Kとはじめて、僕の母の家へ。

母と父は僕が高校を出た後に離婚しており、父はずいぶん前に亡くなっていて、母は僕が働き始めてしばらくしてから再婚をした。僕はその後、母の養子になったので、僕は現在の父とは血が繋がっていない。

「同性婚訴訟」に原告として出ることを決めた後に、僕は母にきちんと自分の口からカミングアウトをして、その後、パートナーであるKを母と父に会わせるべく、外食をしたのは、もうかれこれ1年半近く前になる。

それからいつか母のいえにKを連れて行きたいと思っていたのだけど、それがやっと実現したのだ。

Kは僕の母に会いに行くので気をつかっているのか、珍しく襟のついたシャツを着て、朝10時の開店を待って新宿高島屋に行き買い物をして、電車に乗った。

駅には母が車で迎えに来てくれていて、母の家に着くなり次々と料理が運ばれて来た。

母はその元来の単純な性格のためか、Kを疑いもなく僕のパートナーとして受け入れていて、なんの迷いも不安な要素もないのがわかる。

父は、今までLGBTなど聞いたこともなかったような人で、僕がカミングアウトをした時に完全には受け入れていなかった人だ。そして、Kにとても気をつかっているのがわかり、お酒を何度もついで飲ませようとしていた。

帰りがけ、僕が少し心配したのは、僕とKは16歳年の差があるので、そんな男二人と父母が歩いていたら、「周り近所にどう思われるだろうか?」ということだった。

バス停まで二人が見送ってくれたのだけど、僕の心配などよそに、父も母も近所の目を気にする様子もなく、普通に息子カップルを見送る父と母に見えた。

父は、血の繋がらない僕を養子にして、その後急にその息子がゲイだと告げられ、やがて男の恋人を伴って家に現れ、その展開にもしかしたらまだ抵抗があるのかもしれない。

でも、こうして少しずつじっさいにKと会うことで、僕たち家族の距離も少しずつ縮まっていくのがわかる。

大切なことは、こちらの関係性を一気に押し付けることではなく、少しずつ向こうの速度で考えてもらい、時間をかけて変わっていけたらいいなと思えること。

少しずつだけど僕たち家族の関係性も、良くなって来ているのがわかる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です