母の家へ。

ミョウガが出ていた

今年の秋に母は、76歳になる。
限られた時間をなるべく一緒にいたいと、今年からは2ヶ月に一回は母に会おうと思っていて今のところそれは実践できている。あと10年くらいは元気でいて欲しいと思うけど、それにしても60回しか会えないのだと思うと限りある時間に愕然とする。
僕はいつも、自分のことばかり優先して生きて来た。
若い時は、仕事が忙しいから。
友達と遊ぶのが忙しいから。
恋人と旅行で忙しいから…。
忙しくて会えない時であってもおそらく母は、僕のことを考えてばかりいたと思う。
このところ、土日に予定が入ってしまうことが多かったので、思い切って金曜日に代休をとって、母の家に遊びに行った。
高島屋でお寿司を買って、母の家に着くと、僕の好きな手料理が並べられていた。料理を食べながら、最近の僕の仕事のことなど近況をポツポツと話す。
お義父さんは、僕の買って来たお寿司を美味しそうに食べていふ。僕にどんどん日本酒をついでくれる。お酒を振舞うことが、お義父さんにできる最大限の歓待なのだ。
母「あなたが来るからと言って、この人、一生懸命お庭を掃除してたのよ」
庭に出ると、僕が引っ越した時にこちらに引き取ってもらったスモークツリーやギボウシが迎えてくれる。僕のベランダにいる時よりも広いから幸せそうだ。
帰り道、いつも母が散歩のついでにお参りしているという仏像があるところまで3人で歩いてゆく。母が気に入った仏像のようで、「あなたに見せたいの」と言うのだ。
甥っ子の受験のときもここへ着てお願いをしていたという石で出来た仏像は、そんなに古いものではなかったけど、その辺り一帯の地主のような人の土地にあった。手を合わせて母への感謝を伝えた。
仏像のそばで母と別れたのだけど、肩にかけたバッグには、畑で取って来たばかりの熟した沢山のトマトや、きゅうり、なす、モロッコインゲン、唐揚げなんかがいっぱいに入っていて、ふたりの愛情を背負いながら家に帰ったのだった。

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