伊吹。

香港から友人のJohnとSamのカップルが東京に遊びに来たので、西新宿の『伊吹』ですき焼きをいただいた。
この店は、昭和25年に新宿で創業したというすき焼き屋の老舗。昔は東口にあったのだけど、西口に移転して規模を縮小してコスパもよくなったようだ。
外国人の友人たちは、和食の中でも特に『すき焼き』が好きだ。リッチな友人ならば、いつもは赤坂の『よしはし』に連れて行くのだけど、『よしはし』は、飲みも入れると一人2万円はかかってしまうのだけど、この『伊吹』は、すき焼きがなんと3400円!!!昨夜は一人、4200円という驚きの安さだった。
『すき焼き』で一番重要なことは、『肉の質』と『わりした』の味だろう。伊吹の肉は、日によって仕入れ先が違うのだけど、昨夜食べた肉は栃木産で、柔らかく素晴らしかった。また、わりしたは、今半よりも軽く、甘すぎずべたつかない。なんというか、接待向きのこってりとしたすき焼きではなくて、家庭的で飽きのこないすっきりとしたわりしたなのだ。
Johnたちは特に働いていないくらいお金持ちなのだけど、すき焼きをこんなに安く、しかも美味しく食べられたことに感動していた。
★伊吹http://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13136926/

龍の子。

牛肉とナッツ炒め

麻婆豆腐

お粥

原宿の竹下通りを出た右側すぐのところに、『龍の子』はある。
僕が高校生の時にすでにお店はあったから、どれくらい長いのかと思ったら、四川料理を日本に伝えた陳健民さんに師事をして、このお店のオープンは1977年だそうだ。久しぶりにのぞいた『龍の子』は、ゴルフ帰りの大将もご機嫌で、友人たちと楽しそうにワインを飲んでいた。
もともと、中華料理を好きではない僕にとって、四川料理だけが唯一心誘われる料理なのだけど、北京に行っても、上海に行っても、四川料理の専門店を探しては、食べ歩いたりしているくらい好きだ。
日本ではなぜか、本場の辛い四川料理はあまり根付かなかったようで、今でも麻婆豆腐というと甘いものが90%くらいではないだろうか?
一度、母をこの店に連れて来た時に、思いがけず美味しかったらしく、またここに食べに来たいと何度か言っていた。そして今回、台湾人の娘のKeを連れて行ったのだけど、Keもこの店に魅せられたようで、「今まで日本に来て食べた中華料理の中で、ここのお料理が一番美味しいです」と言っていた。
僕も久しぶりにしっかりと山椒のきいた複雑な味の麻婆豆腐を食べることが出来てとても満足だった。
一緒に食事をしていた大将の友達3人が、帰る時にお金を払おうとした時に、大将は「今日はいらないから!」とレジの女の人に言って、払う払わないのやり取りがあったけど、結局大将の太っ腹に負けて、お客さんは喜んで帰って行った。
その後、大将は僕たちに、自分たちのロゼのシャンパンをごちそうしてくれて、うれしそうに笑っていた。
きっと大将は、お金儲けとかあんまり出来ない人なんだろうけど、僕はそんな大将のような人がとても好きだ。
★龍の子http://tabelog.com/tokyo/A1306/A130601/13001219/

台湾スイーツ。

隈研吾の建築したSunnyHills

春水堂

マンゴーチャチャにて

このところ、台湾のスイーツが青山から原宿に続々と出店している。そんな話しを台湾人の娘Keと話していたら、[お母さん、一緒に食べに行きましょうか・・・!」となり、行ってみた。
★SunnyHIllshttp://www.sunnyhills.co.jp/news.php
隈研吾の建築で有名で、南青山の一等地に建った一軒家。パイナップルケーキなどが試食をしながら買うことが出来る。
★春水堂http://www.chunshuitang.jp/
台湾では食事も出来るらしいけど、日本では『タピオカアイスミルクティー』で有名なお店。Keはちなきを食べながら、「懐かしい」と目を細めていた。キャットストリートの隣の道に面していて、平日のためか客も少なく、のんびりと過ごすことが出来る。店内のインテリアも凝っていて、台湾らしい清々しさに満ちている。
★マンゴーチャチャ http://mangochacha.jp/
竹下通りを出て明治通を越えてまっすぐ。マンゴーデザートの専門店は、土日は1時間半待ちだそうだ。最高級のマンゴーを使ったデザートを食べることが出来る。日本ではマンゴーがとても高いので、このお店でも3人分の巨大なマンゴーデザートは3000円くらいしていて驚いた。
台湾に行って町を歩いていると、そこかしこにデザート屋さんがある。僕は甘いものが好きではないので食べないのだけど、若者はとても美味しそうに食べているのを見て、熱い台湾には欠かせないものなのだろうなあと思っていた。青山原宿のおしゃれエリアで、台湾スイーツは今後、受け入れられてゆくだろうか・・・。

