宇宙に書く。

先週末の土曜日、irodoriにおいてグッドエイジングエールズの6周年パーティーが行われた。パーティーはとても楽しかったのだけど、ここでとても驚いたことがあった。
パーティーの途中で、Gがふたりの人を僕に紹介したいと言って連れて来てくれたのだけど、驚いたことに、そのうちのひとりが、このブログを読んだことがある人だったのだ!
少しお話しさせていただいたのだけど、今度、なんと僕が昨年行ったポートランドにも旅行をされるとのこと!
僕は、自分のたわいもない日常を誰か特定の人にではなく、宇宙に投げるようなつもりで書いているのだけど、それでもどこかで偶然このブログを目にしてくれていた人とこうして出会えてお話が出来るなんて、とても不思議なことだし、驚きとともにとてもうれしかったのだ。
声をかけてくださり、ありがとうございました。
また、どこかでお会いしましょう!

ライラックの香り。

キラー通りから、原宿警察に向かうS字型の道沿いに、道行く人には忘れられているのだけど、ライラックが何本か植わっている。
ピンク色のものと、白い花のライラックなのだけど、この時期に開花していて、思わず立ち止まって香りを嗅がずにはいられない。
道に植わっている木の花に手を添えて、そっと鼻を近づけてみる。
ライラックの甘い香りが、身体の中まで入ってくる。
「これが、生きているっていうこと…」
ライラックのなんとも言えない香りを嗅いだ時に、ふとそう思った。

グランドフィナーレ

かつてクラシック音楽界において世界的な成功を収めたのちに引退し、アルプスの高級ホテルで暮らすマイケルケイン。
マイケルケインの幼馴染で親友であり、映画界で成功を収め、尚も創作活動を続けるハーヴェイ・カイテル。
マイケルケインの娘であり秘書でもあるレイチェル・ワイズ。そして、大女優役にジェーン・フォンダ…
イタリアの奇才『パオロ・ソレンティーノ』の新作は、年老いていく二人の男たちの人生を基軸にしながら、生きること、愛、そして、眩いばかりの『若さ』を現そうとしていた。
人間は限られた人生の中で、いったい何をやり遂げられるのだろうか?
人生を賭けて捧げられるものは何なのか?
時が過ぎた後で振り返った時に、心に残るものはいったい何なのか?
若さというものの絶対的な価値。
いつもながら複雑にテーマが絡み合うパオロ・ソレンティーノ映画は、好きな人には堪らない魅力だろう。
一緒に観たKは退屈していたみたいだけど、僕は、彼の映画が好きなので、最後まで楽しみながら見届けることができた。
数年前にイタリア映画祭で上映された『イル・ディーヴォ』やアカデミー外国語映画賞に輝いた『グレートビューティー追憶のローマ』の2つの映画が僕は彼の中では好きだが、本作も見応えある作品だと思う。(現在、イル・ディーヴォが特別上映されている)
★グランドフィナーレhttp://gaga.ne.jp/grandfinale/

枕元に立つ男。

ぐっすり寝ていたら、夜中に急にKが叫んだ。
K「ただしくん!誰かそこに立ってた!」
僕「え?誰もいないよ。
夢でも見たんじゃないの?」
K「夢かもしれないけど、ただしくんと同じパジャマ着てたからただしくんだと思ったんだけど、顔が見えなくて、隣を見たらただしくんが寝てたから…こわかった…」
僕「僕がついてるから大丈夫だよ…さあ、もう寝ようね…」
朝方目覚めて、昨日の夢はなんだったのかとふたりで話し合った。
僕が心当たりがあるとすると、僕が10年間つきあっていた昔の恋人Mのことだ。Mは一昨年の春に亡くなってしまっている。
そのことを言うとKは、
「ただしくんよりも大きな人だったの…でも、顔は真っ暗で見えなかったの…」
僕はそんな話を聞いて、昨年Mの御墓参りに和歌山へ行った時に、出来れば毎年お参りに来たいと思ったことを思い出した。
今年はKの引越しが重なり、春には行けそうにないので、少しずらして和歌山に行こうと思っていた。
もし、本当にMが2年も経った後に僕の枕元に立ったとしても、僕はMの幽霊がこわいとは全然思わない。僕が一生涯をかけてつきあった人なのだ。これから先も、一生愛していることに変わりはないのだから。
もし、ただ1つだけ心残りがあるとしたら、最後に僕はMのそばで、ずっと手を握っていてあげたかったということだろうか。
もし、もう一度Mが僕にわかるような形で枕元に立つことがあったとしたら、Mをしっかりと抱きしめたいと思う。
もう一度、あの大きな身体を抱きしめることができたなら・・・。

