オンシジューム。

いつもならば、年末は早めに仕事が片付いていって28日ともなれば余裕で休んだりしていたのだけど、今年はどういうわけか仕事納めの日の夕方までバタバタしていた。
帰りがけ、明日から三日間でこしらえるおせち料理の材料を買いに銀座三越に寄り、その後新宿二丁目の仲通りの入り口にあるお花屋さんへ。
昨年と同じように南天の枝を3本と、緑色の菊を5本、門松用に松の枝を二本買った。
そこで店の人と話していると、奥の方にとても綺麗なオンシジュームが目に入った。
「今日のオンシジュームはとてもいい状態ですよ」
その一言に負けてオンシジュームを3本一緒に持ち帰った。
正月飾りや正月花は、12月27日や28日に飾るのがいいようで、今年はなんとか28日に飾ることができた。
リビングダイニングには、南天と菊で正月らしく豪華に。
玄関には、繊細なオンシジュームの花を飾った。
オンシジュームの花は、まるでチェンバロの音色のように、今まで家になかった華やかさを演出してくれている。

冬の庭仕事。

僕の家のベランダには、スタンダード仕立ての月桂樹が2本あって、ベランダの左右に配置されている。
スタンダード仕立てとは、根元からすーっとまっすぐに伸びた幹の上に、枝や葉を刈り込んで球体の形をしている植物のスタイルのこと。フランス式庭園によく見られる。
スタンダード仕立てに向く植物は、基本的には強健で蘇生力が強い柘植や月桂樹などの常緑植物。一年を通して美しい緑色の球体を眺められるもの。
月桂樹は家に一本あると重宝する植物で、葉っぱの香りが良く、スープを作るときには欠かせない植物。僕の家の月桂樹はスープを作る時に葉をむしられるけど、その蘇生力から葉はいつでも沢山生い茂っている。
冬になり葉が落ちたベランダで植物のボリュームが少なくなったので、月桂樹の足元に水仙やバイモユリの球根とガーデンシクラメンを植えてみた。
水仙やバイモは、植えっぱなしにしておくと毎年春先に花を咲かせてくれる。ガーデンシクラメンは、この時期にお店にある普通のシクラメンではなく、寒い時期の屋外で健気に咲き続けてくれるシクラメンだ。
布施明の『シクラメンのかほり』を思って、真っ白なガーデンシクラメンを左側の月桂樹の根元に、右側には、ピンクの濃淡のガーデンシクラメンを植えた。
これから落葉樹のすべての葉が落ち本格的な寒さを迎えるベランダで、陽だまりのように明るさを添え続けてくれるだろう。

冬を迎える準備。

5つの色違いのヒヤシンス

Kが手伝ってくれたコンテナ

シックな色合いにしてみた

昨年もここに書いたのだけど、毎年冬がはじまる頃、球根の栽培をはじめる。
それは、長く寒い冬に備えて温かさを感じたいからであり、少し先に訪れる春を心待ちにしているから。
部屋の中ではヒヤシンスとアマリリスの水耕栽培を。ベランダでは、チューリップや水仙、ムスカリ、スノーフレークなどの球根を植えつける。
球根は、寒さを一身に感じた後に、ゆっくりと根を伸ばしながら、やがて春の訪れを知らせるかのように芽を伸ばしはじめる。
チューリップなどは、球根だけ植えておくと土しか見えずに退屈なので、球根の上に草花を植えること。そうすれば水やりを怠ることはなく冬の間中花が咲き続ける小さな植物たちに、毎日元気をもらえるだろう。
ここに何度も書いているけど、チューリップや水仙などのコンテナ栽培とヒヤシンスの水耕栽培の仕方をもう一度書いておこう。
⭐️チューリップなどのコンテナ栽培
◎用意するもの
鉢(沢山植えたい場合は直径50センチくらいのものを。もちろん鉢は小さくても構わない)
球根(チューリップ、水仙、ムスカリ、スノーフレーク、フリチラリア、ブルーベルなど)
草花(パンジー、ビオラ、ガーデンシクラメン、スイートアリッサムなど、黄色や銀色や紫色の葉っぱのきれいな草類。アイビーやシルバーリーフやヒューケラなど)
◎植え方
1.鉢の底には網を入れて、ゴロ石を少し敷き水はけよくする。鉢の上の淵から5センチくらい空けたところまで最終的には土を入れるイメージで、そこから更に15センチくらい下がったところまで土を入れる。そこに、チューリップの球根を並べる。
2.土をその上に5センチくらいかぶせて、水仙、ムスカリ、スノーフレークなどの球根を置く。背丈の高いものは中央に集めて、ムスカリなどの背の低いものは周囲に配置する。
3.球根が隠れるくらいにその上に更に土をかぶせて、そこにパンジーやビオラ、美しい葉っぱの草花を配置して土をかぶせて完成。水をたっぷりとあげる。
寒い冬から春が終わるまでずっと、花々の競演を楽しめるだろう。
⭐️ヒヤシンスの水耕栽培
◎用意するもの
水耕栽培用の容器。または球根が上で止まるような小さなコップ。
ヒヤシンス
◎水耕栽培のやり方
ヒヤシンスの球根は、水に浸けっぱなしにすると菌が水の中で繁殖してすぐに腐ってしまうので、珪酸塩白土などをひとつまみ水に中に加えてから球根の下部の黒っぽい部分だけ水に浸かるようにして、暗く寒い場所に1ヶ月間くらい置く。(ダンボールなどに入れて光が入らないようにガムテープで蓋をしておく)
その間、1週間に1度くらいはお水を替えてあげて、やがて白い根が伸び始めて、芽が顔を見せ始めたら、やっと明るい室内に移動にさせる。
小さな球根をひとつ育てるだけで、宇宙の力を感じるに違いない。