敦煌。

春巻き

つみれの春雨スープ

焼きそば

今年日本の会社に入社したばかりの台湾人の友人であり、娘のように可愛がっているKeと、16年間通い続けている曙橋の店『敦煌』へ。
前にもこの店のことを書いたことがあるのだけど、大将とは昔、一緒に福岡に旅行したことがあって、とても仲良くしてもらっている。
四川料理を学んだ大将は、化学調味料に頼らない、健康的でシンプルな料理を出してくれる。
ロメインレタスの和えものは、和食のようでいて、イタリアンのようにも感じるし、いつもの春巻きは、胡瓜が熱々で入っていて触感が素晴らしい。
セロリと豚の舌の四川風和えものはお酒に合うし、鳥肉のつみれのスープは、ほっとする慈愛に満ちた味だ。
奥さんの作る定番の小さな水餃子は、いつも僕の大好物で、もっともっと食べたいと思ってしまう。Keは、この水餃子が気に入ったらしく、「懐かしい…」と言いながら遠い目をしていた。
焼きそばは、パリパリの硬い焼きそばと少ししっとりした焼きそばともやしが、触感の違いを出していて、ソースに頼らないあっさりとした味付けにパクチーの微塵切りが重なり複雑な旨味を醸し出す。
台湾のお茶に目を潤ませて、デザートの生姜のプリンを食べるKeは、本当に美味しかったらしく、満足げな笑みを浮かべながらお皿まで舐める始末…
「美味しかった〜!
ありがとう!お母さん!」
★敦煌 http://s.tabelog.com/tokyo/A1309/A130903/13000935/
ご夫婦でやっている狭いお店なので、必ず予約を。

前田。

木屋町の櫻川にいた前田さんが独立して店を構えたのは、つい最近のこと。新進で勢いのある割烹ということで行ってみた。
建仁寺に面して、祇園の南側に位置する店は、すっきりとしていて装飾がなく、トイレも石鹸さえも置かない徹底ぶり。カウンターは、アメリカンチェリーの一枚板というのも珍しい。
大将ともう一人だけで、10人くらいのカウンターをさばくサービスはさすがだ。
写真撮影禁止と言われていたけど、緊張する店ではないのは、大将の謙虚で穏やかな笑顔の成せる技。
どの品も京都らしい美しさに溢れていて、思いのほかクラシックな料理を見せ方で工夫している感じだった。
品数も多く、後半は満腹になること間違いない。
しいて言わせていただくと、ここでしか味わえない一品が欲しいと思うけど、素晴らしいお店。
お品書き
青梅
稚鮎とこしあぶらの天ぷら
鯵寿司
ホワイトアスパラ、うど、インゲンの胡麻ソースアーモンドがけ
ぐじと蓮根饅頭のお吸い物
鯛とウニのお造り(エビ塩)
くちこ、ゆべし、鯛の白子
賀茂茄子、煮ハマグリ、ずいき、絹さやの煮物
うなぎ
スナップエンドウの擦り流しとんぶり添え
小芋の蒸しもの。伊勢海老の揚げ物。新海苔がけ
じゅんさいと蒸しアワビ
アナゴの飯蒸し
ピンクグレープフルーツ、イチゴ、マンゴー、パッションフルーツ
わらび餅白あん入り
★前田 http://s.tabelog.com/kyoto/A2603/A260301/26020923/

緒方。

アワビとホワイトアスパラ

花山椒すき焼き

食通の間で、確かな評価を重ねて来た京都の『緒方』へ。『緒方』は、ミシュラン二つ星で、大将は和久傳のご出身。
お品書きは、以下。
梅のお寿司
アブラメ (アイナメ)

岩清水 (じゅんさいのお吸い物)
ハマグリの天ぷら
桜海老のかき揚げ
煮アワビとホワイトアスパラ
八幡巻
花山椒すき焼き
蕎麦
焼きわらび餅
京都の吉兆とは違う流れのお料理は、見かけの煌びやかさや美しさよりも、素材そのものの味で勝負しているように感じられる。
アブラメ(アイナメ)は、炙って香りと甘みを出し、鰹は、釣ってすぐに殺した鰹ではなく、生きたまま持ち帰り、捌いた鰹。
当然赤身の色も違うし、臭みなど全くない。切り方も、ごろっと大きく、旬の鰹を食べる満足感がある。
じゅんさいのお吸い物を食べながら京都に来たと思い、アワビとホワイトアスパラのコンビネーションに驚いた。
すき焼きは、この時期にしか食べることの出来ない花山椒をたっぷりと使った、鞍馬を彷彿とさせる一品。
焼いたわらび餅の香りと触感に浸る頃には、「この店、また来たいなあ〜」とじんわりと思っていた。
大将と女将さんのお人柄が滲み出ているため、お客さんを緊張させることがないというのも、この店の実力だと思う。
★緒方 http://s.tabelog.com/kyoto/A2602/A260201/26012136/

