QUEERMOSA

QUEERMOSA AWARDSとは、今年から始まった台湾のLGBTアワードで、台湾のセクシャル・マイノリティに圧倒的人気の「張惠妹(A-mei)」、ボーイズラブ・ドラマ「上癮 Addicted」、父親にカミングアウトする息子を描いた 台湾マクドナルドのCF など、中華圏のLGBT社会で話題になった企業、作品、個人を表彰する会。
台北のWホテルで豪華に行われたのだけど、その会に急に行くことになり、タクシーで8時にWホテルへ。
受付からして着飾った人たちが列をなし、会場の中に入ると、これはゴールデングローブ賞の授賞式みたい…と見紛う華やかさ。円卓には、既に前菜が並び、シャンパンが注がれ、白ワインと赤ワインが注がれる。
ほとんどが中国語だったため、あまり内容はわからなかったのだけど、企業でいうとJP Morganが授賞していたのと、最後にやはり、張惠妹(A-mei)が授賞していた。
この式に出て一番感じたことは、台湾は日本よりも随分先に行ってしまったということ。
同性婚へ大きく舵を切り始めた台湾では、沢山のLGBTとALLYの人たちがうねりをあげながら、大きな流れを作りあげているように見えた。

台湾プライドのためのTシャツ。

先日ここにも書いた、TAIWAN PRIDEのために、僕がデザインしたTシャツが出来上がって来た。
今回、Tシャツはお金がかかるから、東京レインボープライドとして製作するのはやめようと決まっていたところ、ビームスがサポートしてくださることになり、急遽作ることの出来た奇跡のようなTシャツ。
台湾と日本が、多様なレインボーカラーでガッチリと繋がっているデザインは、そのまま台湾プライドと繋がり、一緒に盛り上げたいと願う我々東京レインボープライドの気持ちを込めている。
台湾では、アジアの国の中でどの国よりも早く、同性婚が認められるかもしれないと言われている今年、台湾プライドは、おそらく例年にない盛り上がりを見せるに違いない。
一年ぶりの台湾旅行、懐かしい友人たちに会いに行くような、ワクワクした気持ちでいる。

六本木アートナイト

金曜日の夕方から、六本木ヒルズにおいて、六本木アートナイトが始まった。
主催者側の計らいで、この六本木アートナイトに、『OUT IN JAPAN』が展示出来ることになった。
先日撮影した、六本木ヒルズで働くLGBTを中心にした写真展は、ゴールドマンサックスのエントランスに飾られている。
地下鉄の六本木駅から六本木ヒルズへ抜けるエスカレーターからも、『OUT IN JAPAN』の映像を見ることが出来る。
この映像を作るお手伝いをさせたいただいたのだけど、映像を見ながら、それぞれの人たちがカミングアウトをする勇気に触れることで、また胸の中に熱いものがこみ上げて来て、涙がじんわりと浮かんでしまった。
★六本木アートナイトhttp://www.roppongiartnight.com/2016/

自分の会社でカミングアウト。その4

9月に行われた僕の会社の1階受付でのカミングアウトプロジェクトとなってしまった『OUT IN JAPAN』の展示から、全社内でカミングアウトをしてしまったような僕なのだけど、その後も特に誰かにその件に触れられることもなく平穏な日々が続いている。
そんな中でも、会社に入って20年以上、いつも仲良く一緒に過ごして来た後輩Iがいて、実際に会社で行われたLGBT関係のイベントにもIは出席していて(その中ではLGBTとはいったい何か?という話まであった)、帰り際僕の姿を見つけると、うれしそうにIは手を振っていたのだった。
そんなIに誘われるがままに一緒に隣の駅までランチに行った。ランチを食べながら、最近巷を賑やかしている会社の話題や、これから会社はどう変わっていくのだろう・・・など、思いつく限りの話が出た。
でも、ランチに久しぶりに誘われた時点で僕は、Iが僕にセクシュアリティのことを何か言って来るのではないかと思っていたのだけど、結局LGBTの話題などには一切ならなかったのだった。
それはきっと、Iなりの気配りがあってのことなのかもしれないし、面と向かって僕に、セクシュアリティの話までは切り出せなかったのかもしれない。
当たり前のことなのだけど、カミングアウトは、誰かに言ったからといってそれで終わりになるものではなく、カミングアウトされた側で、また時間をかけてその問題を考え捉え直し、対応も理解なり拒絶なりへと進んでいくことなのだろう。
そうであったとしても、後輩Iの前で、僕の心は以前よりもずっと晴れやかだったのだ。
ふたりで会社への道を歩きながら、「僕はIの前で、このままでいいんだ・・・」
そう思えるだけで、なんとも清々しい気持ちになれたのだった。