ヘブンリーブルー。

札幌から帰る火曜日の朝に、
1日早く月曜日に帰ったKから写真が送られてきた。
「アサガオが咲いたよ」
写真は、この夏もしかしたら咲かないのかもしれないと思っていた西洋朝顔の『ヘブンリー・ブルー』。
10月に入って急に狂い咲くことを決心したかのように(まるで、誰かさんのように)、蕾を沢山付けて全身エネルギーを力いっぱいみなぎらせている。
『ヘブンリーブルー』を育てはじめて、15年以上になるだろうか。日本のアサガオにはない透き通るような青色は、神様がスーッと息を吸い込んだかのように美しいグラデーションをしている。
『ヘブンリーブルー』と聞くと、 新宿二丁目の『ぺんぺん草』のマスターがいつも言っているセリフを思い出す。
「わたしね・・・すごいものを持ってるのよ・・・。
あんたも試してみる???
ひとつ目は、ゴールドフィンガー。(そう言って指先をじゃらじゃらっと動かす)
それと、プラチナ・タン。(そう言って舌を長ーく出して見せる)
それから、ダイヤモンド・リップ。(そう言って唇をすぼめる)
まだあるのよ・・・ヘブンズ・ホール。(これを言うと、お客さんがみんな大笑いする)
あああ、ほんとにくだらない。笑

朝顔。

毎朝起きた時に、
「今日は朝顔は咲いているだろうか・・・」と思う。
ベランダの薔薇や寄せ植えの鉢の空き地に、朝顔をいくつか植えたことは先日ここにも書いた。その朝顔が、毎日毎日ベランダのカーテンを開けるのが楽しみなくらい、ポツリポツリと咲き続けているのだ。
Kも朝顔が咲いていると、うれしそうに僕に教えてくれる。あまりにも毎日咲いてくれるものだからか、
K「ほんとうに一日だけで花は咲かなくなってしまうの?」と聞いてきた。
僕「不思議でしょうがなくて僕も観察してるんだけど、一回咲いた朝顔は、夕方にはもう役目を終えたようにほとんど枯れてしまっているんだよね。朝、咲いている朝顔のそばを注意深く見ると、もう翌朝の蕾が小さいけど出来ているの」
晴れていると、午前中ですっかりしぼんでしまうのだけど、雨だったり暗かったりすると、お昼を過ぎても朝だと思っているのか、そのまま咲いていることがあるのを最近気づいたのだ。
写真の朝顔は、『残月』。
『残る月』なんて、なんと日本らしく想像する奥行きがあり、美しい名前なのだろうか。

いちじく。

(アイフォンが、画面に触っても反応しなくなり困っている。買い替えないといけないのだろうけど、間も無くiPhone8が出るようなので、辛抱しつつしょっちゅう再起動をして凌いでいる。時々かかってきた電話さえも画面が反応できないので取れないこともあり、掛け直さなくてはいけなくて本当に困っている。このブログは、ほとんどすべてアイフォンで書いているため、アイフォンが使えないと滞ってしまう)
「ただしくん、いちじくが色づいてきたよ」
洗濯物を干していたKが僕を呼んだ。
どうやらベランダのいちじくが綺麗な色に熟してきたようだ。
今年はジューンベリーが沢山なり、あっという間に鳥に食べられ、レモンが8個なり、先日手に入れたブルーベリーも実の色が変化してきて、いちじくも沢山の実を結んだ。
いちじくは、お店で売っているような大きなものではないけど、果樹を育てることは、実が少しずつ大きくなってゆく過程を見守る楽しさが日々感じられるものだ。
Kはきっと、早く食べたいと思いながら、いつも見守っているのだろう。
果樹は、動いてゆく季節を、そっと僕たちに教えてくれている。

