ゲイダー。

周りのストレートの人には全くわからないけど、「私はゲイです」と、ゲイ同士の間ではわかる印のようなものがあったらいいのに…と、昔はよく思ったものだ。
ゲイは、昔から自分以外のゲイを、なんとか普段の生活の場から探し出そうと、無意識に周りの男性を自分なりのゲイダーを使ってチェックしている。自然の摂理に従って、自分のセックスの相手や恋人を探し続けているのだ。
なぜそうなのかというと、10人にひとりくらいの割合がゲイだと言われているけれども(「世界が100人の村だったら」では、89人がストレートで、11人が同性愛だそうだ)、ストレートに比べて圧倒的に少ないからだ。
世界では、左耳にピアスをするとか、ズボンの後ろポケットにハンカチを見えるように出しておけば、どちら側かによってタチかウケかがわかるとか、色々なサインのことは聞いたことがあるけど、どうやら日本ではそれは通用しないようだ。
毎朝、駅までの道を歩きながら、先方から向かってくる通勤途中の男性を、無意識に自分のゲイダーが選り分けている。
ストレートの人は簡単で、僕たちが、女性を目で追わないのと同じで、決して男性を目で追うことはないので、僕と目が合うことはまずない。
でも、ゲイは、ガン見をしてくる場合もあるし、目だけ動いてこちらをチラ見したり、これが一番怖いのだけど、通りの反対側を歩きながら、身体は前を向いているのに、首だけこちらを向けてしっかりと見る人がいる。
もしくは、遠くから向こうから歩いてくる人がゲイだとわかると、敢えて絶対に見ない人もいる。自分は見ないでおいて、相手がこちらを見ているのがわかると、密かに、「勝ったわ…」と優越感に浸る人もいるのだ。
今日も毎朝会う、ガチムチのキックボードに乗ってくるゲイとすれ違った。
ガチムチはキックボードを漕ぎながら、毎朝僕を見つけるとチラ見をしてくる。
僕はガチムチ君を、敢えて見ないことにしているのだけど、向こうは100%僕がゲイであると、気づいているのがわかる。
僕は、そんな僕たちゲイが自然に身につけた生きるための知恵というか、ゲイダーが、たまらなく愛おしく感じるのだ。
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