海との散歩。

朝と夕方、海を連れて散歩に出かける。

朝はだいたい僕がひとりでドイツ村に行き、夕方は二人の時間が許す限り二人で一緒に散歩に出かける。

「こらから宿が忙しくなったらなかなか二人で散歩に行くことなんて出来なくなるね…」などと話していたけど、今のところそんな忙しさは7月までやって来なそうだ。

毎日のほんの45分くらいの散歩の時間を、僕はとても幸せな時間だと感じている。

時々小雨が降っていたり、眠かったり、二日酔いだったりする日もあるけど、いざ散歩に出かけると少しずつ楽しくなってくる。

それは、海が心の底から楽しそうにしているから。その素直な表情やうれしそうな走りを見ているだけで喜びが伝わってくる。

Kと一緒に海を連れてドイツ村に行き、藪を抜けた道の向こうに真っ青な海が見えると、毎日のことなのになんて美しい海なのだろうと思う。

そして、今そばにある家族や幸せを心からありがたく思うのだ。

「空」を迎えることにしました。

海を迎えたのは2年半くらい前の12月。海は生後2ヶ月で熱海にあった我が家にやって来た。

まだトートバッグに入るくらいに小さくて、ワクチンをまだ打っていなかったから外にはなるべく出さないようにして大切に育てたのを覚えている。

大型犬は生まれてからの成長がびっくりするくらい早いから驚いた。生後半年くらい過ぎたらかなり大きくなって9ヶ月くらいではほぼ成犬と変わらないくらい大きくなっていたと思う。

3ヶ月目4ヶ月目の頃は甘噛みが酷く、このまま甘噛みが治らないんじゃないかと心配になったこともある。

そんな少し前の海との思い出に浸っていたのは、実は僕たちの家族に新しく「空」が加わることになったから。

数日前に何気なくインスタを見ていたら、海のブリーダーさんの所に新しくワンちゃんが孕ったとの知らせを読んだのだった。

そしてKと話して、「空」を迎えようか?と決めたのだった。

赤ちゃんが産まれるのは6月末か7月の初め。

それから2ヶ月か3ヶ月くらい親元で過ごした後、秋には我が家にやって来られるかもしれない。

まだ生まれていない赤ちゃんなのに、今からKと2人でなんだかドキドキしている。

チビ。

海の散歩をする公園の下の簡易ホテルのゴミ捨て場に、白と茶色の小型犬がいるのを見つけて、僕たちは時々その犬にエサを持って行ってあげていた。

週に3回くらい行くこともあったけど、その後、他の人もエサをあげていたようで、僕たちのエサを残すこともあったので回数を減らして行った。

その後、その犬のことをチビと名付けて時々様子を見に行っていたのだけど、最近は少し離れた集落に住んでいるようで、他の犬と一緒に家の庭にいるのを見かけるようになっていた。

「きっとやさしい人がチビの面倒を見ていうれているんだね」

僕たちはそう話しながら時々その家のそばを通る時にチビは元気かと気にしていたのだ。

でも、この1ヶ月くらい全然チビの姿を見かけなくなってしまい、いったいどこに行っちゃったんだろう?と心配していた矢先、ふと宮古島の保健所のHPを覗いたらチビが捕獲されている写真を見つけた。

以前にも捕獲するための檻を仕掛けられながらも捕まらずにいたので、このままあの家で緩やかにエサをもらいながら暮らしていけるかと思っていたのだけど、そう簡単ではなかったみたい。

宮古島はここ数年犬も猫も殺処分0なので、きっと地元の団体か他の地域の団体が引き出して譲渡先を探してくれる野田と思うけど、僕たちとしては複雑な気持ちがしたのだった。

捨てられている犬や猫を全て僕たちが救ってあげることはできないし、そうかといって何も感じずに生きていくこともできない。

せめて僕たちのできることは、飛行機で東京などに移動する際に、持ち込み荷物として譲渡先に犬や猫を運ぶボランティアをすることくらいだろうか。

この島で暮らす島民や移住者ひとりひとりが犬や猫に対して意識が変わらなければ、捨てられる犬や猫も減ることはないしこのままの状態が続いてしまうのだと思う。

避妊や去勢手術は大切だけど、一番変わらなければならないのは人間の意識なのだ。

海さん。

海が時々ソファの肘掛けやベッドに顔を乗せてこちらをじっとみている時がある。

それは、「僕のこと忘れてない?」と言っているようでもあり、「大好きだよ」と語りかけているようでもある。

言葉は喋れないけど、海さんの愛情をひしひしと感じる瞬間。

そのまんまるな目で見つめられると、思わずぎゅっと抱きしめたくなるのだ。

岩の上の海さん。

海さんを岩の上に置いて撮影したらきっと面白い写真になるに違いないと思いながらずっと何度も試していたのだけど、もう少しといったところだろうか。

実際に撮れた写真は、海さんの方が岩よりも濃くて岩に馴染んでいなかった。

次回もう少し岩を選んで座らせてみようと思っている。

海は「何してるの?」ときょとんとしていた。

子どもと海さん。

GWの宮古島は家族連れの旅行客で溢れかえっていた。

毎日散歩に行くドイツ村では家族連れに会うことも多く、大抵の子どもは海を見ると興味を示し、怖がって逃げるか、興味津々で近づいて来て触ろうとする。

宮古島では海ほど大きな犬は珍しいようで、怖さ半分好奇心半分で近づいて来る。

いたずらっ子が前に近づいて来た時に、海の頭をいきなり叩いたのでお母さんの目の前で怒ったことがあるのだけど、それからは毎回子どもの様子を見て、海を近づけるか近づけないか慎重に見極めるようにしている。

