OUT IN JAPAN 5 (勇気)

OUT IN JAPANに応募してくださった方の中に、20代の男性がいた。
プロフィールを見ると、小さな頃から『吃音症』であったため、周りの人たちにからかわれたりいじめられてきたこと。ある時から開き直って話すようになり、少しずつ変わっていったということ。この『OUTIN JAPAN』に出ることをきっかけに、自分自身もカミングアウトをして、『吃音症』という言語障害のことをもっとみんなに知ってもらいたいということが書かれていた。
撮影当日、彼に会うと、とても感じのよい人だった。そして、明らかに緊張しているのがわかった。
全体の撮影の前に、ミュージカル『RENT』のキャストであるソニンさんと一緒に、急遽一部の出演者が写真を撮ることになったのだけど、撮影をしている間、彼だけどこか別の方を見ているので、僕が途中で、「レンズの方を見てください」と声をかけた。
全体の撮影が終わって、彼に声をかけた。「レンズ見えなかったかな?」
彼「あのー。いつもそうなんですけど、撮影でカメラの前で緊張すると、左目が寄って寄り目になってしまうんです・・・気にすればするほど・・・だからみんなで写真に写る時は、自分だけ他の場所を見ているものばっかりで・・・」
僕「あ、そうだったんだ。ごめん。普通に話していると視線が合っているから、気づかなかった・・・。レンズの先のもっとずっとずっと遠くを見る感じとか試してみようか?」
彼の撮影の順番が回って来て、僕は息を飲んで見守っていた。
その結果、いくつかの写真の中には、緊張して目が寄ってしまったものもあったけど、普通にこちらを見ているやさしい表情の写真が何枚か撮られていた。
撮影が終わって、彼を呼んで、きちんとこちらを見ている写真を見せると、とてもうれしそうに笑った。
彼「絶対に寄り目になると思ってたから、もう、あえて寄り目にして写真に写ればいいかなと思っていたんです」
僕「吃音症のことは、僕も今までの人生でほとんど知らなくて、想像することも出来なかったし、目が寄ってしまう人がいることも知らなかったよ。でも、僕が思うに、うまく話せなかったとしても、目が寄ってしまったとしても、その人の個性の一部のようなもので、人にいいとか悪いとか言われる筋合いのものではないような気がする。これはよくてこれは悪いみたいなものはなくて、みんなそれぞれ違っているということなんだろうね」
今回の『OUT IN JAPAN』がきっかけで、カミングアウトをしたいという人が何人もいらっしゃって僕もとてもうれしかった。そしてなにより、彼のように、僕には想像もできない勇気を持って応募してくれた人に出会い、僕自身が大きな気づきと勇気をもらったのだ。
★『OUT IN JAPAN』のギャラリーWEBサイトは4月末公開。
 それに先駆け、4月21日~28日にGAP原宿店で写真展を開催予定。
 オープニングイベントは4月21日。(僕もそこにいます!)
カテゴリーLGBT

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です