アサガオ。

バラの茂みに咲くアサガオ

夏のはじまりに、アサガオをいくつか植えていた。
夏場は葉っぱばかり茂っているバラの下に。(本当は、バラは肥料食いなので、鉢植えでは他の植物を一緒に植えない方がいい)
主に、西洋アサガオと分類されるアサガオで、花の発色が美しく花期が日本のアサガオよりも少し遅いアサガオを。
そのアサガオの花を、今か今かと待ちわびていたところ、思い出したかのようにやっと花を開きはじめた。
アサガオは咲きはじめはいっせいに咲くというよりも、ひとつ、また一つと、僕たちの心に何か大切なものを残すように緩やかに咲いていく。
今日はどんなアサガオが咲いているかと、朝起きた時に暑いベランダに出てみる。
時々、咲いていない日もあれば、何か神様からの贈りもののように、美しい紫をにじませて咲いている時もある。
一日限り、しかも午前中早めで終わってしまうアサガオの花を、今はこの上なく愛おしいと思う。

夏には夏の、庶民的な花を。

緑色の百日草といい香りのするゼラニウム

大葉ではなくコリウス

家にいつも花を絶やさないようにと、どんな季節でも飾っておくことは、思いのほか難しいことだ。
秋から冬、春まではなんとかなる。でも、梅雨から灼熱の夏、そして残暑が続き秋の涼しさが戻るまでは、東京で花を絶やさないでいることは難しい。
カサブランカも、ランも、いけた水にすぐに細菌が繁殖して、茎の下から日に日に腐っていってしまう。
でも、毎日の家の中にある花は、花屋さんで売っている花でなくてもいいのだと思い(秋から冬、春は当たり前のこと)、南向きのベランダの暑さに負けずどんどん伸び続けているこのブログにも書いた『百日草(ジニア)』や、葉っぱの美しい『コリウス』を切って飾ってみた。
すると、朝会社に行って夕方帰って来ても、水は腐っておらず、百日草の花はピンとしたまま、コリウスも美しい緑の葉をしっとりと広げているではないか。それも、何日経ってもゆっくりと花色は変化してゆくも衰えることを知らない。
考えてみたら当たり前のことだけど、夏には夏の暑さに強い花をいければよかったのだ。
それも、どこかよそ行きのひまわりなんかではなく、地べたで座っておしゃべりしているおばさんのような『百日草』やどんな太陽にも負けない『コリウス』のような植物たちを。
小学生の時から何十年も園芸をやっているけど、こうやってまた新しい発見があることが、園芸の底なしの魅力なのだろう。

百日草。

なぜか緑色の花が好き

梅雨時とは思えない暑い日が続いている。家のベランダはバラの葉が生い茂り、アジサイのアナベルも緑色に変色してきて、今はレモンやぶどう、いちじく、先日買ったブルーベリーの実が大きくなっていくのを日々楽しみに眺めている。
秋から春までは、パンジーやビオラ、水仙やチューリップなどを沢山植えて、お花畑のように華やかだったけど、バラの時期と入れ替えに花は終わり、大きなコンテナが2つずっと空いたままだった。
いつもは東京のうだるような暑さに耐えられる草花などないと思い、夏の間は一年草はすっかり諦めていたのだけど、先日ふとデパートの屋上の園芸店で草花を眺めている時に『百日草(ジニア)』が目に飛び込んで来た。
ピンクやオレンジ黄色など、南米の原色の衣装のような鮮やかな色に加え、まるで作り物のような形の花びらは、今まで僕が手を伸ばすことのなかった花。それが今、なんともかわいいと思うのだ。
「もしかしたら、夏に強い草花なら、うちの過酷な暑さのベランダでも夏を越すことができるかもしれない・・・」ふとそんなことを思い、百日草、エキナセア、ゼラニウム、葉っぱの美しいコリウスなど、暑さに強そうな植物を選んで大きなコンテナに寄せ植えしてみた。
今のところ百日草は、太陽を全身で浴びながら、花々を次々と咲かせ喜んでいる。
派手だけど普段着のようでいて、それでいておおらかに笑っているような百日草が、今はなんとも愛おしい。
百日草は、ヘルマン・ヘッセにも愛されていたようだ。
『晩夏と初秋の色鮮やかさの真髄はなんといっても百日草です!この花は今の時期いつでも私の部屋に挿してあります。この花はありがたいことに、とにかく非常に日持ちがいいのです。そして私はこのような百日草の花束の、取立ての新鮮な時から枯れるまでの変化を、この上ない幸せな気持ちと好奇心をもって見守るのです。この花の色彩はもう強烈に内部から輝きを発し、色彩そのものが歓声をあげているのです。』 ヘルマン・ヘッセ著

いちじく

いちじくの実が存在感を現しはじめた。
小さな実が少しずつ大きくなっていく様を水やりのついでに眺めていることは、月日のゆっくりとした流れを感じさせてくれる。
青みがかった切れ込みの美しい葉の間から、いつの間に実が出来るのかわからないのだけど、無花果と書かれるように、実が着く前に花が咲くことはない。
花は、実の中にあるのだそうだ。
いちじくの実が大きくなってきたことをKに知っているか?と尋ねたら、「もちろん知ってるよ。Kちゃん毎日洗濯物干す時見てるもん」
と答えが返ってきた。
Kは、食べられそうな植物には異常に敏感なのだ。