青菜の煮浸し。

料理をするたびに、何十年となく繰り返し作っている料理はなんだろうか?
僕は、『小松菜の煮浸し』と答える。
先日はここに『壬生菜と油揚げの炒めもの』を書いたのだけど、これはすぐに出来る手軽さで作ることが多いのだけど、もうほんの少し時間があったら、僕は煮浸しを作る。
『青菜の煮浸し』は、どこの家庭でもそうだと思うが、小さな頃から母が繰り返し作っては食卓に上がっていた料理。
胃が疲れた時や何か青菜が食べたいと本能的に思う時には、『青菜の煮浸し』を作って食べると、なんだかホッとするものだ。
⭐️青菜の煮浸し
〈材料〉
小松菜や水菜などの青菜1束
油揚げ1枚
A(出汁7:醤油1:酒1)
出汁210ml
薄口醤油大さじ2
日本酒大さじ2
〈作り方〉
1.小松菜を食べやすい大きさに切ってボウルの水につけてシャキッとさせる。この時、ボウルの中に小さなザルを入れておき、その中に茎の部分だけ入れておく。
2.油揚げを横長に置いて、真ん中で真横に切る。青菜の茎に合わせた太さで切る。
3.鍋にAを入れて油揚げを入れて弱火で少し煮る。そこへざっと水を切った青菜の茎を入れて煮る。
4.少ししたら葉の部分を入れて、ざっくりかき混ぜたほぼ全体に熱が通ったところで手早く別の容器にすべて移す。
5.お椀に、3回に分けてよそって完成。
※小松菜は茎が太く味が染みにくいので、7:1:1の少し濃いめの味付けにする。水菜や壬生菜は、8:1:1から10:1:1くらいでよい。(甘めが好きな方は、酒をみりんに変える)
※醤油の色をつけたくない時は、醤油大さじ1を、塩小さじ1/2に変える。
※出汁がない場合は、鰹節の小袋5gをボウルに入れ、そこに250mlのお湯を入れる。少し置いてからザルで漉せば即席の出汁が出来る。

OUT IN JAPAN 広島撮影会

OUT IN JAPANの撮影会が、先月の札幌撮影会と今月の東京撮影会に続いて、来週末の日曜日に広島で開催される。
『OUT IN JAPAN』とは、日本のLGBTをはじめとするセクシュアル・マイノリティにスポットライトを当て、市井の人々を含む多彩なポートレートを様々なフォトグラファーが撮影し、5年間で10,000人のギャラリーを目指すプロジェクト。
僕たちゲイやセクシュアルマイノリティにとって、カミングアウトほど難しいことはないかもしれない。
人によって置かれている状況は様々だし、みんなにカミングアウトをすすめるつもりはない。
でも、セクシュアルマイノリティの人が、もしも誰かひとりにカミングアウトが出来たら、それはこの世界にとっても大きなインパクトになるのではないかと思っている。
今の日本の状況を見ていると、長い沈黙の時代があって、ほんの数年前までは自分の周りにそんな人たちはいないと思われていたセクシュアルマイノリティが、実はいるのだと気づきはじめたところだろう。
セクシュアルマイノリティとは、テレビに出てくるオネエタレントだけではなくて、学校の同級生かもしれないし、会社の先輩かもしれないし、従兄弟かも、弟かも、お姉さんかも、もしかしたらお父さんかもしれないというところまで、変わっていったらいいだろうなあと思うのだ。
⭐️まだまだ募集しています!OUT IN JAPAN広島撮影会
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⭐️OUT IN JAPANhttp://outinjapan.com/

