5月に予定されていた裁判の期日が、コロナの影響で結局12月2日になった。
今回は、裁判長の横(左右)に座っていた若手裁判官がまるっと交代したので、まずは弁護士から原告側の主張や総括をお伝えし、その後、原告3人による意見陳述が行われた。
この意見陳述がどれも感動的で、一人ひとりがそれぞれ傷ついてきたことを思うと涙がじんわりとこみ上げてきた。
そこから裁判は大もめになった。
それは、裁判長が、今回の我々の裁判では原告側の本人尋問は行わないという姿勢を崩さなかったから。裁判長にとって、原告の陳述はそもそも「夾雑物」であり、裁判にはあまり関係ないものと思っているらしいのだ。
弁護士たちは、なんとか本人尋問をおこなってくださいと、入れ替わり立ち替わり裁判長にお願いした。僕もすかさず立ち上がり、どうか我々の本人尋問をおこなってくださいと懇願したのだ。
中川弁護士と裁判長がかなり感情的な言い合いになったけど、結局裁判長は尋問など必要ではないという立場を崩す事はなかった。
我々の意見陳述というのは、裁判では実は証拠にはならないらしい。陳述書は証拠になるのだけど、陳述書に書ききれない様々な不平等や差別、苦しんだことを、本人尋問として発言しなければ、この裁判の証拠として扱われる事はないのだ。
これは、我々だけでなく、日本で暮らすたくさんのセクシュアルマイノリティのための裁判。
何としてでも平等の権利を勝ち取るまで、引き下がるわけにはいかないのだと、今日も気持ちを新たにしたのだった。