ふぐ。

アカデミー賞の発表の前に、映画『未来のミライ』を観に行ったら、亡くなった父のことを思い出して涙がにじんだ。
そして、急に父の大好きだったフグを食べたくなり、そのまま高島屋でフグを買い求めた。
北九州で生まれ、山口県で育った父にとって、フグは忘れられない味だったようで、僕の家は裕福な家ではなかったのだけど、父と暮らした小さな頃冬の間は、食卓にフグが何度も何度も上がったものだ。
大分と比べて東京で売られているフグの高さに驚いたKは、「そんなに買わなくていいよ・・・」と僕を止めるのだけど、どうしてもテッサも食べたいし、皮も食べたいし・・・唐揚げは諦めるけど鍋も食べたいし、やっぱり雑炊も・・・となってしまったけど、今年の冬の最後の贅沢ということで、たまにはいいかなと。
結局日曜日には食べられずに月曜日にずれ込んだのだけど、「おいしいね」「おいしいね」と言って、ふたりでフグを食べたのだ。
大分でフグを食べる時は、Kはお相撲さんのようにテッサを箸でザーーーーッと拾っては、一口で食べていたりしたのだけど、東京のフグの高さを自分の目で見たあとは、ちゃんと1枚ずつ噛みしめるように食べていたのがおかしかった。
「フグは、骨が硬いから、飲み込む前にきちんともう一度骨がないか確認しなさい」
小さな頃によく父が言っていた言葉を思い出して、「このフグを父にも食べさせてあげたかったなあ・・・」と、しみじみと思ったのだ。
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