身近なロミオとジュリエット。

友人というか、弟のように思えるFが、5年以上つきあっている彼女のご両親と食事をすることになり、急遽援軍としてその食事会に参戦した。
なぜ参戦なのかというと、Fは彼女とつきあう前から彼女のご両親とは仲良くさせてもらっていたのだけど、実際に彼女とつきあいはじめたことを知った時から、彼女のご両親は娘とFとの恋愛を決して許さなかったのだった。
その間、Fは直接会ってどんなに彼女をたいせつに思っているのかを直訴したり、Fのご両親まで出て来て彼女のご両親と会ったり、友人を連れて会いに行ったり、ご両親に交際を認めてもらうために、それこそあの手この手と涙ぐましいまでの努力を続けて来たFだった。
しばらくしたのち、お父様は少しずつFを受け入れはじめたような兆候を見せ始めたのだけど、お母様は頑なにFとの交際を認めず、Fの存在すら目に入らないかのような状態が5年経った後も続いていたのだった。
お母様が娘の交際を許さなかった原因は、
Fが、FtMだからだろう。
恐らく、セクシュアルマイノリティの存在など身近に感じたこともなかったであろうお母様には、まさか、自分の可愛がって育ててきた1人娘が、トランスジェンダーと交際をするなんて考えもしなかったのだ。
僕たち周りの友人たちは、あんなに仲良く愛し合っているように見えるお似合いのFカップルを、なんとしてでもご両親に認めて欲しくて、まるで、『ロミオとジュリエット』を応援するかの様な気持ちでいたのだ。
5年間のお母様の無視のような状態が過ぎ、この先も許されることはないかに見えた矢先、先にニューヨークに訪れていたFと、娘さん一家は旅先のニューヨークで会うことになった。
そこでなんと不思議なことに、お母様の態度がころっと変わったのだった。
旅先の開放感、人生にはなんでも起こりえるというポジティブな空気がニューヨークにはあったのかもしれないし、見るに見かねた神様が、Fにそっとギフトを贈ってくれたのかもしれない。
そんなことがあり、東京へ帰ってきてしばらくしたのち、娘さんのご両親とFとの食事が急遽決まったのだ。(そこへ、なぜか、僕と妹のGが隣の席で偶然ワインを飲んでいるという設定…)
実際にお会いしたお父様は、とても知的な方で素敵な人だった。
そして、アーティストのように情熱的なお母様も、とても華やかで楽しい人だった。
何よりも僕が一番うれしかったことは、緊張しながらも、幸福そうに顔をほころばせていたFを見守ることが出来たことだ。
Fと彼女の笑顔を見ながら、僕たちまでこの上なく幸福な気持ちに包まれたのだった。

この国で、LGBT差別をなくすために。

後輩であり、妹のような存在のGが前から僕に、「LGBT差別にNO!」という法案を作りたいと相談を持ちかけて来ていた。
そこで、はじめに話が出た頃に形にしたビジュアルは、レッドカードを持っているようなものだった。ちょっとこわい(笑)
やがて、今回の国会に合わせて『change.org』の署名キャンペーンをGが立ち上げることになった。
そこで、僕の家の周りに住む、愛する神宮前二丁目のファミリーに二日前に急に声をかけて、週末に新宿御苑に集まってもらい、撮影を行ったのだ。
ゲイ・レズビアン・トランスジェンダー・バイセクシュアル、ストレートの友人やストレートの夫婦など、様々なセクシュアリティの人が入り混じって、仲良く楽しそうにしている風景。
これは、僕にとってのいつもの風景だ。
僕に出来ることは、『NO!』のエネルギーを抑えて、何かポジティブなものにすることだった。
LGBTを取り巻く環境は、保険会社や航空会社をはじめ、様々な民間企業でも少しずつ変わって来てはいるのだけど、国が変わっていかなければ、会社や学校の水面下で日常的に起こっているいじめや差別をなくすことは出来ないのだと思う。
「署名をすることで、どこかに名前が公表されて、自分がゲイだって他の人にバレるのではないか」
そんな質問ももらったし、実際に差別やいじめに遭ってきたセクシュアルマイノリティの人たちにとって、こういう案件に署名すること自体が、とてもハードルが高いことなのだと思う。
署名は、国会に提出される。(他にお名前を公表されることはない)
※少し長い文章ですが、お読みいただき、賛同いただけたらうれしいです。
『世界に誇れる日本へ!LGBTへの差別をなくして、「ありのままの自分」で生きやすい社会を実現する、法律をつくってほしい!』https://www.change.org/p/%E3%82%B5%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88-%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%82%92-%E3%81%8A%E9%A1%98%E3%81%84%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99-%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AB%E8%AA%87%E3%82%8C%E3%82%8B%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%B8-lgbt%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%B7%AE%E5%88%A5%E3%82%92%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%97%E3%81%A6-%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%AE%E3%81%BE%E3%81%BE%E3%81%AE%E8%87%AA%E5%88%86-%E3%81%A7%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%82%84%E3%81%99%E3%81%84%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%82%92%E5%AE%9F%E7%8F%BE%E3%81%99%E3%82%8B-%E6%B3%95%E5%BE%8B%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%BB%E3%81%97%E3%81%84

