町中の樹木。

まだ寒さは残るものの、東京でもようやく桜がほころびはじめた。
東京の町を歩いていてつくづく思うことは、町中の樹木の不格好さだ。家の角や街路にある樹木を、自然な形に枝を伸ばすことはいけないことなのだろうか?
落葉期に都の命令なのか、街の至る所で樹木を剪定している様子を見ると、不格好になった樹木がかわいそうに…とさえ思える。
それは、日本特有の、極度に人に迷惑をかけまいとするためなのか、小さな世界に自然を封じ込めようとする盆栽文化なのか。
僕の考えでは、歩行者や車の邪魔にならなければ、樹木の枝が道の上方にせり出していても全然構わないのではないかと思う。
道を歩きながら、上に満開の桜の枝が伸びているなんて、とても素敵なことだろう…。
余程その樹木が大きくなり、後ろの家の日照時間に影響を及ぼすなど悪影響がないのならば、その樹木本来の姿形をなるべく保ったままに見える剪定をするべきではないだろうか?
千駄ヶ谷小学校の角に、白く美しい山桜がある。その桜は昔から、ソメイヨシノよりも早く、葉と花が一緒に開きはじめるのだけど、その山桜を見るのが、僕はとても好きだったのだ。
先日通りかかった千駄ヶ谷小学校の山桜は、驚いたことに、腕の途中から無作為に切られたような痛ましい姿だった。桜は、切った枝から腐ったり、うまく肉巻きがしない、剪定に非常に弱い樹木なのだ。
この場所で、桜の木が大きいからといって、いったい誰にどんな迷惑を及ぼすのだろうか?
この国は、「規則」ばかりで、「美しさ」というものさしを、どこかに置き忘れてしまっているのかもしれない。

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