家を探して。その2

毎週末のように熱海を訪れている。

熱海駅の新幹線改札口の彼を見に行っているわけではなくて、これから住むための家を内見しているのだ。(そのどちらでもあると言えるのだけど)

そんな中で、「あ、ここなら住んでもいいかも…」と思える海が目の前にある物件が、前回ここに書いたように一度先を越されたこともあり、意外と熱海不動産熱は高まっているのか、競争率も思った以上に高いことがわかった。

そのため、図面で見て良さそうな物件は、なるべく早めに内見に行き、よければその場で次の段階に進めることにしたのだ。

元々、宮古島か石垣島に住む予定が、仕事もあるしいきなり沖縄には飛べないからその前にワンステップ踏んで、働きながら海のそばで暮らしてみようと思い立った熱海移住計画なのだけど、その後なかなか海の見えるよい物件が出て来ていなかった。

今回見に行った物件は、まさに水平線を眺めながら暮らせる物件で、「よし!これは来たかも!」と密かに思いながら出かけたのだ。

物件に着く途中で言われたことは、

「お客さん…この辺り、湯河原との境目の山のところは、実は光が来ていないんです…」

「え?そんな…みんなどうしてるんですか?」

「みなさん高齢だし、ネット環境はそれほど気になさないみたいで…」

「そ…そんな…山の中のポツンと一軒家でもあるまいし」

移住先で、インターネットが異常に遅いなんて…どうやら熱海の中でも伊豆山地域は光が未だに届いていないと言うのだ。

物件は、海が180度近く広がり、静かそうな良さそうなところだった。

でも…ネット環境がまともに整わないのであれば、自分でどうにかする事も出来ないだろう。

美しい海原を目に焼き付けて、泣く泣く熱海を後にした。

幸華

熱海には、美味しいレストランがいくつもあって、毎週末色々なお店を訪れては、ちょっと感動しているのだけど、銀座町のそばの海側の渚町にある『幸華』は、縁があって入ったお店。

今回、ずっと同じ不動産で内見を重ねている僕の担当者さんのご実家だそうで、ある日ご実家のお店がどんなお店かも知らずに「Iさんのご実家のお店でランチ食べて帰ります」と言って送っていただいたのだ。

店内は、地元のお客さんが次から次へと訪れて来ていて、そこら中で挨拶をしている。


運ばれて来た焼豚は、とても柔らかく驚かされ、春巻きは熱々で中身はトロっトロ。焼売は大きなサイズで551のように食べ応えがあった。

何を食べても美味しいので驚いていると、こちらは3代続く中華料理店のようで、地元ではとても有名なお店とのこと。

またすぐにでも訪れたいと思う素晴らしいお店だった。

⭐️幸華http://幸華 0557-81-3901 静岡県熱海市渚町12-11 https://tabelog.com/shizuoka/A2205/A220502/22000692/

熱海駅、新幹線乗り場の駅員さん。

毎週末、熱海に家探しに通いながら、楽しみなことがある。

それは、熱海駅の新幹線乗り場改札に、とてもかわいい駅員さんがいること。

背が高くて野球をやっていた感じの好青年で、新幹線が着くと大抵1/2くらいの確率で改札口に立っているか、窓口の中にいる。

ゲイの性(さが)なのか、51歳のおじさんは、熱海駅に行くたびに、ついついその青年がいないか目で探す。

Kはそれに気づいているけど、Kもその人はかわいいと納得している様子。

ロープ

なんと、1948年に作られたアルフレッド・ヒッチコックによるゲイ映画「ロープ」を観た。

この映画は、「レオポルドとローブ事件」として実際に1024年に起こった殺人事件を元に作られており、殺人犯の二人の男性はユダヤ人の裕福な家庭のゲイだった。ニーチェの超人思想の信奉者であり、隣人の遠い親戚にあたる16歳の少年を殺害し終身刑になった。

