京都に3泊した後、朝から僕たちは和歌山を目指した。
この時期に和歌山へ行くのは、Kの前に10年間つきあっていたかつての恋人Nのお墓参りが目的で、彼が亡くなった翌年から行っているのでこれでもう5回目になるだろうか。
いつもは大阪で一泊してから和歌山へ行き、関空から帰るのだけど、今年は京都に来たついでにKと一緒に和歌山へ向かった。
昔の男の墓参りに、今の恋人を連れて行くことは、一般的にあまりあり得ないことなのかも知れないけど、Nの墓前でKを紹介したいとずっと思っていたのだ。
和歌山駅でレンタカーを借りて、お寺に着くと、鳥の声が聞こえて、風が木々を揺らし、とても静かな空気が漂っていた。
この墓の中に、Nはもういないのかも知れないけど、心に残るKとの幸せだった日々を思い出しながら、手を合わせた。
和歌山への帰り道、途中、湯浅の食堂でとても美味しいしらす丼を食べた。
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そして、和歌山で有名な紀三井寺に行ってみた。
紀三井寺は、200段以上階段を登った山の上にあって、遠く海を見渡せる美しい寺だった。この紀三井寺の桜が、和歌山県の桜の開花予想する樹木のようで、ちょうどこの日に開花宣言が出されたらしく、テレビ局が入っていた。
その後、和歌山城を覗き、関空から帰ったのだけど、関空がびっくりするくらい閑散としていた。
Kは、Nの墓参りに一緒について行くことを、少し気にしていたけど、隣で一緒に手を合わせているKを見て、やっぱり一緒に来てよかったと思ったのだ。
Nは焼きもち焼きだったけど、今の僕とKの暮らしを、きっと応援してくれるに違いないと思えたのだった。