SUZU BAR

僕の弟的存在のFが、新宿のゴールデン街に『SUZU BAR』をオープンさせた。
名前は彼の実家が経営しているとんかつ屋『すずや』から来ている。
彼のお婆さんは、華さんと言って、歌舞伎町の名付け親の人。今やとんかつ茶漬けで有名な『すずや』は今年で60年。昔から様々なアーティストや作家が来ていたらしい。
芹澤先生の鈴の絵をモチーフに、僕がロゴとシンボルを作らせてもらったのだけど、その昔の面影や日本の民芸的な温かさをたいせつにして、『SUZU BAR』はオープンした。
オープニングパーティーには様々なセクシャリティを超えて、たくさんの人々が駆けつけて祝っていた。
★SUZU BAR 新宿区歌舞伎町1-1-10 G1

赤間茶屋 あ三五。

芝海老の天ぷら

春野菜の天ぷら

さらしなそば

福岡で、素晴らしい蕎麦屋を発見した。『赤間茶屋 あ三五(あさご)』は、蕎麦気狂いの大将がいる店。
そば懐石もあるらしいけど、昼だったので、お酒と適当につまみを頼むと、他の接客をしていた大将が来て、「適当につまみを出すから、ゆっくり飲んで!」と言う。
昔ながらの蕎麦屋さんが、現代にあったらこんな蕎麦屋さんになるのかもしれない。
『更科は、とても難しいんだよ。十割は誰が作っても簡単』
『うちのそばがきは最後に食べないと、味が口にまとわりついて後の蕎麦の香りがわからなくなる』
『芝海老の天ぷらは、タレのついていないもの。半分ついたもの。全部浸したものと楽しんで』
23歳から42年間、ずっと蕎麦一筋で生きてきた大将は蕎麦気狂いだし、明らかに変人だと思う。でも、それだけの食に対する情熱があるからこそ、この素晴らしい蕎麦屋が存在しているのだ。
ここへ食事に来ると、蕎麦だけでなく日本の食全般の勉強になるに違いない。
また、来月もこの蕎麦屋へ足を運びたいと思わせてくれる、東京にも長野にもない、本当に素晴らしい蕎麦屋だ。
★赤間茶屋あ三五http://s.tabelog.com/fukuoka/A4001/A400104/40003973/

きはる。

ゴマ鯖

牡蠣のコンフィ

焼き鯖チャーハン

何十回か訪れている福岡で、好きな居酒屋をあげるとすると、『さきと』『きはる』『旦過』。それぞれに魅力あるお店だけど、『きはる』は、五島列島の鯖を様々な料理に展開させている驚きの店。
僕が必ず頼むものは、
1.ゴマ鯖
2.牡蠣のコンフィ
3.焼き鯖チャーハン
炙り穴子もコリコリしているし、焼き鯖コロッケも変わっていて美味しい。玉子焼きも黄身が濃厚に感じられる。
しめの焼き鯖チャーハンを頼む頃には、ああ、また来たいなあ…と思っているだろう。2人で8000円くらいで飲んで食べられるところも素晴らしい。
中の男子店員さんたちは寡黙で、冷たく見えるかもしれないけど、作ることが専門で潔い。予約は必ずした方がよい(滞在時間の間、10組以上の当日客が覗いては断られて帰って行った)
★きはるhttp://s.tabelog.com/fukuoka/A4001/A400103/40004429/

佐藤。

天然のフグ

白子の茶碗蒸し

鯛の潮汁

食通の間では、九州一の和食の店と言われている小倉にある『佐藤』へ。
昼だったのだけど、春を感じさせる素晴らしい料理だった。
大将は小太りで(恐らくオネエサン!)、すべてに細かく気配りを行き届かせていて、ひそひそ声もすべて聞き取っている感じ…笑
つくし、春蘭、ワラビ、こごみ、タケノコ、ウド、ホワイトアスパラガス…早春の山菜を35種類集め、名残りのフグを存分に味わう料理の品々。フグは、秋分から春分までと言われる魚だからだ。
フグの白子を焼いて、茶碗蒸しに入れた一品はこちらでたまに出てくるけど、申し分のない一品。
鯛のうしお汁は、塩気がきつくなく、鯛の身自体もほろほろとして素晴らしい。
タケノコご飯は、フグの出汁で炊いて、しみじみと甘みが感じられる。しめの葛切りまで料理はどれも申し分ない。
そこをあえて一言言わせていただくと、大将の神経が行き届き過ぎているせいか、不思議な緊張感があり、お客さんがなかなか気が緩まない。
これは、今や日本一と言われている京都の『未在』でも感じたことだけど、料理がどんなに素晴らしくても、あまりにも緊張する店では、全体としてその店で味わう体験も、今ひとつの感じがする。
僕の考える一流の店は、料理は一流でありながら、お客さんに緊張感を与えないような心配りの出来る店だ。
本当にもう一度訪れたいと思える店は、そんな温かさを感じさせる店だと思う。
★佐藤http://s.tabelog.com/fukuoka/A4004/A400401/40000240/