はじめてのダイビング。

玉取崎展望台からの眺め

長い間ずっとやってみたかったのだけど、怖くて出来なかったことがある。それは、ダイビングだ。
ダイビングをする時に、必須となる『耳抜き』というものが、自分には出来ないのではないかと思っていたのだ。
僕は、耳の穴がとても小さいのと、飛行機に乗る時に、耳が詰まることがたまにあって、「海の中で鼓膜が破れたらどうしよう…」などと不安になり、『耳抜き』という言葉の響きもなんだか恐ろしく感じていた。
でも、このままダイビングを一生しないで死んでゆくのももったいない気がして、今回石垣島へ行く数日前に、急に思い立って体験ダイビングをしようと決めたのだった。
体験コースと言っても、ダイビングは命に関わるものなので、はじめはきちんとしたお話を聞かなくてはいけない。
水の中では、過呼吸になってしまう人が多いので、呼吸を意識してし続けるように。
耳抜きは、なぜ必要なのか。また、どうやってやるのか。うまく抜けない時はどうするのか。片方だけ抜けない時はどうするのか。
メガネに水が入った時は、どうすればよいか。
口に水が入って来た時はどうするのか。
インストラクターのジェスチャーに対して、どのように水の中で答えるのか…。
本来、ライセンスが目的のダイビングならば、先ずはダイビングに関する基礎知識を学んで、それから足がつくような浅瀬で練習をするようなのだけど、今回は体験コースなので、すぐに実際に水の中で体験することになる。
船着場から船に乗り15分くらいだろうか?沖合に出たところで船は錨を下ろした。
ウエットスーツを着て、酸素ボンベを担ぎ(これがめちゃくちゃ重たい)、口から吸って息を吐くというのを練習した後、今度は船の両側につけた階段の下まで降りて、水に入って呼吸を続けてみる。
呼吸が難なく出来そうならば、今度はロープを伝って下にゆっくり降りてゆく。先ずは1メートルくらい下に降りたところで、耳抜きをする。耳抜きが出来ているのかいないのかわからないけど、また1メートル降りて耳抜きをする。そしてまた1メートル降りて耳抜きを…
すると、この辺で、なんだか右の耳が痛くなってきた。もともと右の耳が抜けづらい感じがしていたのだ。そこで、インストラクターに教わったジェスチャーで右耳を指をさす。するとインストラクターはそのジェスチャーを見て、水中でボードに文字を書く。
インストラクター「耳痛い?」
僕「少し」
インストラクター「唾を飲み込んでみて」
僕「あ!通った!」
そこで、OKの合図を送ると、更に下へ降りてゆく。途中、メガネに水が入ってパニックになりそうになるも、教わった通りに鼻から息を吐くことで水をメガネの外に出すことが出来た。
その後は、他の人が降りてくるのを待ってから、今度はインストラクターと海中5メートルくらいの中を探検に出かけた。
大きな貝を見つけたり、魚の群れに出会ったり、イソギンチャクのそばに、クマノミがいたり、浅瀬でシュノーケルをしていた時とはまた違った、見たこともない海の中の生物たちの暮らしを見ることが出来た。
そして、自分の眼の前に広がる青く深い海を見ながら、どこかにウミガメがいたり、マンタが悠々と泳いでいたり、サメやクジラだってこの海の中にいるに違いないと思うと、とても不思議な気がしたのだ。
今回、体験ダイビングをしてみて一番難しかったことは、耳抜きとメガネの中から水を出すことだった。耳抜きは、ほんの少し潜るだけで、すぐに耳に水圧がかかり、圧迫するのがわかる。それはなんだか不気味な感覚で、詰まった耳とともに不安が襲うものだった。
メガネは、きっと慣れないせいで、自然と鼻からも呼吸してしまっていたのかもしれないし、もしくは、髭の間から少しずつ水が入って来ていたのかもしれない。
それでも、自分がずっと怖くて出来なかったダイビングが出来たことによる達成感は、なんとも言いようのないものだった。
怖いとか、出来ないという思い込みや先入観で、本当にやりたいことをやらないことは、とてももったいないことだと思う。
これから先も、今までやったことのない新しい体験や、怖くて出来ずに諦めていたことを、ひとつひとつ、達成していけたら面白いなあと思うのだ。

辺銀食堂。

グアバとクルミのサラダ

子羊の水餃子

塩漬け豚と沖縄の野菜

石垣島には、一時期、店頭で買うことが出来なかったほど売れに売れたラー油『石垣島のラー油』で有名な店、『辺銀食堂(ペンギン食堂)』がある。
『辺銀食堂』はどんな店なのかと、ずっと興味があったのだけど、今回やっと行くことが出来た。
旦那さんは西安出身の中国人、奥さんは東京出身というご夫婦は、石垣島に魅せられて移り住むことになった。
やがてふたりは、『ぬちぐすい』という沖縄の言葉に出会う。『ぬちぐすい』とは、『命の薬』という意味だそうだ。
石垣島特有の様々な食材に出会い、やがてオリジナル料理を作るようになり、お店を開いたそうだ。
お料理は、石垣島特有の食材をふんだんに使い、中華料理のエッセンスが加えられたオリジナリティ溢れるものだった。
スパイスが効いていたりするものや、石垣島独特の苦い野菜を使っていたりするのだけど、なんというか、食べた時に身体の中にスッと入ってくる感じなのだ。
刺身のつまには、大根ではなくパパイヤが使われていたり、グアバとクルミと梅のサラダは食材の組み合わせがとても面白い。
島らっきょうの焼いたものは、塩漬けやフライトはまた違っていて後を引く美味しさだし、塩漬け豚を焼いたものは、島の苦味のある野菜と食べると、また違った美味しさになることを知った。
石垣島のラー油を使った麻婆豆腐は、ツンとくる辛味ではなく、しみじみとした花椒の辛味に仕上がっていて食べやすかった。
子羊を使った餃子は、「餃子とは、もともと子羊の料理なのかもしれない…と思わせるほど美味しかった。
ここのお料理を食べると、美味しさがそのまま身体にじんわりと伝わり、心まで元気になってゆくような気がするのだ。
お店のスタッフもお店のことをとても愛しているのが伝わってくる。
また来たいな。石垣島の『辺銀食堂』。
★辺銀食堂
0980-88-7803
沖縄県石垣市大川199-1
http://tabelog.com/okinawa/A4705/A470501/47001340/

