仙台へ。

駅で食べた牛タンカレー

『OUT IN JAPAN』 の仙台での撮影が1週間前に迫って来たため、早朝の新幹線でGといっしょに仙台日帰りの旅へ。大宮から、新幹線1時間半くらいで仙台に到着するんですね。知らなかった。
久しぶりに来た仙台の町は、道幅が広く、すっきりと整備されている。
『OUT IN JAPAN』のプロジェクトでこの1年間で撮影した町は、東京を除くと、大阪、福岡、名古屋、そしてこれから撮影する仙台。どの町も、そこに住む人々との出会いに胸を躍らせ、一人一人と向き合い、お話する機会に恵まれ、他では出来ない貴重な体験をさせていただいたと思っている。
今回、震災後であり、日本の中でも最も保守的だといわれている東北地方で、この『OUT IN JAPAN』の撮影会をすることは、様々な心配事がよぎることもあり、僕たちスタッフも身を引き締めてのぞんでいる。
20日の午後に予定している『CLOSET IN JAPAN 私がカミングアウトしない理由』という座談会もあり、東北で暮らす人々の暮らし方や違いを聞くことを、今から楽しみにしている。
打ち合わせは、東北のスタッフ7名と、東京から来た僕たち2名でおこなわれた。撮影前日から当日までの大きな流れを、みんなで分単位で確認して、共有すること。打ち合わせをしながら思ったことは、仙台のチームは、とても慎重だということ。細かな確認ごとも怠らないし、勢いやノリに流される感じがほとんどない。
帰り際に歩きながら、まだまだ当日の心配で頭がいっぱいのようなスタッフの人に僕が言った。
「1週間後の撮影会、ほんと楽しみですね。
きっと、みんな感動して、あたたかい気持ちになると思うんです。
そのことを想像するだけで、僕もなんだ胸がいっぱいになります」
帰りの新幹線の中で、心配顔だったスタッフの人からメールが送られて来た。
「何かを充填できた感じです。よろしくお願いいたします」
みんなの気持ちがつながって、今回の撮影会があたたかい笑顔に包まれますように。

OUT IN JAPAN その後の問題。その2

OUT IN JAPAN の撮影に出てくれた友人のMから突然切羽詰まったLINEが入った。ちょっと元気がなかったので、一緒に晩ごはんを食べることにした。
Mの話によると、Mの会社の自分の部下が事件を起こし、人事部にことの次第を話して目の前で解雇されたとのこと。その時に、人事部長の前でその部下が、いきなり啖呵を切りはじめたそうだ。
「じゃあ、言わせて貰うんだけど、お店やってる人が、ネットにこんな写真晒していいんですか?
会社に迷惑かけてるし、こういうことは、お客さんも嫌悪感をもつ人いるんじゃないんですか?」
そう言って、『OUT IN JAPAN』のMのページを人事部長に目の前で見せはじめたそうだ。
ひとしきりその画像を見た人事部長は、「会社的には、そのような活動をすること自体、全く問題ないし、そもそもこの活動と今回のあなたの処分には、なんの関係もないですよね」という冷静な対応だったようだ。
知識がないのはしょうがない。戦後、日本の社会では、セクシュアルマイノリティの存在は、ほとんど知られていなかったか、変態のような扱いをされ続けてきたからだ。
でも、Mを陥れようと思ったのか、彼が腹いせのように人事部長に暴露するという行為から見えるものは、彼の中にあるホモフォビア(ホモを嫌悪する気持ち)だろう。
それは、彼の中に、ゲイ的な要素があるから、それを自分では認めたくないために起こっている憤怒なのかもしれない。
同性愛に対して極端な憎悪を持つ人は、たいてい自分の中の同性愛的要素を受け入れられずにいることが多い。もし、彼が同性愛に対して、なんの興味も関心も持っていなかったとしたら、ただ気に留めないか、無視すればいいだけの話だから。
いずれにせよ問題は、Mにあるのではなくて、彼の中にあるということだろう。
OUT IN JAPAN の活動を通して、このような問題が浮かび上がるのは、僕が知る限りこれで2件目だ。1件目は、以前ここに上げた、学校の先生が、校長先生に、「今すぐOUT IN JAPAN のあなたのページを削除するように!」と言われたこと。
これも明らかに、校長先生が知識がないから、あるいは、校長先生が今まで受けてきた間違った教育のせいなのだろう。
こうした問題が浮上することは、当事者にとっては快くないことだけど、改めて問題に気づかせてくれるという点においては、とても重要なことだと思う。
日本中いたるところにおいて、この手のことは未だに普通に起こっていることなのだろう。

