ねずみを巡る戦い。その2

出張中にKからLINEが入った。
どうやら超音波でしばらく姿を潜めていたネズミが、超音波を克服してまた鉢を荒らし始めたようなのだ。
Kはシクラメンの下にまで潜り込んだネズミに腹を立て、しょうがなく大きな鉢2つを家の中に取り込んだようだ。
こんな生活はいつまでも続けられないし、かと言ってネズミを駆除するのも気の毒だし、次なる作戦を練っているところ。

昔の戦争について、我々ができること。

※まず、これは、政治的なお話ではないということを、おことわりしておきたいと思う。中国の名門である北京大学を出て、今はライターをやっておられるYさんのお話がとても興味深かった。
<以下はYさんのお話>
僕たち日本人の中では、第二次世界大戦はもう74年以上前に終わっていると思うんです。そうやって教育されてきましたし、実際にそれだけの月日が流れているのですから・・・
でも、中国やその他の国の人々にとっては、未だに第二次世界大戦は終わっていないんです。
今でもテレビでは戦争の番組や日本人が酷い残虐な行いをしているドラマがずーっと流れっぱなしなんです。
ですから、僕はこう思うんです。一方的に終わったつもりでいてはしょうがないと。
中国や他の国の人たちとお話しする機会があったら、お話しをする時に僕は謝るんです。
自分がやったことじゃないし、もう75年くらい前の話だけれども、謝るんです。
そうすると、彼らも僕たちのお話を聞いてくれるような気がします。
<以上>
これは、人によっては到底受け入れられない考えかもしれない。でも、僕でさえ、今までアメリカ人やイギリス人、中国人、韓国人と話した時に、戦争の話でいつもズレを感じるようなことが度々あった。
これからは、Yさんに教えていただいたような気持ちで、世界の人々と接していけたらいいなあと思ったのだ。

中国の杭州へ。

やたらとビルに映像を映している

高層ビルの下には民家が軒を並べる

中国に来るのは、かれこれ10年ぶりくらいだろうか。
杭州は、上海から西へ車で3時間半くらい移動したところで、世界遺産の西湖が有名なようだ。
今回は仕事一色なので、観光する時間はないのだけど、僕たちのホテルの周りは大きな建物が建設ラッシュで、ふと見るとその高層ビルの足元にはバラックのような民家が今も軒を連ねている。
現地のスタッフと話して驚いたことは、上海と杭州でさえ、言葉が違っていてわからない方言が結構あるということ。
北京語は公用語としてみんなはわかるけれども、普段はそれぞれその場所の言葉を使っているのだそうだ。それは、日本の地域ごとの方言のような違いではなく、全く違う音になるような言葉の違いだった。
久しぶりに来た中国は、決済はアリペイかウィチャットの2択のような感じで、現金離れが日本よりもずっと進んでいた。

フォードVSフェラーリ

1960年代半ば、アメリカのフォードは全米で自動車販売を拡大し続けていたが、F1やル・マンでは世界に評価されるような車ではなかった。
そこはフェラーリの独壇場で、全米ナンバー1のフォードであっても、イタリアのフェラーリからすると、醜くてダサい車だと思われていたのだ。
ある日、元レーサーで、今はカーデザイナーのシャルビー(マットデイモン)の元に、フォードから、「ル・マンで優勝するように」というミッションが託される。シェルビーはエキセントリックで偏屈なケン・マイルズにそのミッションを託し、ふたりの挑戦が始まる。
実際にあったお話を映画化した作品は、レースのシーンなどどうやって撮影して編集したのか?と思うほどよく作り込まれている。
クリスチャン・ベールのブレない演技に、最後まで目が離せない作品。
⭐️フォードVSフェラーリhttp://www.foxmovies-jp.com/fordvsferrari/

小さな心づかい。

ずいぶん前に会社のデスクに常駐していた派遣社員の女性Tちゃんは、いつも明るい子だった。
いつだったか、僕が急に頭が痛くなった時にTちゃんの持っていた頭痛薬をくれたのだけど、その時に同時にコップに入った水を手渡してくれた。
僕はその薬を水と一緒に飲もうとすると、お水ではなくぬるま湯だったのだ。
ぬるま湯はとてもやさしく、薬もすーっと違和感無く身体の中に入っていった。
それ以来、胃薬だったり何回か薬をもらうことがあったのだけど、そのたびにいつもTちゃんから手渡されるのは、白湯とお水の間のぬるま湯だった。
それから僕は、人に薬を手渡す時には、出来る限りぬるま湯で渡してあげるようにしている。
ほんのちょっとのことだけど、やさしさって、そういうことなのかもしれない。

