シミ。

40歳を過ぎてからジムに行きはじめて、何気なく鏡を見て驚いた。
「ぎゃー! 何この背中!!!」
今までの人生、鏡を見ても、太って来たかな…、腹が出て来たかな…など自分の正面はわかっているつもりだったのに、自分の背中はまったく見えていなかったのだ…。
40歳を過ぎた僕の背中には、シミがいくつもあったのだ。
なんというか、白人のそばかすに近い感じのシミだった。
せっかくの美白が…_| ̄|○
やがて45歳を過ぎた頃、顔にもシミが現れはじめた。
「年を重ねてゆくということは、こういうことでもあったのか…」
シミを受け入れ、シミとともに生きていると、シミは、肌のずっと奥深くから時間をかけてゆっくりと浮き出て来て、少しずつ色が濃くなり、やがてまたゆっくりと薄くなってゆくようだった。
それはまるで、小さな頃、夏休みに家族で遊んだ記憶が、忘れかけていたけれども遠くに確かに残っていて、今になって時々浮かび上がってくるようにも思えた。
母とは喧嘩ばかりしていた父が、溺愛する子どもたちをなんとしても失うまいと、僕たちを毎週のように海に連れて行った夏休みは、今でも僕の中に留まり、宝物のように残り続けている。

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