最後の昼餐。

料理をしながら読んだりしたので汚れてしまった

建築家である宮脇檀による軽やかなエッセイ。
60歳を迎えた時に、ゴルフ場の会員権がキャンセルになりお金が戻り、それと引き換えに手に入れた青山の広いバルコニー付きのマンションで暮らす日々が綴られている。
宮脇檀のエッセイは、インテリアや旅行や食べることが好きなら間違いなく好きになると思う。
中でもこのエッセイは、自分の家の設計から始まり、バルコニーの植物の選択から配置、週末のたびに繰り広げられる手作りの料理のパーティーと、季節が進むごとに彼と内縁の彼女が人生を謳歌している様子が伝わってくる。
イラストは彼女が描いていて、またそのイラストにさりげなく歌が詠まれているのだ。
僕は昔、この本を読んだ時にとても感動して、当時の恋人のMと何度も一緒にこの本を読んだのを思い出す。
イタリア人のように美しく生きることにこだわり、旅に生き、食を何よりも楽しみに生きた宮脇檀の生き方は、僕たちの心をがっちりとつかんだのだった。
残念ながら、宮脇檀は癌で亡くなってしまったのだけど、彼の遺した素晴らしいエッセイは、いつまでも僕のお気に入りで、晴れた週末なんかに取り出しては、懐かしく読み返している。
時々Mのことを思い出しながら。
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