軽くてラフな優れもの。

これ、なーんだ?
これは先日、松本の『陶片木』へ行った際に買い求めた『なべ敷き』。
家になべ敷きは幾つかあるのだけど、どれも四角く陶器などで出来ていて少し重たい。(おまけに薄いので掴みにくい)
料理を頻繁にする人ならばわかるけど、幾つかの料理を同時に進めている時に、食事をするタイミングに合わせて鍋を置き換えることがよくあるものだ。
その時は決まって、すぐに鍋を移動して別の鍋を温めなくてはいけなくて、気持ちも焦っている場合がほとんど。
そんな時に、こんなに軽くてラフななべ敷きならば、片手で簡単に摑めてひょいとおける。おまけにフックにかけておくことも出来る手軽さ。
実際に使ってみると、なるほど…これは本当によく考えられた優れものだと思ったのだ。
800円という手頃さもいいけど、プラスチックには見られない、熱が加わり、色が茶色く変色していく経年を見られるのも楽しい。

ぶち旨屋

とん平焼き

広島産ネギかけ肉玉そば

目玉焼きのせ肉玉そば

Kば、大学に入る前に、しばらく広島の学校にいたらしい。
晩ごはん、外で食べようか?と聞くと、広島焼きが食べたいというので、はじめて行く広島焼きの店『ぶち旨屋』へ。
新大久保と新宿西口の中間に狭い店内は、20人くらいしか入れないかもしれない。3人以上からしか予約は受け付けていないので、ほんの少し外で待った。
広島焼きは、大阪のお好み焼きとは違って、豚肉やキャベツやネギや粉や麺が、幾層にも重なって出来ている。
『ぶち旨』は、広島弁で『すごい旨い』という意味らしい。とん平焼きは、僕は卵で包んであるものを想像していたのだけど、ここのは卵は内側で外側を豚肉で挟んである感じだった。
ふたりでたらふく飲んで食べて、6000円。
店員さんも親切だし、昭和の看板が飾ってある店内もかわいい。
★ぶち旨屋
03-3364-0807
東京都新宿区西新宿7-22-34 新宿東海ビル 1F
http://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13029099/

僕の、東京レインボープライド。

土曜日のステージ

OUT IN JAPAN のフロート

土曜・日曜と、東京レインボープライドのFESTAとPARADEが行われ、代々木公園には7万人を越える人が来場、およそ5千人がパレードに参加した。今年は、渋谷駅前のスクランブル交差点を歩くルートに変更されて、渋谷区町の長谷部さんの影響なのか、警察の方々もとても協力的で、パレードの道幅も例年になく大きくゆとりを持って歩行することが出来た。
僕は、『OUT IN JAPAN』のフロートで歩いたのだけど、僕と同じ年で車いすのOさんがいたので、結局僕とKの二人で代わる代わるOさんの車いすを押しながら、3キロの道のりを歩いたのだった。
今まで、ほんの少しならばOさんの車いすを押したり、持ち上げたりということはしたことがあったのだけど、パレード自体の3キロという道のりを車いすを押しながら歩くということはとても体力のいることであり、坂道などは本当に重くキツかった。人にぶつかったりしながら「すみません」と声をかけたり、神経的にも非常に疲れるものだった。
パレードが終わってOさんがトイレに行きたいということになり、人をかき分けながらトイレにたどり着くも、みんなのトイレも列をなしていて、やっとのことでトイレの中に入った時は安堵の溜め息が出た。しばらくして全然Oさんが出てこないので、後ろに並んでいる人たちも気にしはじめて、ついに声をかけながらトイレに入ると、Oさんがちょうど用を足して出てくるところだった。
Oさんは、40代を過ぎてから脳梗塞になり、半身不随になってしまった。半身不随になり、つきあっていた恋人は去ってゆき、血縁の家族も距離を置くようになったそうだ。
今は、リハビリを繰り返しながらも、自分で行きたいと思う所へはどこへでもタクシーで行き、僕も様々なイベントで顔を合わせるようになった。
Oさんの車いすを押して歩きながら、恥ずかしながら今回、はじめて車いすの人たちの毎日を想像した。
視線が低いので、混んだ場所ではなかなか周りに気づかれにくいことや、ほんの少しの段差があっただけでも、個人の力ではその段差を乗り越えることが出来ないのだ。
それと、「すみません。通していただけますか?」などと声をかけても、人によってはちょっと嫌な顔をされたりすることもあるということ。
車いすの人が東京で普通に出かけて帰ってくるだけでも、恐らく気の遠くなるような段差や障害物、人の思わぬ視線に出会うことになるだろう。Oさんのおかげで、これからは車いすで生活している人たちのことを、もっと注意深く見守ることが出来そうな気がする。
最後まで完走して、たくさんの写真を撮影しながらうれしそうにしているOさんを見ながら、疲れてはいるものの、僕たちもとても晴れやかな気分になった。
今年も『TOKYO RAINBOW PRIDE』 のロゴをはじめ、会場内にある細かな部分のスポンサー企業のフラッグやバナーなどもデザインを担当させていいただき、微力ながら貢献できたことをうれしく思っている。

