マッサージのおじいさん。

金曜日の大阪は風があり真冬のように寒くて、屋外の日陰で立ちっぱなしだった撮影が終わると身体が芯から冷え込んだようで、ホテルに帰って大浴場の湯船に浸かった。
浴場から出るとマッサージがあって、やさしそうなおじいさんが見ていたのでマッサージをしてもらった。
そのおじいさん、とても話好きで、僕に色々話しかけてくるのだ。
「お客さん、夢はなんですか?」
「え?夢?…世界中を旅行しながら暮らすことですかね…」
「身体がしっかりしてますが何か運動してるんですか?週に2、3回くらいかな?」
「ジムに行ってます。なかなか忙しいと行けないんだけど…」
「お客さん、奥さんや子どもさんは?こんなに体格がしっかりしててもったいない…」
「はあ…結婚はしてないんです」
「おいくつなんですか?」
「もうすぐ50です」
「え?嘘でしょ?」
(若干うれしい僕)
リラックスしに来たのに話してばかりで、それでも腕はものすごくよくて、整体で内臓の悪いところを当てて刺激をツボに与えてくれる。
「お客さん、本を差し上げるから、読んでみてください。とてもいいことが書いてあるから。お客さんも、世界のためになるような大きな夢を持ってくださいね」
おじいさんはマッサージが終わると、一冊の本を僕に渡した。
「面白かったらまた私に連絡してくださいね」
本は、宗教的なものではないけど、自己啓発本の類のようだった。
時々こんな不思議なことがある。
おじいさんはまだまだこれから、人助けのためにあと一冊医学に関する本を執筆すると言っていた。

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