実際には、舞台が先にあったものを映画化、1948年当時、ゲイなどというものを公に出せない世の中において、ヒッチコックがギリギリのところで緊張感を表現している。

殺害の動機が、ニーチェの超人思想であることや、彼らが人を殺しても全然平気で入られたことなど、奥に隠された心理をとても知りたくなる不思議な映画。

⭐️ロープhttps://eiga.com/movie/50961/

久しぶりにKが怒る。


土曜日の朝、熱海でファミレスで朝食をとっている時に、ヨボヨボのおじいさんが目についた。

そのおじいさんは多分少しボケていて、杖をつきながらやっとの思いで歩いている。

何度も何度もコーヒーやオレンジジュースを取りに来ては、コップを洗ったり、そのコップを新しいコップのある場所に置いたり、そうかと思えばオレンジジュースとお湯を混ぜ合わせたりしていた。

僕はそのおじいさんから目が離せなくなり、席を立つたびに目で追いかけていて、次は何をやらかすのだろう?と思っていた。

Kはそんな僕に、おじいさんをもう見ないようにと言っていて、引越しに関する話を僕にし始めていた。

僕はそんな話もまともに取り合わず、目でおじいさんを追いかけていたら、Kが突然怒り出した。

「もう、そんな態度なら、Kちゃんここでもう帰る」

「え?急にそんなこと言わないでよ。今日もまた家を見に行くんだし・・・」

「だって、ただしくん、まともに話し聞いてくれないんだもん。家だって何軒行っても決められないし・・・」

「だって、引越しってなかなかできないんだから、ちゃんと考えて納得いく物件を選ばないといけないでしょ?」

そんなやりとりをした挙句、少ししたらKも落ち着いてくれたのだけど、もうすぐ9年目になろうとしているのに、未だに僕はこんな小さなことでKを怒らせてしまうのだ。

Kが起怒ったのはきっと、痴呆の進んでいるおじいさんを、僕がずっと目で追いかけていたからだろう。

自分だっていつかはあんな風にボケる日が来るかもしれないのだ。おじいさんへの敬意が足らなかったと思って、自分の行動を改めて戒めたのだ。

基地 TESHIGOTO

昨日ランチを食べた「キチプラス」には、「基地」と言う素敵な雑貨屋さんが姉妹店であるとここに書いた。

このお店、熱海から銀座町に抜ける通りにあるのだけど、今まで何度通っても開いていることがなくて、今回やっとお店に入ることができた。

小さなお店にはこだわりの雑貨が並んでいて、熱海に関する本があったり、県内のアーティストや作家さんのオブジェや洋服、作品なども置いてある。

「おお!このバッグ綺麗だね!」と思わず手に取り久しぶりにバッグを買ってしまった。

店員さんも熱海愛に溢れ、話もとても面白い。

時々東京の雑貨屋さんが恋しくなっても、ここにくれば大丈夫。笑

⭐️基地http://www.cafe-kichi.com/kashi-kichi/

キチプラス

熱海駅から銀座町方向に少し下ったところに、『基地』と言う素敵な雑貨屋さんがあって、そこの系列店がしらす丼も作っていると言うので、お昼に食べに行った。

このしらすを中心にした「三色丼」と「二色丼」、ちょっと暑さでバテていたのに、さらっと美味しく食べることができた。

生のしらすも釜揚げのしらすも、全く臭みがなくサラサラ食べられる。

古民家をベースに、木を中心に使ったテーブルやいすは温かくお店の雰囲気も良くて、この店が流行る理由がよくわかる気がしたのだ。

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石川屋

8時近くに熱海に着いて、ホテルに入る前にご飯を食べようと、適当に入れそうなお店を覗くも、どこも有名店は混んでいて、結局前に店の前を通って並んでいたラーメン店に運よく入れた。

