夏からずっと進めてきたCMの企画が、金曜日にほぼ決済がおり、一段落していたのだ。これでやっと、ゆっくりと眠れると。
それなのに、それなのに・・・火曜日夕方に呼び出されて、3本のうち2本がひっくり返ってボツになってしまった。
僕はさすがに、3回もひっくり返されて意気消沈し、怒りやら吐き気やらで、「これからどうしようか・・・」と考えていた。
でもそれを、Kにはあまり知られないように、なんとか自分の中に止めようとしていたのだけど、晩ごはんの時にKはすぐにわかったようで、起こりはじめた。
「ただしくん、もうこの仕事やめてあげて」
「しょうがないよ。こういう仕事なんだから。企画が決まるまでもう一度頑張るよ」
「もうこんな無茶なこと言う会社、ほんとやだ。クリエイティブもやめればいいじゃん。もっとゆっくりした部署にいけば」
「大丈夫だよ。もう一回頑張るよ」
必死になって僕を守ろうとして怒っているKを見ながら、自分がしっかりしなくてはダメだと思ったのだ。
僕が傷つくと、家族も同じように傷つくものだ。
そんな姿を見て、もう一度立ち上がろうと思った夜だった。