして出かける。

ケージの上はテントのような帆布が四隅を密着させて覆っていて、外へは出られないようになっている。いつもはこの上にドアを置いて、その上に荷物を入れたトランクを載せて出かけていたのだけど、今回はバタバタしていたこともあり帆布のまま出かけた。

東京で練習が終わり、新幹線に乗った僕たちはずっと「海さんはどうしているかね?」と話していた。

いつもは車で一旦家の前まで来て過ぎてからUターンして戻ってきて止めるのだけど、家の前を通った時にKが言った。「あれ?今、海のシルエットが見えたみたい・・・」「え?気のせいでしょ?」

車を止めて、玄関へのアプローチの階段を上がっていくと、海が窓辺に座りながらこちらをじっと見ているシルエットが浮かび上がった。続いて長く大きな遠吠えが聞こえた。「ウオーーーーーーン!ウオーーーーーン!」

「あ!海さん脱走しちゃってるよ!」「ほんとだ!」

海がまだ小さな頃に長時間の留守番をさせると、僕たちが帰ってきた時には自分だけ一人ぼっちにされた海がうんちまみれになっているのを何度か経験していた。今回、海はまた一人ぼっちにされた腹いせに何かいたずらをしているに違いないと恐る恐る家の中に入って行った。

海は、「僕だけ置いていって、バカバカバカ!」と起こりながら、でも狂ったように歓喜しながら出迎えてくれた。

家の中を一つ一つ点検すると、洗濯物入れから一つKの靴下を持ってきていたこと以外は、他には何もいたずらはしていなかった。

うんちまみれのベッドやソファもなく、障子やふすまや壁に八つ当たりした形跡もない。キッチンの食材を食べた形跡もないし、家具をかじった跡もない。

あとでビデオを再生したところ、海はケージの上の頒布の隙間から軽く出たようで、特に騒ぐでもなく普通に窓辺に行って僕たちの帰りを待っていたようだった。

幼い頃には何をするかわからなかった野生児が、まもなく1年になる年月を経て成長していたのだった。

長い留守番をさせてしまった海の身体を抱きしめたら、いつも嗅いでいる海の焦げたような匂いがした。

カテゴリーdog

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です