ゲイバーのような体験。

新宿2丁目の近くにある小料理屋さんは、マッチョでかっこいいマスターがやっている。
小さなお店でサービスをするHちゃんは、いつも笑顔でお酒に詳しい女性。(お店の都合上、あまり公に出来ないようなので詳しい場所はここでは控えさせていただきます)
このたびHちゃんが40歳になるからと、日曜日の夕方からお店でHちゃんの誕生日パーティーが開かれた。
小さな店内に集まったのは、99%がゲイの人たち、それも多くが30代20代。僕がいた時間帯でも、軽く50人は越えて小さな店内をひしめき合っていたので、全体では100人はゆうに越えていたと思う。
僕が一番心地よかったのは、店内のほぼ全員が僕の名前も顔も存在も知らなかったということ。こんな体験は、なかなか行きつけの新宿2丁目のお店では味わえないからだ。
カウンターでお酒を飲んでいると、後ろに立っていた若い男の子が、酔った勢いから僕のお尻を触りはじめた。何かの冗談だろうと思っていたら、今度は後ろから両手で胸や身体中をまさぐりはじめた。
僕はくすぐったくなって笑いながらやめさせたのだけど、不覚にも、「こういうこと、もう何年もないなあ・・・」と思ってしまったのだった。
たとえばBridgeで僕にそんなことをする人はいないし、目の前に50代が迫って来たおじさんに触りにくる若い子なんてほぼいないだろう。
久しぶりに若かった頃の週末のゲイバーに行って、男たちがぎゅうぎゅうにひしめき合う中に身を置いて帰って来たような、そんな不思議な日曜日だった。

KUBO 二本の弦の秘密

『Bridge』のMに、
「『コララインとボタンの魔女』スタジオライカの最新作だから、絶対好きだよ!」
と言われて、Kを引き連れて鼻息荒く新宿のバルト9へ。
始まるやいなや、物語の中に引きこまれ、願わくばこのままこの映画が終わらないで欲しい…と切望した。
監督と製作を務めるトラヴィス・ナイトは、黒澤明や宮崎駿の作品に多大な影響を受けたそうで、この作品は、日本に捧げられた羨望であり憧憬だった。
これだけCGの進んだ時代でありながら、ストップモーションで製作されたアニメーション。驚くことに、1週間に平均して3.31秒しか製作できないのだそうだ。
主人公や猿の表情1つとっても、なんとも味わい深く驚かされるのは、ストップモーションでしか出来ない表現なのかもしれない。
何千年に渡り語り継がれて来たような物語で仕立てられたこの作品は、昔よく見ていた『まんが日本昔ばなし』を思い出させる。
僕たちがもはや忘れかかっている日本独自の文化や習慣、繊細な感じ方を、外国人の製作スタッフによって目の前に突き出されたようで、なんだか日本人として恥ずかしくなる思いがした。
アカデミー賞の長編アニメーション作品賞と視覚効果賞ノミネート作品であり、この冬、絶対に見逃せない作品。
⭐︎KUBO 二本の弦の秘密http://gaga.ne.jp/kubo/#_04

ボジョレー・ヌーヴォー2017。

毎年恒例のことなのだが、新宿の高島屋に寄りボジョレー・ヌーヴォーを買って来た。
途中、ボジョレーに合わせて、フレンチかイタリアンにしようかと迷ったのだけど、家には一昨日漬けた鰆の西京漬があってちょうど食べごろだったため、そのまま和食にすることにした。
鶏の手羽中を買ってきてグリルで焼いて、水菜を桜海老と炒めて、油揚げを焼いて生姜を添えて、じゃがいもと玉ねぎと厚揚げで煮物を作り、なめこの味噌汁と、先日の余りものの鶏肉、人参、ごぼうの炊き込みごはん。
このボジョレー・ヌーヴォーの『Joseph Drouhin』のprimeurは、若くて華やかな香りと、飲みやすく味わいがありちょっとびっくりするくらい美味しかった。
それに、ボジョレーくらい軽いワインだと、和食にもきちんと寄り添ってくれたのだった。
「ボジョレーという村で今年取れたワインで、作りたてを味わうワインなんだよ…」
という僕の言葉を聞き流しながら、Kは「美味しいね」と言って、鶏肉をぱくついていた。(大分県民って、鶏肉さえあれば機嫌がいいようなのだ。笑)
今年もこうしてボジョレー・ヌーヴォーを飲みながら、Kとふたり平和な1年を過ごすことができたことに感謝している。

