アゲハの幼虫。その2

このところ、代々木公園や外苑西通り、家の周りの道を散歩しながら、僕はずっと探し続けていた。

何を探し続けていたかというと、レモンやみかんなどの柑橘系の木がどこかにたわわに植わっていないか。

僕の家のベランダで沢山のアゲハの幼虫がかえったことは、数日前にここに書いたのだけど、家のレモンやライムの葉っぱの量には限りがあって、これから幼虫が成長していく中で、どうしたらいいのかとずっと迷っていたのだ。

かといって、この幼虫たちを外にぽいと捨てて見殺しにすることもできない。よくよく考えた挙句、公園や通りに鬱蒼と茂っているレモンやみかんの木があれば、そこに持っていってそっと放してあげるのがいいと思ったのだ。

そして今日、代々木公園を回って、目を皿のようにして探したけど見つからず、富ヶ谷から渋谷に出て、渋谷から246を通って外苑前に向かう途中、ブルックスブラザーズの前の246を挟んだ向かい側の道路沿いに、大きなレモンの木が鬱蒼と茂っているのをKが見つけた。

僕たちは大喜びで、「ここならみんな安心だね!後でここに持ってきて放してあげよう!」

と言って、家に向かって歩きはじめた。
でも、家に向かう道すがらよくよく考えてみると、何かレモンの木が変なのだ。

あまりにも綺麗で、葉っぱは一つも虫に食われておらず、病気もなくテッカテカとしている。それはまるで、農薬をまぶされたレモンのように・・・。

「あの246沿いのレモンの木、消毒されてるのかもね・・・」僕が言うと、

「かわいそう・・・幼虫、死んじゃうよ」Kが心配そうに言った。

「やっぱりあそこはダメだな。みんな消毒されて一瞬で死んじゃうね」

そう思って家に帰り、しばらくはまだうちのベランダで面倒を見ることにしたのだ。

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