熱海への移住が決まり、Kは早速仕事探しをはじめていたみたいで、三島にある病院に面接に向かった。
病院側は、通常勤務の社員を求めているようだけど、今までいくつかの病院での勤務を経験したKは、再就職を慎重に選ぶようになったようだ。
夜勤があったり、早朝から夜遅くまでの勤務であったり、休みのないブラック病院を避けるようになっていた。
面接から帰ってきたKにどうだったかと手応えを聞くと、「うん。向こうは通常勤務を求めているみたいだった」「それでどう言ったの?」
「朝は、8時殻みたいだけど、熱海から遠いので9時半からならいけると答えたの。夕方は少し遅くなってもいいと」
「そんなこと言って大丈夫なの?病院ってみんな朝早いじゃん」
「でも、8時に行くには、7時すぎには出なきゃいけないし、それが毎日だときついよ」
「そうだね・・・そしたら国立だし難しいかもね」
そんな話をしていたら、程なく内定の通知が届いた。
「よかったね。ブラック病院じゃなければいいけど」
「嫌ならすぐにやめたらいいよ」
どうやら、自分の好きなように条件を出して、受け入れてもらえそうだ。
僕たちの移住計画も、少しずつ進みはじめている。