かわうそ。

昔、僕のことをかわいがってくれた上司がいたのだけど、その人からの年賀状は毎年毎年猫の写真やイラストだった。
なんでそんなに猫が好きなのだろう?と思い、ある日、「猫のどこがそんなに好きなんですか?」と尋ねてみた。
「カタチです」
何も足さない何も引かないような一言が返ってきた。
猫って確かに、丸まっている姿も、歩く姿も、猫にしかない特有のカタチをしている。
僕の家に動物の置物が多いのは、あまり意識をしたことはなかったのだけど、この上司のようにその動物特有のカタチが好きだからなのかもしれない。
動物園がいつの時代も変わらずに人気なのは、多様な動物たちがそれぞれ固有のカタチを持ち、全く違う性質を備えているからだろう。
久しぶりに覗いた外苑前のドワネルに、カワウソの置物があった。カワウソはこんな風に立ってキョロキョロと周囲を見回すのだそうだ。
その姿カタチがなんとも愛くるしく、我が家の動物置物の仲間に加わった。
⭐️doinelhttp://doinel.net/

わさび。

刺身を食べる時、わさびをどうしているだろうか?
僕は、生のわさびを一本買ってきて全てを擦ってしまい、使わない分はその場で冷凍している。
そして、刺身やドレッシングなどにわさびを使いたい時にはいつでも、冷凍庫から使う分だけ取り出せばよいのだ。
ツンとした辛みはそのまま、わさびの香りだって冷凍にすることで長持ちしてくれる。
チューブ入りのわさびを買えば安くて使い勝手はいいかもしれない。でも、生わさびとチューブ入りのわさびは、味や香り、辛みにおいては残念ながら別物だと言わざるを得ない。
生わさびは一本900円くらいから高いものだと2000円くらいするけど、一本で摩り下ろせる生わさびの量はかなりあるので、一度擦ってしまえば、しばらくわさびを切らすことはない。
⭐️生わさびの擦り方と保存の仕方
1.生わさびは、基本的には全部上から下まで食べられると思っていい。茎を取って黒くなっているところだけ包丁でこそげ取る。
2.細かい目のおろし金か鮫肌のおろし金を使い、『の』の字を書くように丸く描きながら擦りおろす。
3.その日に使わない分は、その場でラップに広げて均等に薄く伸ばして、ラップを折り返して上下を覆う。
4.定規やスケッパーなどで、ラップの上から使用する一回分ごとに縦横に区切りを入れる。
5.ジップロックに入れて冷凍庫に入れる。冷凍したら使うたびに必要な分だけ割って取り出し自然解凍する。

壬生菜。

いつも常備していたい青菜の中でも、壬生菜が特に好きだ。
東京では、水菜の方がより一般的なのだけど、僕の行くスーパーでは、時々片隅に壬生菜が売られていることがあり、見つけると迷わず買ってくるようにしている。
壬生菜で作る一番多い料理は『煮浸し』だけど、舞茸と煮浸しにしてもよいし、ゆずを散らしてもいいし、壬生菜独特の苦みが何とも言えず味わい深いものだ。
でも、他の主菜や副菜を作っていて、ちょっと青菜が足りないと思った時に、僕がよく作る一品は、『壬生菜と油揚げ炒め』。
『煮浸し』だと、少量の出汁が必要なのに対して、出汁を使わずに一瞬で作ることが出来て、それでいて味がきりっとしてご飯のおかずにもなってくれる。
小松菜やほうれん草、水菜でも十分美味しいのだけど、壬生菜で作った炒めものは、どこからか京都の風が吹いて来てほんの少し格が高い気がする。
⭐️『壬生菜と油揚げ炒め』
<材料>
壬生菜 1束
油揚げ 1枚
鰹節 2パック(2.5g入り×2パックくらい)
淡口醬油 20ml
酒      20ml
ごま油 小さじ2
<作り方>
1.壬生菜を食べやすい大きさに切って、5分間くらい水につけてしゃきっとさせる。
2.油揚げを横長に半分に切ったあと、細く棒状に切る。
3.フライパンを中火で熱し、ごま油を引き、油揚げを炒める。少し焼き色が着いて来たら、壬生菜を茎の部分から投入。一息置いて葉も投入して炒める。
4.ざっくり全体に油が回ったところで(生の部分が残っていてよい)鰹節を全体にふりかけ、お酒と淡口醬油を全体に回しかける。
5.手早く全体を混ぜたらすぐに皿によそって完成。
※余ったものも容器に入れる(変色を防ぐため)。
※小松菜などで一束が多いものは、薄口醤油と酒の量を30×30くらいにして調整すること。

