偉大な人。

久しぶりに、超大物俳優の撮影だった。
撮影前夜はなかなか寝付けず、当日は緊張のせいか食欲もなく、スタジオでおにぎりを少しいただき、撮影に臨んだ。
「〇〇さん、入られます!」
一瞬で場の空気が変わる瞬間を迎え、ご本人の前に歩み出て自己紹介をし、今回の企画説明をする。
〇〇さんは、すかさず、「面白い企画ですね!」と誉めてくださり、こちらが頭を下げると、「よろしくお願いします」と言って、僕に握手を求めてきた。きっとこちらの緊張も、すべてわかっていたのだろう。
僕は、緊張のあまり、手に汗をかいていたが、片手で握手をさせていただくのが悪いような気がして、思わず両手を添えた。
撮影は、順調に進み、とてもいい写真が撮れた。
「撮影終了です!お疲れさまでした!」
僕が全体に声をかけると、〇〇さんは、もう一度僕に握手を求めてきた。
僕だけでなく、カメラマンや周りにいるカメラマンスタッフ、照明さんや助手の人たちにも、分け隔てなく握手をして周り、すべての人を同じようにもてなし、感謝の意を表していた。
僕は、僕の仕事の都合上、様々な著名人に出会って来たのだけど、僕が知っている偉大な人は、〇〇さんと同じように、とても謙虚であり、スタッフにまで気を配るやさしさと思いやりを持っている人が多い。
〇〇さんのような人に会うたびに、こんな人になりたいと、つくづく思うのだ。

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