ブラック・クランズマン

スパイク・リーの映画を観たのは、随分久しぶりな気がする。僕がまだ学生の頃に『DO THE RIGHT THING』でアカデミー賞の脚本賞にノミネートされたスパイク・リーは、今回の『ブラック・クランズマン』において、見事に脚色賞を受賞した。(脚色賞とは、もともとあった原作を元に、作られた脚本に対して贈られる賞)
実は今回のアカデミー賞では、黒人映画がいくつか候補に名を連ねていたのだけど、結局作品賞をとったのは、マハーシャラ・アリ主演の『グリーン・ブック』だった。
『グリーン・ブック』は、日本人の我々が観ても感動する、観終わった後に、「ああ、よかったなあ・・・」という爽やかな余韻に浸れる映画だと思う。でも、同じように黒人が主人公であっても、この『ブラック・クランズマン』は、観ていてもハラハラするし、観終わった後には何とも言えない苦い味わいが口の中いっぱいに残っているような映画だった。
1970年代半ばに、コロラド州において黒人ではじめて刑事になったロンは、新聞広告に載っていた過激な白人至上主義団体の人員募集に目をつけ、自ら白人を装い電話をかけ、白人の刑事を自分の身代わりとして立てることで、団体の内部に侵入することに成功する。
これが、実話を元に作られた映画なのか・・・と思うほど、途中、潜入した警官がバレてしまうのではないか・・・とドキドキさせられ、黒人やユダヤ人に対する執拗な憎悪を何度も見せつけられるうちに、この憎悪はいったいどこから湧いてくるのだろうか・・・と考えさせられる。
エンディングでは、愕然とさせられるような映像が流されて、これからの時代、いったいどうなってゆくのだろう・・・と改めて、レイシズムの恐ろしさを考えさせられた。映画としては、素晴らしい作品だけど、自分が正義感に燃えて元気な時に観に行った方がいいだろう。
⭐️ブラック・クランズマンhttps://bkm-movie.jp

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