大分からの小包。

Kのお父さんから小包が届いて、中を開けてみると今期最後であろうかぼすだった。
本来ならば、先週末にKのご両親が東京にやってくるはずだったのだけど、お父さんの尿道の具合が悪く、結局入院をして検査をしつつ様子を見ることになってしまったらしい。
お父さんは、来られなくなってしまった代わりに、小箱いっぱいに大分の香りがぎゅっと詰まったかぼすをKに送ったのだった。
「ご飯はどうしてるの?」
「ただしさんが作ってる」
「それじゃあ、お前は片付けでもするのか?」
「うん。僕が片付けを手伝ってる」
Kがお父さんと交わしたそんな会話を思い出しながら、お父さんは僕とKの小さな暮らしを、そっと遠くから気遣ってくれているのだろうなあ・・・と思ったのだ。

OUT IN JAPAN ✖️ GEORGE TAKEI vol.2

繪もんのもつ鍋

集合場所である渋谷の丸井MODIに着いたのは、朝の9時。
12:30からのジョージ・タケイさんとレスリー・キー、そしてLiLiCoさんのトークショーの予定が、急遽諸事情が入り中止になったのが本番の1時間半前くらいだろうか。
※(会場にいらっしゃった方には大変なご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。)
中止になった会場での撮影会は場所を変更して丸井の本館8階にセッティングをすることになり、急遽カメラ機材を運ぶことに。2時に始まった撮影会は、無事に3時を回る頃に終わり、撮影の最後には渋谷区長の長谷部さんが駆けつけてくださった。
ジョージ・タケイさんは、やさしく周囲に気を配り、スマートで、温かな雰囲気の人だった。
「LGBTの人たちは、みんな誰かの家族なのです。私たちはみんな誰かの息子であり、娘であり、兄妹であり、時には親子なのです・・・」
すべてが終わったのは夜の6時。
気がつくと、朝ごはんを食べて以来なにも口に入れておらず、トイレも一度行ったきりだった。鏡も見ていなかったので、きっと髪はボサボサだっただろう。
スタッフの打ち上げには参加せずにそのまま渋谷からバスに倒れ込むように乗り込み、バス停を降りるとKがぽつんと立って待っていた。
K「疲れた・・・?
ただしくん、顔が真っ白だよ!!!」
僕「うん。何も食べてないんだ・・・」
それからふたりで『繪もん』に行って、もつ鍋を食べた。
ふたりで食べるもつ鍋は温かく、身体の奥の方に沁みていった。僕はKを前に、今日一日どんなに大変だったかをぽつぽつと語った。そして、やさしかったジョージ・タケイさんのことも。
僕「I respect you
という言葉を別れ際に言ったんだけど、僕の声はいつも雑音に埋もれてしまうから、耳には届かなかったと思う。でもね、本当はもうひとつ言葉を用意していたんだ・・・言えなかったんだけど・・・」
K「なにを言うつもりだったの?」
僕「I am behind you
って言おうと心に思っていたんだけど、緊張しちゃってそこまで言えなかったよ」
身体も心も疲弊してぼろぼろだったのだけど、食事をしながらKと一緒にいることで、僕の顔色も戻っていった。
帰り道、ほとんど手をつなぐようにして歩く僕たちは、もしかしたら男同士だから、道行く他の人から見たら奇異に映ったかもしれない。
でも、そんなこと、僕たちにはもう関係なかったのだ。
「僕には、家族がいるんだ」
ふたりで肩を寄せながら、世界で一番温かい我が家に帰った。
⭐️繪もん(EMON)北参道店
03-3478-5050
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-5-1 ニュー外苑ハイツ 1F
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130403/13038610/