Kはこの家に引っ越してきて、時間さえあれば家のあれこれをしている。
庭の雑草を取ったり、芝刈りをしたり、ドアを直したり、掃除をしたり、車庫を片付けたり。
今日も黙々と倉庫をひとりで片付けしていた。
Kが思いがけずつぶやいたことがあった。
「家のことをするのが好きなんだ」
病院で検査技師をしていたKは、意外にも家のあれこれをすることが好きだったのだ。
家の片付けをしたり、雑草をとったり、修理なんかをしながら、少しずつ家が良くなっていくのを感じるからだろうか。
黙々と動いているKを見ながら、この家に引っ越してきて本当によかったと思うのだった。