さよなら、ぼくのモンスター

ゲイであることをカミングアウトしている若干26歳のカナダ人の監督『ステファン・ダン』が、自分の体験をもとに制作した自伝的映画『さよなら、ぼくのモンスター』を、やっと新宿のシネマカリテで観ることが出来た。
観たあとに、『さよなら、ぼくのモンスター』という邦題の意味が全然わからなくて、これであれば最初からもともとのタイトル『CLOSET MONSTER』とつけていたらわかりやすいのに・・・と思ってしまったのだけど、この映画は、自分の本当のセクシュアリティに目覚めてゆくひとりのゲイの少年の話だったのだ。
主人公のオスカーは、物心ついた時から両親の仲が悪いことを感じ取っており、ハムスターだけが心を許せる友だちのような男の子。愛情と所有欲の強い父親は、激しいホモフォビアを持っている。
そんな中でオスカーは、本当の自分のセクシュアリティに目覚めはじめ、学校や家族、社会の中でもがきはじめる。
ゲイであることだけで苛められたり、信じられないような暴行事件が世界中のあちこちで起こっている。この映画は、ホモフォビアによるいじめや暴力を、映画の真ん中にテーマとして据え置き、自分の本当のセクシュアリティのことを誰にも言えずに苦しみ続けている少年の心のもがきを丁寧に描いている。
映画は荒っぽいし、ファンタジー的な演出に着いていけない人もいるかもしれない。それでも僕は、26歳の青年が自らの過去に向き合いながらまっすぐに作ったこの作品を評価したいと思う。
⭐️さよなら、ぼくのモンスターhttp://qualite.musashino-k.jp/movies/2865/

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