BuzzFeedの記事。

昨日、クライアントにプレゼンに向かうため、大きな横断歩道を渡ったところ、前任者の担当の女性R(28歳くらい)さんが偶然歩いていて挨拶をした。
僕「今年もよろしくお願いいたします」
R「あ…ただしさん。お久しぶりです。今年もよろしくお願いいたします」
R「あの…私、ただしさんの記事読みました」
僕「あ…もしかして、BuzzFeedかハフポストですか?」
R「はい。記事を読みました」
僕「ありがとうございます。◯社さんの僕を知ってるみなさんはご存知なんですかね?」
R「いや、社内で話してはいません。SNSで流れていて見かけたので…私、読みながら泣きました…」
昨年からはじまった『同性婚訴訟』第3回期日に意見陳述をした時に、いくつかのメディアに取り上げられた記事を、Rさんは偶然目にしたようだった。
僕は、それをわざわざ僕に伝えてくれたRさんがうれしく、逆に勇気をもらったように感じたのだった。

たいせつなプレゼン。

今日は、今年一番たいせつなプレゼンがあった。
年末の26日(木)にオリエンを聞いて、年末年始でいろいろ考え、年始に2回打ち合わせをして案をまとめたのだった。
本来ならば、来週末あたりにプレゼンするつもりが、あいにく来週は僕の中国出張が入ってしまい、急遽1月の1週目にすることにした。
久しぶりの大きなプレゼンであり、僕に指名がかかって任された仕事。がっかりさせるわけにはいかないと思い、年末年始にもずっと頭の中から離れることはなかった。
朝、鳩森神社にお詣りに行き、無事に終わるように願った。
プレゼンは、少し緊張して呂律が回らないところがあったけど、思った以上に好感触で、クライアントのふたりがとても喜んでくれているのがわかった。
短い1年間の中で、自分で納得のいく作品を作り出せるのは、だいたいひとつ。
この仕事が僕の今年の、心に残る仕事になりますように。

雑草。

いつもの駅に向かうゆるやかな坂道を歩いていると、ふと道端に小さなピンク色の花を見つけた。
民家と道のちょうど隙間に根をおろし、ひっそりと咲く花があまりにもかわいくて、脚を止めて写真を撮った。
うれしくなって歩こうとすると、僕の母校へ今から向かう高校生カップルが目の前の坂をゆっくりと下ってきた。ふたりは恥ずかしそうに、でもとてもうれしそうに手を繋いでいた。
ほんのちょっとした朝の一瞬の光景に、「今日はいい一日になりそうだな・・・」と心躍ったのだった。

リネンのふきん。

Kが突然僕の名前を読んで言うのだ。
K「ただしくん・・・あの・・・このタオル、もう捨ててもいい?」
僕「え?何で捨てるの?まだどこも破れてないじゃん」
K「このシミが落ちなくて・・・」
僕「漂白剤使ってみた?」
K「使ったけど、黒ずんだシミが落ちないの・・・」
僕「じゃあ、捨てれば。もう15年くらい使ってるかもね」
K「Kちゃん、このシミ見てたら悲しくなってきちゃった」
僕「かわいそう・・・僕は全然気にもしてなかった・・・」
リネンのふきんは、台布巾ではなくて、漆などの食器を洗った後に拭き取る用に使っている。それ以外だと、キッチンで手を拭く時に使っているのだけど、リネンの性質上、濡れてもすぐに乾くので気持ちがいいのだ。
そのリネンに、長い間にできてしまった黒ずみがあったみたいで(僕は全く気にもとめてなかった)、Kはこれがずっと気になっていたようなのだ。
僕は、とても大雑把な性格なので、ざっくりと清潔であればいいのだけど、Kは検査技師という仕事柄か、布のシミや糸のほつれ、布の擦り切れなんかが気になって仕方がないみたい。
これ以外にも、ソファのカバーの擦り切れを時々指摘されるのだけど、これに関しては作り替えるとお金がかなりかかるので、ぐっと我慢している様子。
こういう小さな違いに出会うたびに、神経質な女の子みたいでかわいいなあ・・・と思うのだ。

鳩森神社。

僕とKは、毎年近所の鳩森神社に初詣にいく。
2日の日に鳩森神社に初詣に出かけると、どうしたことか神社の外まで長蛇の列でお詣りをするまでに1時間くらいかかりそうだった。「何事だろう?」と思い、3日に行くと、同じく長蛇の列だったので、別の日にしようとまたお詣りをせずに帰ってきた。
このあと見つけた記事によると、占い芸人の島田秀平という人が、鳩森神社のことを「今年は世界一のパワースポットです」と番組で話したそうなのだ。https://web.smartnews.com/articles/hzBk2gyRhFV
もともと、月に何度もお詣りしている自分の氏神さまが褒められるのはうれしいことだけど、初詣が延びに延びて、7日の朝、Kとふたりで出勤する前にやっとお詣りできたのだった。
今年はいいこと、ありますかね?