陶片木

胡麻の摺鉢

脚のついたザル

松本に、僕が何度も通っている大好きな雑貨屋さん『陶片木』がある。
はじめて行ったのは、もう20年以上くらいだろうか?はじめての『陶片木』で、この写真の胡麻の摺鉢を買い求めた。
洗う時にとても簡単ですぐに汚れが落ちる清潔感から、買ってとてもよかったと思っているもので、今はこの店のベストセラーになっているらしい。
また、写真のザルも別の時にここで買い求めたもの。
脚のついたザルは、うどんやそばを食べる時や、ざっと茹でた野菜なんかを食べる時にとても使い勝手がよいのだ。
今回も、幾つかの小皿を買ったのだけど、どれも使うことを優先に考えられており、それでいて美しい形と色がとても気に入った。
映画『かもめ食堂』にも雑貨を提供したと聞いたけど、こんな雑貨屋さんが近くにあったら、週末のたびに覗いてしまうだろうな…。
また来ますと言って、お店を出たら、店員さんがニコニコして手を振って見送ってくれた。

勘之丞

台湾からEとRカップルが来日したので、彼らの友人たちと一緒に、新宿一丁目にある『勘之丞』へ。
『勘之丞』は、牛肉がメインのイタリアン。
牛肉を半頭飼いしているらしく、色々な部位を出してくれる。
リブロースやレバーなどの前菜を食べて、サラダへ。野菜も特別仕入れた有機野菜のようで、味が濃くしっかりとしている。
メインは、2タイプの牛肉を柔らかいまま焼き上げたステーキ。
ワインを飲みながら牛肉をしっかり食べたい…そんな時に利用するには、とてもリーズナブルな店だった。
★勘之丞
03-6905-7376
東京都新宿区新宿1-18-9 パリアイルカテリーナ 1F
http://tabelog.com/tokyo/A1304/A130402/13050071/

ふたりで一緒に食器を選ぶこと。

Kとふたりで暮らすようになって、ほぼ毎日一緒に食事をしているうちに、「こんな小皿があったらいいね」とか、「かわいい蕎麦猪口があったら買おうね」などと話していた。
今回、松本に行った際に、僕がずっと昔から行きつけにしている雑貨屋さんを訪れ、ふたりで話していた器を見つけ、ふたりで話し合いながら納得のいくものを買うことができた。
◎写真右は、醤油やオリーブオイルを入れて使う小皿。液体を入れた時にお皿全面に広がらないのでとても使いやすい。有田焼。(唐片木)
◎写真手前は、イタリアの小皿。少しのおかずや酒の肴を盛るのに、楕円形の小皿が意外と使いやすい。(ラボラトリオ)
◎写真奥は、蕎麦猪口。有田焼の何も模様のないシンプルな形が気に入った。(唐片木)
僕の家にある食器は、今まで僕の好き嫌いで選んだものばかりなのだけど、今回はKの意見も反映して、はじめてふたりで食器を選んだ。
ひとつ800円くらいしかしない食器だけど、こんなささやかなものでも、ふたりで選び、買うということが、実はとても幸せなことだということを知った

安曇野 翁

遠く北アルプスが見える

ざるそば

田舎そば

北アルプスを遠く眺める安曇野の山中に『安曇野 翁』はある。
車で次から次へとお客さんが上がってくるので、どれくらい待つのだろうか…と心配になったけど、美しい安曇野の景色を眺めているうちに20分くらいで店内へ案内された。
メニューは、ざるそば、田舎そば、おろしそば、鴨汁そば、のみ。
この地方特産のわさびと食べるざるそばは、コシがあり食べ応えがある。
田舎そばは、太く、もっちりとした弾力がある。
鴨汁そばは、鴨出汁が出ていて味わい深い。
安曇野の空気と名水100選にも選ばれている美味しい水に、絶好の景色…。
ここの蕎麦が美味しくないわけがないだろう。
★安曇野 翁
0261-62-1017
長野県北安曇郡池田町中鵜3056-5
http://tabelog.com/nagano/A2005/A200501/20000816/