OUT IN JAPAN 東京1000人達成記念撮影会

妹のようなGからLINEが来て、一緒に『神場』でごはんを食べた。
『 神場』は、新宿三丁目にある小さなごはん屋さん。マッチョでかわいいシンさんという大将と、気立てのいいハナちゃんという女の子だけでやっている。
カウンターがあって、小さなテーブル席が2つある。お客さんは、ほぼゲイかゲイに連れられてきた人だろうか。逆に、ストレートの一見さんは、お断りされるくらいゲイによるゲイのための憩いの場といった感じ。シンさんが丹波の人だからか、旬の食材を使った関西風のお出汁の効いた料理は、いつ食べても飽きることがなくほっとする美味しさだ。
シンさんを見ていたらふと思いついて、シンさんに、『OUT IN JAPAN』の東京撮影会に来ませんか?と誘ってみた。
するとシンさんは、「なんですか?それ?」と聞いてきたのだけど、僕たちが簡単に趣旨を説明すると、二つ返事で「いいですよ」と快く引き受けてくれた。
実は、周りの友人たちを見回してみても、この『OUT IN JAPAN』のプロジェクトに参加してくれそうな人は、なかなかいないのが現実だ。一見、カミングアウトしているように見える人でさえ、親にバレるのが怖いとか、仕事場や得意先にバレるのはちょっと・・・などと言って、断ってくるケースがほとんどなのだ。未だに僕たちセクシュアルマイノリティマイノリティにとって、カミングアウトのハードルはとてつもなく高いのだろう。
「僕たちはもういいんです。こんな年だし。でも、これからの若い世代のために、少しでも生きやすい世の中になって欲しくて…。セクシュアルマイノリティの若い子たちに、いじめやうつ病、自傷行為や自殺が圧倒的に多いなんて、そんなこと、今すぐどうにかしなきゃいけないと思うんです」
気がつくと、僕はそんな話をしていた。
いつの日か、「LGBTとか言って騒いでいた、そんな時代もあったねえ…」と、言える時代が、少しでも早く来てくれることを願っている。
⭐︎OUT IN JAPAN 東京1000人達成記念撮影会http://goodagingyells.net/join/

粉だし。

『粉だし』をはじめて日本で紹介して広めたのは、僕の知る限り、料理研究家の山本麗子さんだと思う。今から15年ほど前に、『粉だしで極上シンプルだし宣言』という本を出されたからだ。
戦後、経済発展とともに化学調味料が当たり前のように浸透してしまった日本の食卓では、もはや出汁を引くという行為自体が面倒くさく感じられて、どんどん日常から離れてしまっているのが現実だろう。
そんな中で、和食の神髄ともいえる天然の出汁の旨味を、なんとか家庭の日常使いの中で遺すべく、様々な工夫がなされてきた。その中の一つが、前回ここにもあげさせていただいた、『昆布水http://jingumae.petit.cc/banana/2532970』であるし、今日ここに取り上げる『粉だし』だろう。
なぜこの二つを僕がおすすめするかというと、
1.作るのがカンタンだから。
2.使うのもカンタンだから。
3.保存が利くから。
<作り方>
『粉だし』は、鰹節、鯖節、いりこ、昆布など、出汁の出るものならなんでもいいのだけど、それをハンドミキサーやブレンダーに入れて、粉々に細かく砕くだけ。
<使い方>
お吸い物、炒め物、煮物など、一振りするだけでぐっと旨味が加わり複雑な美味しさに早変わりするのだ。
鰹節の粉だしをほんの少し入れて熱湯を注ぎ、味噌を溶けば、みそ汁の出来上がり。
鶏もも肉に薄く塩味をつけておき、熱くした昆布水にほんの少し鰹節の粉だしを入れて、新タマネギと人参を煮る。火が通ったら、ほんのり薄口醤油と塩で味付けをしたあと、鶏もも肉に片栗粉を軽くまぶして一緒に煮て、火が通ったら最後に小松菜など青物を一緒に入れて添えると、とても美味しい煮物が出来上がる。
粉が気になるのではないかと思われるかもしれないけど、みそ汁でも煮物でも、日常使いならば全く問題ないと思う。むしろ、なんだか栄養を直に摂っている気さえするくらいだ。
ミキサーに入れて粉々にすること自体が面倒という方には、写真のような粉々にした鰹節や昆布が、『うね乃』などのお出汁屋さんで売っているので試してみて欲しい。(ここで気をつけなければいけないのは、原材料の中に、余分な化学調味料などがはいっていないこと。あくまでも、鰹節、昆布、いりこなど、自然の原材料だけで十分美味しいからだ)
昆布水と鰹節の粉だしさえあれば、お出汁を使った日常のほとんどの和食は作れると思う。