波照間島。

波照間島(はてるまじま)、それは、人が暮らす島の中では日本最南端の島。
石垣島の舟乗り場から、エメラルド色の海を渡ること70分、波照間島の港に到着する。舟が到着した時に、小さな海亀がひょっこり頭を出しては潜っていった。
船着場近くの民宿で古びた自転車を借りて、集落近くのカフェに行く。『あやふふぁみ』で、島の食材をふんだんに使ったラフテー定食と島野菜のカレーをいただく。
ランチの後は集落を自転車で流したら、有名なニシハマへ向かう。
ゆっくりと坂を下りてゆくと、突然目の前に珊瑚礁の広がる碧い海が現れる。
「ここはいったい、どこの国なのだろう…?」
ビーチにテントを張り、水中メガネとシュノーケルを持って海に入ってゆく。
海の中は、驚くほど沢山の種類の珊瑚に溢れ、見たこともないイソギンチャクや様々な魚たちが楽しそうに暮らしている。
ふたりは、子どもの頃にかえったように、海の中を泳ぎ続けた。
巨大ななまこに驚き、小さな青い魚たちやシマシマ模様の魚を見つめた。
珊瑚礁で遠浅になった海の終わりは、吸い込まれそうなほど青く、更に深い海へと続いていた。
僕たちはじっと、その深い海の向こうを覗き込んだ。
ふたりがまだ知らない、宇宙のように大きな海の彼方を。

まるさ本店

ぐるくんの唐揚げ

豚肉の唐揚げ

まるさチャーハン

石垣島らしい食事をしたいと思い、ホテル近くの居酒屋『まるさ本店でも』へ。(ここも人気店なので、予約は必要)
ここの料理は、伝統的な沖縄料理に少しアレンジが加えられていて食べやすくななっている。
刺身の盛り合わせは、臭みがなく食べやすい。島らっきょうの塩漬けは、何本でも食べられる素朴な美味しさ。
ぐるくんの唐揚げは、アオサの唐揚げに包んであり香り高く、頭から尻尾まで全て食べることが出来る。石垣牛の握り寿司も炙りが効いていて美味しかった。
最後に頼んだ『マルサチャーハン』は、焼いた魚がほぐして入っていて、ちょっと驚きの美味しさ。
珍しく、再訪したいと思う素晴らしい居酒屋さんだった。
★まるさ 本店
0980-83-1903
沖縄県石垣市字石垣503-1
http://tabelog.com/okinawa/A4705/A470501/47001646/

石垣島観光〈川平湾と米原ビーチ〉

川平湾

川平湾

米原ビーチ

〈川平湾〉
石垣島に来たら、行くべきスポットは『川平湾』。
そう言われるほど有名な川平湾は、潮の流れが早く遊泳禁止区域になっているのだけど、その幻想的な美しさは、ミシュランのグリーンブックの三つ星にもなっている。
街中のホテルからレンタカーを借りて走れば、30分くらいで川平湾に着く。
グラスボートという、船の中から透き通った海中が覗けるボートを予約し、展望台へ。
「なにこれ!すげー」
湾内には、透き通るようなエメラルドグリーンが広がり、今までの人生では見たことのないような不思議な美しさだ。
グラスボートでは、運が良ければ、亀を見ることが出来る。僕たちも、ほんの一瞬、亀が悠々と泳いで行く姿を見ることが出来た。
〈米原ビーチ〉
川平湾から車で10分くらいのところに、『米原ビーチ』がある。
米原ビーチは、時々潮の流れが早いようで、海水浴場の指定はされていないのだけど、石垣島でビーチと言えば、米原ビーチと言われるほど、皆ここのビーチを目指す。
遠浅の海岸には、サンゴ礁が広がり、水中眼鏡とシュノーケルをつけて海に入ると、びっくりするくらい沢山の魚がいることに驚く。
こちらのビーチでのマストアイテムは、『マリンシューズ』。
底がゴムになっていて、上の部分は布で足袋のような柔軟性のある靴なのだけど、それを履いていれば、下が岩だろうが珊瑚だろうが、足を切ることはない。(ビーチサンダルだと、海の中で脱げてしまうのだ)
赤ちゃん用の日焼け止めを塗って、東京から持ってきた簡易テントを組み立てて、のんびりと海で過ごした。
僕とKは、まるで小学生のころのように、海に潜り続けたのだ。
小さな青い魚や、ニモのようなクマノミを追いかけたり、ウニを見つけたり、突然大きな魚の群れに出会ったり…
何か面白いものを見つけるたびに、指差してそれを相手に教えて、海の中の驚きを分かち合ったのだ。