ここ数日子どもの数が多く、海はニコニコして沢山の子どもやお母さんに触られていたのだけど、マズル(口の周り)や耳、尻尾、お腹など、犬にとってはあまり他人に触れて欲しくないところも子どもたちは勢いに乗って触ろうとするので少しヒヤヒヤした。

それでも海さんは小さな時から人に身体を触られることをさせて来たおかげか、嫌がる様子もなくニコニコして触らせていた。

素直で人に触られて喜んでいる海さんを見て、いつも僕は海のことをもっと好きになるのだった。

カップルにワンちゃんがいた。

夕方母屋の呼び鈴が鳴ったので誰かと思って外に出ると、若いカップルがワンちゃんを抱いて立っていた。

「あれ?ワンちゃんも一緒でしたか!!!」

OTAから入った予約状況には書いてなかったのだ。

僕たちは慌てて部屋に入り、ワンちゃん仕様のベッドに変更する。ワンちゃんが粗相をしてもいいようにシールの下のベッドパッドも枕も布団も防水のものに変えていく。

イージーチェアの上におしっこかけられないように防水のクッションを置いて、ワンちゃんのオシッコシートや消臭スプレーやゴミ袋を用意して完了。

カップルは今回新婚さんで、結婚式の後にうちに2泊して帰るとのことだった。

結婚式の準備中はワンちゃんは預けっぱなしで、結婚式には参加したけどその夜のホテルも犬の宿泊はできなかったようでペットホテルに預けていたらしい。

ワンちゃんは嬉しそうに庭で走り回って全身で喜んでいた。

これから2泊、AZZURRAでご家族一緒にゆっくり楽しんで欲しい。

ワンちゃんのお粗相に備えて。

AZZURRAはワンちゃんもお泊まりできる部屋が1室あることはここに書いた。

ワンちゃんがお泊まりする時は布団の中身を替えて、枕も防水のカバーを下につける。ベッドパッドも防水にする。リビングのチェアには水が濡れてもいいように防水のクッションを敷いておく。

ワンちゃんは場所が変わると緊張とストレスから部屋でもおしっこをしてしまうことが多く、どんなに躾が行き届いたワンちゃんでもお粗相をしてしまうことを想定している。

それは、うちの海が和歌山のホテルに行ったときにいきなり布団の上におしっこをしてしまったことがあったから。普段は決して家の中でおしっこなどしないと思っていたのでこの時は僕たちも狼狽えたのだった。

犬は人間の言葉などわからない。人間のルールなどわからないのだ。こちらがワンちゃんが粗相をした時に備えておけば、大抵のことが起こっても解決できる。

AZZURRAに宿泊するお客さんもワンちゃんも、安心して滞在出来るような宿にしたいと思っている。

眠れない夜。

昨日はワンちゃんが泊まったことを書いたのだけど、これには新たな問題があることもわかった。

それは、ワンちゃんが宿に泊まっていると、部屋に1人で残された時などに鳴くことがあるということ。

それによって海もワンちゃんの声に反応して気が気ではいられないみたいになってしまう。

これは夜中でも同じで、ワンちゃんが興奮して眠れないようで吠えると、海もその声で起きてしまって心配して鳴くのだ。

僕たちは一日眠れない夜を過ごし、今後ワンちゃんの宿泊に関してもう少し中身を注意深く考えないといけないと思ったのだった。

ワンちゃんが宿泊する場合は両室お客さんは入れないようにすること。

なるべくワンちゃんだけ部屋に置いていくことのないように決まりごとを書き込んでおくこと。

ワンちゃんも生き物である以上、細心の注意を払って滞在してもらいたいと思うのだ。

こうやって少しずつ問題を把握して、どうしたらいいのか解決策を探っているところ。

ワンちゃんがやって来た。

VILLA AZZURRAは2室しかない宿なのだけど、1室はワンちゃんも宿泊できるようにしている。

今回お泊まりに来てくれたワンちゃんは、オーストラリアンシェパードのラニちゃん。中型犬だけど海よりも体重があるみたい。

海はこのラニちゃんと一緒に遊びたがっていたので、最後に帰られる日に庭でドッグランのように遊ばせてあげることができた。

海とシェパードのラニちゃんはとてお相性が良かったようで、2人で楽しそうに走り回っていた。

うれしそうな海とラニちゃんを見て、ワンちゃんが一緒に泊まれる宿を作ることができて本当に良かったと思えたのだった。