『OUT IN JAPAN 』震災後の東北、仙台へ。

震災後、気がつくと東北には長い間行っていない・・・。
東京で暮らしていると、あれから5年も経ったのか・・・と思うのと、あの時に味わった恐怖も次第に薄れ、震災の傷跡も風化しつつあるような錯覚に捕われてしまう。
『OUT IN JAPAN』の撮影会が仙台でおこなわれることになり、東北を訪れる機会がやって来た。震災後の東北地方の人々の暮らしも僕たちはよく知らず、また、東北地方のLGBTの置かれている状況も、東京とはあまりにも違うと聞いている。
今回、『OUT IN JAPAN TOHOKU PROJECT』というプロジェクトが立ち上がり、撮影の期間、様々なイベントが執り行われることになっていて、中には、『CLOSET IN JAPAN 私がカミングアウトしない理由』という企画もあるのだ。
カミングアウトとはそもそも、個人的な環境(それぞれの家庭や仕事場・学校などの環境)によるところが大きいので、誰もが同じように等しくカミングアウト出来るわけではないのだと思う。まして、東北での学校や職場、家庭の環境は、東京の一般的な環境とは大きく違っているのかもしれない。
今まではハッキリとは顕在化しなかったこのような問題も、今回の『OUT IN JAPAN』をきっかけに注目され、話し合いの場が持たれるということ自体、とても興味深いことではないだろうか?
★OUT IN JAPAN TOHOKU PROJECThttp://tohokurainbowportal.jimdo.com/kanrenkikaku/
◎『OUT IN JAPAN 石巻被災地ミニツアー』3/20(日)午前
◎『私がカミングアウトしない理由〜CLOSET IN JAPAN〜』3/20(日)午後
◎『トークイベント「震災とLGBT〜当事者からの思い、当事者への思い」』3/21(月)午前
◎『OUT IN JAPAN 撮影会』3/21(月)午後から夜
★東北では、他にも様々なイベントが行われています。
http://tohoku-monogatari.org/lp/index.html

OUT IN JAPAN ✖️ プリシラ

OUT IN JAPAN ✖️ 東宝ミュージカル『プリシラ』とのコラボレーション企画で、日本で活躍するドラァグクィーンが出演することになった。そして、そのためのオーディションが急遽行われた。
急な応募だったにも関わらず、12人ものドラァグクィーンが集まり、オーディション準備会場は華やかなショーの舞台裏のように盛り上がっていた。
僕は仕事でオーディションをするのは時々あるのだけど、ドラァグクィーンのオーディションを見るのは、もちろん生まれてはじめてのこと。
与えられたティナターナーの歌を口ずさみながら化粧を続けるドラァグクィーンたちは華やかで、ところどころで笑いを誘った。
オーディション前にレスリーが現れ、軽く打ち合わせ、そして、演出家のAさんにみんなで顔合わせに行くと、20年ぶりくらいだろうか、久しぶりに会ったAさんはびっくりしていて、思わず、「お互いにもっとずっと若かった頃から知ってるよね…」などと言って周りを笑わせた。
オーディションは、1人ずつ前に出て、ピアノに合わせてティナターナーの歌を歌う。まさに、コーラスラインのように。
演技で見せようとする人、歌で聞かせようとする人、ドラァグクィーンらしい演出で魅せる人…緊張感の張り詰めた現場で歌う様は感動的だった。
『OUT IN JAPAN』は、東北ではじめてとなる仙台での撮影が3月末にあり、その後4月に東京での2日間の撮影によって、総勢1000人を越える撮影を達成することになる。
⭐︎プリシラhttp://www.tohostage.com/priscilla/

春の訪れ。

週末の台北は、初夏を思わせる暖かさだったのだけど、東京もどうやら暖かかったようで、帰って来てベランダに出ると、バラの新芽が一斉に動きはじめていた。
これから桜の季節に向けて、ぐんぐんと芽が伸びて葉っぱが開きはじめる。
この季節、ベランダの植物を見ていると、驚く早さで成長し変わってゆくのがわかる。
バラをはじめ、落葉樹の多い僕のベランダは、冬の間は枯れ木の庭なのだけど、早春から初夏にかけて、天国なのではないかと思うほど、変化の富んだ葉に驚かされたり、美しい花々が咲き誇る。
新しい家で、はじめて迎える春の訪れを謳歌しながら、1日1日その変化を見届けたい。