桜の季節はまだ終わらない。

一葉

鬱金

福禄寿

新宿御苑の桜の見頃は、ソメイヨシノが満開の3月下旬から4月初旬だと思っている人が多いようだけど、実は新宿御苑では、2月から4月の終わりまで様々な桜が咲き誇っているのだ。
苑内は空いていて入りやすく、きっと中に入ると驚くことだろう。あっ!と声をあげる方もいるかもしれない。それくらい見事な桜が、それも濃いピンクから淡いピンク、緑色まで、花も一重から半分八重、完璧な八重咲きのものまで、多種多様な桜が所々に咲いているからだ。
『嵐山』という一重に見える桜は、八重桜の原種になったような桜。おしべが変形して花びらのように見えるのは、旗弁と言って、後に八重に何百年もかけて変化していった原型の桜。
『一葉』という桜は、どこか気高い桜で、淡いピンクの濃淡と、一重と八重の中間のような花びらがしとやかで美しい。
『鬱金』は、白というより緑色を思わせる萌えるような気品のある桜。この桜は園芸大国のイギリスでも人気がある。
『福禄寿』は、新宿御苑の王者のような桜。大木土門に近いところに、驚くほど大きな燃え盛る濃いピンク色の大木があり、よく見るとそのピンク色は、花によって濃淡があるのだ。
ソメイヨシノが終わって一息ついた頃、ぜひ新宿御苑を訪れてみて欲しい。
「桜とは、私たちのこと…」
とでも言うかのように、完璧な花弁で咲き誇る多様な桜に驚かれることだろう。

ふたりで暮らすこと。2

Kが東京にやってきて、3週間が過ぎた。
朝は変わらずご飯を作り、洗濯をして、Kが見送ってくれる。仕事が終わると僕もなるべく早めに帰って来ては、Kを外苑前に呼んだり、伊勢丹に呼んだりして夕飯の材料を買って帰ってきては、一緒に食事を作る。
僕が、なるべく今はKと一緒に過ごそうと努力しているのは、Kがとても引っ込み思案だから。仕事をやめて大分から出て来たKは、東京に友達もなく、東京で暮らすことに慣れるまでには、多少の時間がかかると思うからだ。
ふたりが一緒に暮らしはじめて、改めて気づいたことがある。
『パートナーとは、同じ方向を見つめながら、ともに生きる同志のようなもの』 だということ。
恋愛の初期段階では、見つめ合いながら、お互いの魅力を探すことに精一杯だったものの、月日が流れ1年が過ぎ、3年が過ぎ、パートナーシップが少しずつ築かれていくうちに、ふたりは同じ方向のちょっと先の未来を見つめはじめる。
どちらかが元気のある時は追い風となり、また、弱っている時は毛布のようになり守ってくれる。
それはまるで、遥か昔に感じていた父親の頼もしさだったり、母親のぬくもりに似たものかもしれない。
あなたは、この広い星の上にあって、決してひとりではないのだと感じさせてくれるもの。