自分の会社でカミングアウト その3

自分の会社で、『OUT IN JAPAN』の展示が始まり、写真と実名、コメント入りで大々的にカミングアウトをして、会期はあと1週間となった月曜日、またほんの少しドキドキしながら会社に向かった。
お昼頃、パソコンに向かっていると、見慣れた後輩Iがのぞいた。
I「ただしさん!(実際には僕の姓)やっと会えた!うれしいな!」
僕「久しぶりー。元気だった?」
I「元気でしたよー。ちょっと会議室入りませんか?」
Iと僕は、Iの入社以来22年間、ずっと一緒に仕事をして来た、言わば兄弟のような仲だった。Iは結婚して子どももいて、お互いにプライベートで大変な時も支え合って生きて来た。
今回の全社的なカミングアウトにあたり、真っ先に気になったのは、Iのように、家族のように支え合ってともに生きて来た仲間や先輩後輩たちのことだった。
いったい彼らは、僕に会った時にどんな反応をするのだろう?
今までと変わらずに話しかけてくれるのだろうか?
何もなかったかのように黙殺するのだろうか?
それとも、もはや近づいてはこないのではないか・・・。
会議室で話すIは、今までと何も変わらず、久しぶりに僕に会えたことをとても喜んでいた。最初から最後まで、会社の玄関の展示の話には触れることはなかったのだけど、瞳を見れば彼が僕のカミングアウトを知っているのがわかった。
そして午後、社内のホールで、LGBTに関するトークショーが繰り広げられた。レスリーも会社に来ることになっていたので、僕も前の方の席に座り、トークショーの終わりにレスリーを見送りにホールの外に出たその時、先ほど話したIが、たった今ホールでトークショーを聞いていて終わったとたんにホールの外に出て来た。
Iは僕を見つけると、僕に向かってとてもうれしそうに手をふったのだ。
恐らく僕のいないところで、Iは仲間たちと一緒に僕の話をしているに違いない。そこでは、おもしろおかしく僕のことを笑い者にしている人や、気持ち悪いと思っている人もいるのかもしれない。でも少なくともIは、僕の前では事実を受け止めてくれ、今まで通りに接しようと心がけてくれていた。
カミングアウトは、自分から声を上げたら、それで終わるものではない。
僕のカミングアウトを、その人がどうやって受け止めるのか。
拒むのか。
時間をかけてその気持ちが変容してゆくのか・・・。
自分の会社でのカミングアウトは、まだまだこれから先の道のりがあったのだった。

自分の会社でカミングアウト その2

自分の会社の一階受付において、
『僕、ゲイなんです!』
と、カミングアウトする羽目になろうとは、今まで考えたこともなかったのだけど、どうやらその日がやって来てしまった。
朝、神妙な面持ちで出勤をして、「誰かなにか言ってくるかな・・・?」と思っていたら、後輩の女の子が一人走って来た。
「ただしさん(実際には僕の姓)、一階の展示、素敵ですねー!」
その子はirodoriにも来たことがある子で、その時に展示されていた『OUTIN JAPAN』の写真を見ていたので、ほとんど僕のことは承知していたのだ。
そして午後になってまた1人、同僚の女性からメールが入った。
Y「Prince 、先ほどランチ行く時に
 どかーんとOUT IN JAPANみました!
 最高ですね!」
僕「なんか、全面的にカミングアウトになってしまい、
 今後、遠ざかる人も沢山いるだろうなあと思っています。
 まあ、それはそれでしょうがないかなとも。」
 
