ケンカしてわかること。

それは、大したことのない言い合いだった。
ふたりともお酒を沢山飲んでいたし、酔っ払っていたのだ。
心ない僕の言葉が、Kを傷つけたことに気づく間も無く、Kは店を飛び出し、Kを追って僕も飛び出した。
雑踏の中、走るKを捕まえて、大声で叫んだ。「違うよ。そんなこと本当は思ってない。」
捕まえては、僕の手を振り切り、何度も走り去るKをなんとか捕まえて、ふたりで息を切らせながら、僕が何度も謝った。
すると、Kの瞳から、大粒の涙が溢れ出した。
その時に、僕はわかったのだ。
「Kを傷つけた言葉は、そっくりそのまま僕に向かって発せられていて、僕を深く傷つけていたのだった」
つきあっているふたりは、ふたりではなくひとつになっているのかもしれない。
やがて落ち着きを取り戻したふたりは、仲良くお店に戻った。
ケンカなんて、滅多にしないけど、僕たちはケンカをするたびに、また少しお互いを好きになるのだということがわかった。
Kの泣き顔を見るたびに、もう二度とKを泣き顔にしてはいけないと、かたく心に誓うのだ。
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