源氏名。

先日、友人たちとLINEで会話している時に、「そういえば昔は、みんな源氏名で呼ばれていたよね・・・」という話になった。

源氏名と聞いても、若い人はピンとこないかもしれないけど、昔は新宿2丁目などでは、自分の本名を誰もが隠していて、ほとんどの人が別の名前で呼び合うようにしていたのだ。

もちろん、本名の下の名前を言う人もいたけど、だいたい90パーセント以上の人は本名とは全然違う名前を名乗り、呼んでもらうのが当たり前だった。

それは今から考えると、自分がゲイであることを誰もが、自分の会社なり、学校なり、家族なりに、絶対にバレないようにひた隠しにしなければならないことが当たり前の世の中だったのだ。

そこには、ゲイであることは、どこか、人に知られてはいけない秘密。悪いこと。のような共通の認識があったのだと思う。

そしてこの、「人に知られてはいけない秘密」によって、僕たちは時に傷ついたり、自分の中の闇の部分であったり、人に言えない烙印のように感じていたのだろうけど、その反面、そういう他の人とは違う秘密の世界に属していることを、心のどこかで愉しんでいるようなところがあったとも思う。

そして、他の人には知られない秘密の世界が、「新宿2丁目」だったのだ。

そうであるからこそ、新宿2丁目は、世界でも他に類を見ない様々な文化が生まれ、育っていったのだと思う。

時代が変わり、新宿2丁目の秘密性や希少性がなくなってきた今は、いわゆる「新宿2丁目文化」的なものは、今後育ちにくいのかもしれないとも思う。

“源氏名。” への2件の返信

  1. 今はハンドルネームと言ったところでしょうか?源氏名は確かに使っていましたね。僕はほぼ実名でした。削ったくらいでした。
    でも、仲良くなった人には本名も住所も教えていました。親友とか友達とか言ってながら、本名も知らないという人が結構いましたね。

    1. 何首烏さん
      お久しぶりです!お元気ですか?
      そうでしたね。急に連絡が取れなくなって、周りに住所を聞いても誰も知らなかったり、あとは、すべて嘘で塗り固めているような人もいました。今思えば、周りに知られることを誰もが心底恐れていたんですよね。
      今は、ネットでいくらでもハンドルネームだったり、アバターを作ることで、実際の自分を曝け出さずに人と交流することができますよね。でもあの当時は、基本的に新宿2丁目をはじめとしたゲイバーのある場所以外にゲイと交流する場所がなかったし、そんな場所でさえも、本当の自分を知られることを恐れていたんですよね。

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