Y「その勇気が本当に素晴らしいと思います。
 遠ざかる人がいたとしたらその人はそれまでの人だということで
 見切っちゃっていいんですよきっと!
 逆に新しい良い出会いもあることでしょう!楽しみですね!」
社内でいったいどんな反応がくるだろうかと、僕も内心はドキドキしていたのだけど、結局ハッキリとした反応は彼女たち二人だけだったのだ。(他の人は黙殺・・・)
そんなこんなで、めでたく9月1日に、僕は全面的に自分はゲイだと会社で宣言したのだった。

自分の会社でカミングアウト その1

あああ、ついにこの日が来た・・・。
9月1日から9日まで、自分が勤める会社の1階受付において、『OUT IN JAPAN』が展示されることになったのだ。
今まで社内では、僕がゲイだということは、なんとなく勘づいている人もいたと思うけど、会社の受付で自分の写真が実名とともに展示されるということは、もはやどこにも逃げ場はなく、敢えて大声で「僕はゲイです!」と社内全体にカミングアウトをするような行為なのだと思う。
そこで、先日ここにも書いたアンケートhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160825-00000101-asahi-soci
『LGBT、働く人の8% 職場にいると「嫌だ」35%』
を受けて、僕なりになんとかしたいと思って書いたのが写真の文章。会社の僕の写真の隣に、これをボード貼りにして立てかけたのは、この心ない見出しに対する僕なりの反撃だ。
『職場にいたら「嫌だ」35%』と発表されたのを受けるような形で、まさか自分の会社で自分がゲイだとカミングアウトする羽目になろうとは考えもしなかったな・・・。笑
(以下、本文です)
『電通ダイバーシティ・ラボの調査で、LGBTの当事者は、7.6%存在するというデータが公表されました。
これはだいたい、日本人の約13人に1人という割合であって、日本人のうち佐藤さんと鈴木さんと高橋さんと田中さんを足した数よりも多い数のLGBTが、我々の周りに日常的に存在しているということでもあります。
それはあなたの隣の席の人かもしれないし、上司かもしれないし、部下かもしれない。娘さんかもしれないし、おじいさんかもしれないし、お父さんかもしれないし、お母さんかもしれないということです。
セクシュアル・マイノリティに関する基本的な知識として我々が知っておきたいことは、レズビアンであれ、ゲイであれ、バイセクシュアルであれ、トランスジェンダーであれ、その他のセクシュアリティであれ、ほとんどの人は生まれた時からそのセクシュアリティであったということです。(自分の好みで後天的にセクシュアリティを選び取ったわけではないということです)
それは、ある人が背が高かったり、鼻が大きかったり、肌の色が白かったり、黒かったりするように、この世に生まれて来た時からそうであったということなのです。
そうであるにも関わらず、まだまだこの国では、いじめや差別、ハラスメントが日常的に繰り返されるため、学校や社会において、自分のセクシュアリティを公にすることが出来ない状況です。
ほとんどのセクシュアルマイノリティの人たちが、自分の本当のセクシュアリティを隠しながら、息を潜めるようにして暮らしているのが、今の日本の現実なのです。』

LGBT、働く人の8% 職場にいると「嫌だ」35%

ご覧になった方もいると思うが、Yahoo!のトップニュースに、こんな記事が載っていた。
★http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160825-00000101-asahi-soci
見出しは、『LGBT、働く人の8% 職場にいると「嫌だ」35%』
記事の中の、『職場の上司や同僚、部下が同性愛者や両性愛者だったらどう感じるかを聞いたところ、「嫌だ」が35・0%。』ここのところを見出しとして抜き出しているところに、なんとも言えないやりきれなさを感じてしまう。これを見て、傷つかないLGBTがいるだろうか?
こんな記事を目にするたびに、マスコミが社会に対して、どんな風に見出しを立てれば受けるのかばかりを考えているのだろうと推測する。
そして、こんな記事を見るたびに、「ゲイは気持ち悪い」などと言っている人たちに、正確な知識が伝わっていないこの国の今の状況を思い知らされるのだ。
「ゲイは気持ち悪い」と言っている人の、隣の席の同僚は、ゲイかもしれないし、弟はゲイかもしれないし、もっと言うと、お父さんがゲイかもしれないのだ。
そして、こんな意見が多数あるところを見ると、未だにセクシュアルマイノリティが後天的なものだと思っている人が多いのだろうと思う。
好きや嫌い、気持ち悪いなどの主観は、僕たちにはどうすることもできない。
でも、正確な知識を広めて、なんとかみんなが安心して暮らせる世の中にしなければならないと思うのだ。
先日の一橋大学のゲイの子が、アウティングにより自殺したことや、今回のオリンピックのイギリス人高飛び込み選手への批判などを、この世界からなくしていかなければならないと思うのだ。