小包。

バリ島から帰ってきた日に、Kのお兄さんから『かぼす』が届いた。
僕がかぼすを好きなことや、料理を僕が作っていることなんかを、もしかしたらお兄さんはKから聞いていて、送ってくれたのかもしれない。
かぼすの小包が届くや否や、今度はそのダンボールを使って、Kが実家にバリ島のお土産を詰めはじめた。
普段はほとんど実家に何かを送ったりしないKが、珍しくバリ島の最終日が近づくにつれて、「どこかでお土産を買いたい。お母さんにお土産を買いたいと」と呟いた。
最後の日に見つけたかわいい洋服屋さんで、女の人の洋服なんて選んだこともないKは、僕が母のお土産を選ぶ時に、誰よりも真剣な目をして一緒に見ていた。
そして、Kのお母さんが身につけそうなシルクのスカーフを慎重に選んで買ったときには、とてもうれしそうな顔をしていたっけ。
そのスカーフや、クッキーを丁寧に詰めて、お兄さんやお姉さんへのクッキーやチョコも詰めてパンパンに膨らんだダンボールを、Kはご両親に送るようだ。
お土産や、贈り物は、人の温もりが詰まっている。

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