『石川屋』は、熱海から銀座町に向かうメイン通りの坂の途中にあって、優しそうな大将が迎えてくれる。

出てきた餃子もとても香ばしく美味しく、チャーシューは柔らかく、ラーメンもとても美味しかった。


お店のカウンターに1.5メートルくらいあるアグー豚の肋の部分が置いてあって、それは明日の分だと大将が教えてくれたのだけど、あれがあっさりとなくなってしまうなんてすごいと思った。

熱海でラーメンが食べたくなったら、「石川屋」に来よう。

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普段ではしないこと。

今日は、びっくりするようなことがあった。

夕方、品川駅で新幹線を待っていて、宿に着くのが遅くなりそうなので電話を入れると、「〇〇さんのお名前は、今日の12時過ぎにキャンセルになっています。こちらはすでに満室でございます」

何が起こったのかわからなくて呆然とするも、思い当たる節はあって、ホテルを今日の分と明日の分を別々に楽天で予約をしており、明日のホテルは今日になって予約したのだ。

その後ホテルから電話があり、「男性2名でダブルベッドは・・・」というので、「僕たちカップルなので大丈夫です」と話したのだけど、「部屋からの眺めがよくないんですよ・・・」などと言うので、「ではキャンセル代かからないのならキャンセルさせてください」と言って、電話を切り、自分ではキャンセルをしたつもりでいたのだ。

すると、2時間後くらいにまたホテルから電話があって、「キャンセルがまだのようです・・・」と言うので、また楽天を立ち上げて予約をキャンセルしたのだ。

思えば、最初に今日のホテルのキャンセルをしてしまっていて、その後に、明日のホテルがキャンセルされたようなのだ。悪いのは、細かくホテル名や日にちを確認しなかった僕なのだけど、当然、当日のキャンセル代金は100%取られてしまった。

品川駅で新幹線に乗り込みながら今日の宿を新たに探して予約するも、なぜか僕の心に浮かんだことは、これは明日は熱海に泊まらずに予定を変更して東京に戻った方が良いと言うことだった。

「お盆」と言う時期がそう思わせたのかもしれないけど、今まで一度もこんな手違いを起こしたことはなかっただけに、ホテルの予約で2回もつまづくと言うのは、何か虫の知らせのようなものだと感じたのだ。

最愛の人を失くすということ。

「徹子の部屋」に、「平野レミ」さんが出たというので、Kとふたり晩御飯のあとに楽しみにTverで見たのだけど、これが素晴らしい収録だった。(残念ながら今はTverなどでは動画が削除されてしまっている)

平野レミさんは、天真爛漫というか、どうやってこの人は育ってきたのだろう?と思うような天然に見える人だけど、そんな平野レミさんには「和田誠さん」という著名なイラストレーターのパートナーがいて、先日亡くなられたのだ。

いつもは元気でみんなを笑わせてばかりいる平野レミさんが、旧友の徹子さんの前では自分の本当の心が現れるのか、最愛の夫を失くした悲しみが、見ている僕たちにも痛いほど伝わった。

エピソードの中で、棺に入った和田さんに帽子を被せて、もう一つはビニール袋に入れてしまってあるというのがあった。どうしても和田さんに会いたくなった時に、ビニールを開いてそっと和田さんの匂いを嗅ぐのだそうだ。

夫を失くして心の支えがなくなってしまい、どうしたらいいのかさえわからない。黒柳さんはどうしてます?心の支えは?という平野レミさんの問いかけに、徹子さんはやさしく言った。

「仕方がないわね。でも、あなたさ、愛してもらったでしょ。和田さんに。
だからそれがあれば、一生涯、和田さんに愛してもらったっていうつもりで、生きていけばいいじゃない」

人生の中で、愛する人を失うことほど辛いことはないかもしれない。

でも、そんな時に、平野レミさんのように、自分に正直にきちんと悲しんでいる姿は、見ている僕たちに共感とともに勇気を与えてくれる気がした。

それだけの悲しみが感じられるのは、それだけ誰かを心から愛していたという証なのだ。