肌。

夜、ベッドで二人で眠っていると、
Kがふと、僕の手を探して握ってきたり、
足の裏で僕の足を探してくっつけてくることがある。

それは僕がちゃんとそばにいるのを確かめるようで、
昔僕が飼っていた大きな犬と一緒に寝ていた時を思い出す。

僕はふと目覚めた時に、
向こうを向いて寝ているKのお腹のあたりを触ったり、
出ている背中を触ったりして遊ぶ時がある。
Kはよく眠っているので起きないのだけど、
肌を触りながら、すべすべだなあと感心するのだ。

僕たちは、肌を触ると安心するのだろう。
この広い世界において、
自分がたった一人ではないと思えるのだ。

みかんの網。

晩ごはんの準備をしているときにKが、卵が入っていた赤い網を見て、

「懐かしい!昔こうやって遊ばなかった?」

というので、なんだろう?と思って見ていたら、赤い網をくるくると丸めてりんごを作った。

僕はそんなこともう忘れていたのだけど、そのカタチを見て思い出した。

と同時に、小さな頃にみかんの網で遊んでいたというKを、かわいいなあと思ったのだ。

Kの有酸素運動。


Kが唯一楽しみに通っているゴールドジムに、このコロナのせいで行けなくなってしまった。

夕方になると外苑にジョギングに行ったりして居たのだけど、やはり身体を動かし足りないようで、どうしたものかと悶々としていた。

35歳になったKは、身体に脂肪もつきやすくなって、体重が増え始めており、それもこれもご飯をたくさん作る僕のせいのように言うのだ。

そんな毎日をなんとかしようと、家でyoutubeを見ながら有酸素運動をすることに決めた。

僕たちの家は3階の最上階で、下の階にも人が住んでいるので、部屋でやるには振動と音が出てしまう。Kが有酸素運動に選んだ場所は、玄関の前の廊下だった。

僕の家の他にはこの階には住居の入り口がないので、誰か他の人に見られる心配もないのだ。

玄関の前で黙々と立ったり腹ばいになったりを繰り返しているKが面白くて、大笑いしながらインターホンのカメラで撮影したのだった。

ベランダのバラ。

7

ベランダに出たら、バラの蕾がはっきりと大きくなってきていることに気づいた。

日々の忙しさの中で、植物の成長や変化を見つけるのはとてもうれしいものだ。

今年は仕事ばかりで、バラは植え替えもできなかったし、誘引もできなかったし、ほとんど手をかけてあげられなかったのだけど、こうして春が来ればきちんと咲こうとしてくれる植物の力に感心させられる。

バラは、コロナのことなど恐れることもなく、たくましく蕾を膨らませ続けている。

リモートワーク時の仕事。

僕の会社は、2月末からずっとリモートワークが続いている。

「一旦この日まで」が、コロナがどんどん拡大していく中で延びに延びて、今となっては一体いつになったら会社にいけるのか予測もつかない。

それであっても、クライアントと会わないと話がどうしても進まないという打ち合わせがあって、その度に許可を申請しながら打ち合わせに参加している。

でも、スタッフの中には感染の心配から、直接会っての打ち合わせにはできれば参加したくないという人もいる。

お年寄りと暮らしている人もいるだろうし、持病を抱えている人、子どもを授かったばかりの人など、人によって抱えているものが違うからだ。

でも、仕事によっては、立場が弱い人は、はっきりと自分の意見が言えない状況もあるみたいで、一人ひとりきちんとケアしていかなければならないと痛感させられている。

青山墓地の桜。

人気のない表参道

これで桜も見納めかと思い、今年も青山墓地の桜を見にきた。

墓地の桜なんて、気味が悪いという人もいるだろうけど、僕はなぜかそんなに嫌な気がしなくて、むしろ日本らしい風景な気がしてほっとする。

昔は何度か、この青山墓地でお花見をしたこともある。

墓地の通路に陣取って、温かいおでんなんかを持ち込んでお酒を飲みながら友人たちと騒いだものだった。

今となっては、新宿御苑でもアルコールの持ち込みが年々厳しくなっているし、お花見をすることも簡単にはできなくなってしまった。

桜は、まるで舞台美術のように、薄紅の花びらをこれでもかと言わんばかりに散らしていた。

千鳥ヶ淵の桜。


朝から千鳥ヶ淵に行き、最後の桜を愛でつつ散歩をした。

千鳥ヶ淵も、外出自粛のお達しが出ているため、人通りはほとんどなく、ジョギングをしている人にすれ違うくらい。

このところネット上のニュースも、誰かが誰かを批判しているものばかりで、なるべく目にしないようにしている。

誰かを責め立てているよりも、医療の現場など最前線で戦っている人たちに、感謝とエールを送る人間で居たい。

朝のお散歩。

Kも、今日は病院が休みになったので、朝早くふたりで明治神宮まで散歩をした。

家にあった古いお札を持って、北参道から入って本殿でお参りをして、原宿駅に抜けて帰ってくるコース。

明治神宮の参道は、早朝でも人が歩いていて、日課のように来ている人もいるように見える。

大きな木が沢山あって、様々な鳥が鳴いていて、いつも行き慣れている新宿御苑みたいに森の中にいるような気持ち良さが味わえた。

このところ、家でばかり過ごすことが多いのだけど、こうして外に出て太陽の光を浴びるだけで、気分がリフレッシュするし、身体にもいいような気がする。

明日は、外苑でも歩いてみるかな?

ジューン・ベリー。

今年も、ベランダのジューン・ベリーの花がやっと咲きはじめた。

桜と似ている花は、たいていソメイヨシノよりも少し遅く開花する。

先行きの見えない不安で覆われている毎日の中で、小さな植物の花は、希望の灯のように見える。

 

TOKYO2020

昨日LINEをくれたシンガポールの友人カップルが、ずっと前からオリンピックパラリンピックのTシャツが欲しいと言っていたのを思い出した。

1年後に延期になってしまった今となっては、公式グッズやショップはどうなるのだろう?

この先なくなってしまうのかも?などと不安に思い、クライアントに行く途中に慌てて公式ショップに寄ってみた。

行ってみるとなんてことはない、売り切れにもなっていなくてほっとしたのだ。

東京オリンピック・パラリンピックを自分ごとのように楽しみにしていた彼らに、ちゃんとTシャツを買うことが出来た。