Kのお父さん。

僕が東京から鹿児島空港に向かう頃に、Kはお父さんとお母さんと一緒に鹿児島に住む親戚に会うために、車で大分から来ていた。
鹿児島空港に早めに着いたKとお父さんお母さんは、しばらく空港の上の階から飛行機の離発着を眺めていたらしい。
やがて鹿児島空港に着いた僕に、Kは言った。
「お父さんとお母さん、さっきまで飛行機見てたんだけど、もう帰っちゃった…」
僕はてっきり、お父さんたちが僕に会おうとしたのかな…と思ったのだけど、会わずに帰ってしまったと聞いて、やはり違ったのかな…と思っていた。
Kが日曜日に東京に引っ越してきて数日が過ぎた頃、夜に僕が料理を作っていたら、Kのお父さんから電話が入った。
お父さん
「かーくん(Kのこと)、こないだ空港で、東京の人に会おうかと思って待ってだんだけど、先に帰っちゃってすまなかったね…」
お父さんは、わざわざお母さんがそばにいないのを見計らって、Kにそのことを伝えるために電話をかけてきたのだった。
自分の末っ子が、男の人が好きだとわかった時には、その事実をすぐには受け入れることが出来ず、僕のことは決して話題に出さなかったお父さんは、数ヶ月が経ち、Kが東京に本当に行ってしまう頃になって、少しずつ変わって来ていたのだった。
お父さんが僕のことを気遣ってくれているのがわかり、とてもうれしかった。
このままだと、お父さんお母さんに会う日も、そう遠くないのかもしれないな。
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