三城

わらびのお浸し

ざるそばのみ

黒花豆

長野県の松本に、素敵な蕎麦屋さんがある。
その名も、『三城』。
この店が他の店と一線を画するということは、お店の中に一歩足を踏み入れたら感じるに違いない。
店を取り仕切る女性は和装で、蕎麦を打ち、接客をこなしている。その有り様は、あたかも武士のようだ。その昔、麹町で22年間も蕎麦屋をやっていらしたらしい。
お店にはメニューらしきものがなく、ざるそばのみ。席に座ると何も言わなくてもほどなく日本酒が美しい片口に入って供される。「まずは一献を」といった心配りだろうか。
このお酒はここのお店でしか飲むことのできない豊穣な味わいだ。
その後、お蕎麦、そしてたっぷりの蕎麦湯と漬物が出され、最後にはほんのりと甘みを感じる黒花豆が続く。
基本的には予約をしないと入れない。人気店のため、席が埋まっていることが多いからだ。
ネットでは武士の接客が悪いなどと書いている人がいるが、武士はきちんとルールを守っているだけだ。勝手に武士の城に入って来て、自分のやり方を押しつけてはいけない。
武士は、とても細やかでやさしい人だ。
きちんとお城のルールに従って、黒花豆を食べる頃には、ここでいただいた豊かな時間を愛おしく思えるに違いない。
★三城
0263-35-0234
長野県松本市大手3-3-5
http://tabelog.com/nagano/A2002/A200201/20000629/

孤独のススメ

「地味だけど、いい映画だったよ」
いつものように二丁目のBridgeのMが僕に言うので、行こうとしつつずっと混んでいて行けずにいたところ、やっと観に行くことが出来た映画『孤独のススメ』は、タイトルからは想像も出来ない物凄い作品だった。
オランダの美しい田舎町。敬虔なキリスト教徒のフレッドは、奥さんを事故で失ってから、独りでひっそりと暮らしている。日曜日には決まった時間に礼拝に行き、決まった時刻に同じものを食べ、今は亡き家族の写真を見ながら祈りを捧げる日々。
ひょんなことから、言葉もろくに話せない男テオと知り合い、フレッドの中で何かが変わりはじめる…。
この映画は、『喪失』と『赦し』を描いた映画だ。映画に登場する人々は、ひとりひとりが人生の中で傷つき、大切なものを失っている。
見事な脚本は、この奇妙なふたりがこの先どこへ行くのか、全く予測することすらさせない。天才的なキャスティングと秀逸なカメラワークは、この映画の不思議な世界観と余韻を与えている。
『こうあるべき』という規律を第一に生きてきたフレッドは、言葉も話せない、ナイフとフォークの使い方さえわからないテオに出会い、壊れはじめる。
シュールで奇妙な初老の男ふたりを見ているうちに、最後には胸が熱くなり、涙が頬をつたい落ちた。
今年、必ず見て欲しい真珠のような映画。
★孤独のススメhttp://kodokunosusume.com/info/?page_id=8

お兄ちゃんは、ゲイかもしれない。

会社の後、髪を切りに行った。
すると、いつも髪を切ってくれるMちゃんが、髪を切りながら僕にそっと話しかけてきた。
M「うちのお兄ちゃん、カラダばっかり鍛えていてもしかしたらゲイかもしれないって、ただしさんに話しましたよね?」
僕「うん、聞いた。その後どう?」
M「それが、こないだ私が軽い気持ちで、今つきあってる彼氏を家に連れて行ったんです。結婚とかそういうのではなくて、家族に会わせたいなあと思っただけなんですけど…」
僕「それで?」
M「うちには、家族4人でやってるLINEがあるんですけど、そこにお父さんがはじめに書いたんです。
A(お兄さん)や、Mが彼氏を家に連れて来たよ。Aはいつ、彼氏を家に連れて来るのかな?
って…彼氏って書いたんですよ。お父さんが…」
僕「え?お父さん、なんでいきなりそんな思い切ったこと…」
M「そうなんですよ…家族ではなんとなく話して吐いたんですけど、お父さんが口火切るとは思わなくて…」
僕「それで?それで?どうなったの?」
M「すかさずお母さんが機転利かせて、あら父さん、彼氏じゃなくて彼女じゃないの?って書いたんです…」
僕「え?お母さん!」
M「私もそこへ、お兄ちゃんの恋人が、彼女だろうが彼氏だろうが、私はどちらでもうれしいって書いたんです…」
僕「え?えええ⁈
そんでお兄さんは?」
M「それが、その後、見ているくせに、何も書き込みがなかったんです。
しばらくしてから、どこか旅行先の写真だけが送られて来たんです」
僕「そうか…
お兄さんとしては、急に家族にカミングアウトしても大丈夫だよ!と言われたところで、自分の方からカミングアウトする準備も出来てなかったのかもしれないよね…」
M「お父さんも、凄い気を利かせたつもりなんだと思うんです。でも、今はまだその時期ではなかったのかもしれませんね…」
僕「うん。そもそもLINEで家族みんなに自分のセクシュアリティを言うこと自体、僕ならちょっと出来ないかも…」
LGBtという言葉がもはや流行語のようになって、セクシュアルマイノリティは13人に1人いると言われ続けている。そしてそれは、こんな風に実はとても身近にいるものなのだと思うのだ。
そんな人たちが、躊躇せずに周りに話すことができて、自然に受け入れられる世の中になったらいいのになあと改めて思わされた。