23歳の恋。

二丁目の仲通りを歩いていたら、通りの反対側をKTが歩いていたので声をかけた。
僕「KT! 元気にしてる?」
KT「いや、今、二股かけられていたことがわかったんです・・・」
僕「え?二股???」
とても挨拶だけですれ違える話ではないと思い、そばに言ってみると、
KT「前から1週間に一度会っていた37歳の人がいるんですけど、その人に会ってたら、食事の途中に言われたんです。前の恋人とよりが戻って、もう前からずっと会ってるって・・・」
僕「え?ひどいね・・・。それでどうしたの?」
KT「2000円机に叩き付けて黙って出てきました・・・」
そんなことを勢いよく話すKTの目は、心なしか潤んで、心臓がバクバクいっているのがわかった。その後、僕はBridgeに行き飲んでいたのだけど、先ほどのKTが気になりメールしてみた。「もしよければこっちに来ない?」
しばらくして飛んで来たKTは、落ち着きを取り戻し、もっと早く気づけばよかった。自分がバカだったと言いはじめたので、僕は、そうではないし、自分のことを責めることも卑下することもないと話した。
ゲイであろうがストレートであろうが、二股というのは結構良くある話だ。ただ、ここでちょっとないんじゃない?と思うことは、37歳にもなった男が23歳の就活をしている学生に黙って二股を続けていたあげく、深く傷つけてしまったこと。
もちろん、人間のやることだから、誰かを好きになったら仕方のないことだし、誰も彼を責めることなどできないのだけど、もっと早くKTに話すことはできなかったのか・・・。
はじめは自分を責めて、惨めな気持ちでいたKTに、「そんな風に思う必要ないよ。むしろ、別れてよかったじゃん。そんな男。次だよ次!」などと話しながら一緒に飲んでいるうちに、KTもどんどん明るくなり、後半はほとんどパレードの話になった。
23歳の恋か・・・まだまだこれから死ぬほど沢山いい男に出会えるじゃん。いいなあ・・・。
47歳のおじさんは、自分の若かりし頃の失恋を甘酸っぱく思い出したのだ。

海人の藻塩。

本当に美味しい料理を突き詰めていくと、いかによい素材を使うかということと、いかに上質な調味料を使うかにいきつくと思う。大抵の料理は、基本の調味料さえきちんと美味しければ、それほど手をかけなくても美味しく出来上がるからだ。
それゆえに、基本の調味料には、多少高いお金を払っても十分その価値があると思っている。
僕の家の塩は、基本はゲランドなのだけど、例えばお肉を焼く時は岩塩を使って焼くのも美味しいと思っているし、その他にも旅行で訪れた土地の塩を買って帰るのが一つの楽しみになっている。おみやげに買って来た塩で料理をつくると、またその旅行を思い出すからだ。
万葉集の歌にも詠まれている藻塩は、瀬戸内海の上浦刈島で現在製塩されている。平安時代から製塩が盛んだったこの土地では、その後数千年昔の古墳時代の製塩土器が見つかったそうだ。その土器を使った製塩方法を現代に蘇らせた製塩されたのがこの藻塩。
食通の間ではかなり知られている塩なのだけど、藻を含んだ塩はまあるく、直接なめてもつんとしたしょっぱさがなく旨味を感じる。
生野菜や刺身、天ぷら、僕の好物のゆで卵なんかに、直接つけて食べると、口の中で自然な旨味が広がる。
★海人の藻塩http://www.moshio.co.jp