霧島地鶏 きばいやんせ

せせり

きびなご

手羽先餃子

神宮前二丁目のirodoriの斜め前に、薩摩料理をメインに出すお店『霧島地鶏きばいやんせ』がある。
Kが東京にやってきてそろそろ三週間、九州が恋しくなった頃かと思い、『きばいやんせ』に地鶏を食べに行った。
沢山ある焼酎の中から芋焼酎のなかむらを選び、ロックに。
きびなごの刺身を酢味噌でつまむ。
炭火で焼いたせせり、軟骨、ももは、この店オススメの地鶏。ブロイラーとは違って弾力がある。
23年くらいずっと神宮前二丁目でやってきたこの店も、耐震性に問題があるようで、5月までで建て替えになるという。
神宮前二丁目に新しい店がないかと探し回っているようだけど、なかなかよい物件が見つからないようなのだ。
店の人たちとひとしきり鹿児島話で盛り上がり、焼酎に地鶏を食べながら、まるで鹿児島にやってきたような錯覚に陥った。
★霧島地鶏きばいやんせhttp://s.tabelog.com/tokyo/A1306/A130603/13003487/

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北参道駅から、ロンハーマンの店に抜ける道沿いに、真っ白なT-shirtだけを売る専門店『シロティ』がオープンした。
様々なブランドの真っ白なTシャツばかり集めたお店は、土曜日の昼間のみオープンしていて、若い子たちが狭い店内に入るために順番待ちをして並んでいた。
デニムに真っ白なTシャツ。
いくつになってもそんな飾らない格好が似合う大人になりたいと思うのだ。
★#FFFFFFThttp://www.fffffft.com

大塚隆史さんのインタビュー記事。(ハフィントンポストより)

敬愛するタックス・ノットのタックさんのインタビュー記事が、ハフポストに掲載されている。
一昨年くらいからのLGBTブームの中で、僕も一時期少し疲弊していた時に、タックは、「このブームが一過性のもので終わらないようにしないといけないわね・・・」と僕に言っていた。そして、「こんな時だから、敵も姿を現すから、しっかり見極めないとね・・・」といわれ、なんだか恐いなあ・・・と思っていたのだけど、しばらくしてタックが僕に言っていた意味が分かったように感じた出来事があった。
記事自体はスマホで見ると少し長いのだけど、日本のゲイやLGBTの動きを注視し、長きに渡り関わり続けて来たタックのインタビューは、とても読み応えがあるので、ぜひ、前編後編を通して読んでみていただきたい。
★前編:90年代ゲイブームを索引した大塚隆史さん、LGBTを語る「一過性で終わらせないために、すべきことがある」http://www.huffingtonpost.jp/2016/04/01/takashi-otsuka-lgbt_n_9596618.html
★後編:「LGBTは、結婚を輝かせる最後の光」大塚隆史さんに聞く、同性婚の意義http://www.huffingtonpost.jp/2016/04/07/takashi-otsuka-lgbt2_n_9632766.html

Sのカミングアウト。

夜中に目が醒めてiPhoneを見ると、SからLINEが入っていた。
S「おつかれさまです。
今回の撮影で一念発起で親にカミングアウトしました。
電話でしたが優しく受け入れてくれました。
なんか話したいことたくさんあります」
先日の東京での『OUT IN JAPAN』の撮影会に来てくれたSは、周りにはほとんどカミングアウトしていたものの、お父さんにはまだはっきりとカミングアウトまではしていなかったようだ。そんなLINEに答えるべく、僕はその夜Sのお店をのぞいた。
S「父親にはまだハッキリと言ってなかったんです。でも、夜に友達と食事しながら飲んでいて、OUT IN JAPANの話で盛り上がって、その勢いで父親に電話かけたんです。そしたら、ほんと、やさしくて・・・」
みんながみんなカミングアウトをすればいいとは僕は思わない。人にはそれぞれ回りの環境や状況があるからだ。
でも、Sのように勇気を出して親にカミングアウトをして、すごく吹っ切れて幸せそうな人を見ると、『OUTIN JAPAN』の企画から動き出したこともあるのだなあと、しみじみとうれしく思ったのだ。