旅の醍醐味。

よく一緒に旅行しているXが仕事で台北行きを決めたので、僕も台北に来たのだけど、もうひとりの友人KRとLINEのやり取りをしていたら、KRもこの週末に台北行きを決めていたようで、偶然3人が台北で会うことになった。
土曜日の夜に、久しぶりにシンガポールの友人カップルからLINEが入った。3月に鹿児島に来るようで、その時のレストランの予約の件だったのだけど、僕が台北にいるよと送ると、びっくりして、彼らも台北にいることがわかった。それもなんと同じホテル!
そこで、夕方、ホテルのクラブラウンジで待ち合わせをして軽くお酒を飲みながら、久しぶりにシンガポールの友人カップルと食事をすることができた。
旅というのは不思議なもので、偶然と偶然が重なり、予期せぬ出会いが起こり響きあう。
食事の後、西門町に行くと、Xをはじめ、台湾人の友人たちがどこからともなく集まっていて、あっという間に12人を越す団体になった。
何も連絡をしていなかった台湾人の友人にも偶然会えたり、ソウルからも韓国人の友人が来ていたり、それもこれも、台北という町だからこそ起こりえたのだと思う。
深夜まで、偶然集まった友人たちとともにGoldfishで飲みながら、バカみたいに大きな声で笑い合った。
こんな風に20年後も、友人たちと台北で笑い合えたらいいなぁ。

Red Circle

台北に来たのは、台湾人カップルのEとRが、台北にカフェをオープンさせたから、そのお祝いを兼ねてというのがひとつの目的。
お店は、松山空港のすぐそば、富錦街464號 FuJin Streetと言うお洒落なカフェやアンティーク屋さんなどが立ち並ぶ並木道にある。
台北の雑踏からは離れた緑が広がる道にあり、東京のどこかに例えると、代官山だろうか。
店内は、北欧の椅子などが置かれ、アンティークのレコードやアルバム、古き良き時代の映画のビデオなんかが置いてある。友人Eと、映画監督と、デザイナーの3人でお金を出し合って作ったと言う。
机の上には、雑貨や積み木なんかもあり、お客さんは自由に遊んでいる。
そんなアンティークのスピーカーもレコードも雑貨も何もかも、実はすべて販売しているという。
カフェのメインは、ル・コルドンブルーで学んだRの作るシフォンケーキだ。特に有名なものは、檸檬を使ったシフォンケーキで、爽やかな香りが広がり、甘すぎずあとを引く美味しさ。チョコレートのシフォンケーキも、とても美味しかった。
コーヒーや紅茶にも凝っていて、そのうちに抹茶と煎茶の美味しいものを探してお店に置きたいと言うので、お祝いの品物は、京都の開化堂の茶筒にした。茶匙に、『Red Circle』の文字を彫ってもらったのだ。
店内は、アナログなレコードが流れ、懐かしい時代の緩やかな空気が漂っている。のんびりと心地のよい時間を過ごすことができるけど、土曜日日曜日の午後は、まるでゲイパレードのようにゲイのお客さんが押し寄せるそうだ。
こんなお店、まだ東京にはないけど、いつか自分の好きなものに囲まれたカフェを持つのもいいだろうなあと、楽しい想像に耽った。
⭐︎Red Circlehttps://m.facebook.com/RedCircleCake/

徐州府。

鴨とタロイモとホタテの湯葉揚げ

包んで食べる

白菜の酸っぱい春雨炒め

台北に着いて、人々がそのまんま、剥き出しで暮らしている様子を見ると、なんだかホッとする。道を行く若いカップルなんかが、本当に仲良く幸せそうに歩いているから。
今回の台北では、これまた偶然に友人たち2人が同日で入って来たので、それに台湾人の友人を入れて食事をすることにして、アンアンの台湾特集を持っていた友人が行きたいと言って予約してくれた、中国の徐州の料理店へ。
店は、普通に歩く大きな通りにも面していないし、地味な外観なのだけど、運ばれてくるお料理はどれも美味しかった。
中でも変わっていたのは、鴨とタロイモとホタテなどが入った具材を湯葉で揚げたものを、ネギとソースをつけて皮で包んで食べる料理。
なんだか、貧乏人のための北京ダックのようだけど、これが不思議な味わいで美味しかった。
小さなハマグリのスープも絶品だし、酸っぱい白菜と春雨を炒めたものも、インゲン炒めも絶品。最後に菜飯と書いたものをもらったのだけど、土鍋に入ったチャーハンのようなもので、素朴な味わいにみんなも喜んでいた。
台湾で食事をすると、味が濃いので途中で飽きてしまうことが多いのだけど、この店の料理はどれもソースや調味料に頼りすぎていなくて、とても優しい味わいだった。
旅行ガイドに載っている店は、宣伝も兼ねているのか、何年間もずっといつも同じ店が載っていることがあるけど、雑誌の特集は、その時その時の魅力のある店を、ガイドブックよりもよくつかんでいるのかもしれない。
夜はGoldfishhttps://m.facebook.com/goldfishtaipeiに久しぶりに行き、オーナーカップルのトミーとレイに会ってハグをした。
この店でのんびりとお酒を飲んでいると、ほのぼのと幸せを感じることができる。
⭐︎徐州府https://m.facebook.com/XuZhouFu