友人のお母さんに会いに、神戸へ。2

和歌山に来たので、大阪まで出て一泊して、神戸の施設に入っている友人Mのお母さんに会いに行った。
Mのお母さんは90歳。昔はよく東京に遊びに来ていたのだけど、80代後半くらいから足腰が弱り、今は神戸の施設に入っている。今年の1月に来た時に、「桜の咲く頃遊びに来ますね」と言っていたのだ。
阪急で京都のお弁当を買って、若竹煮と蕗の煮浸しを買って部屋を覗くと、お母さんはベッドに横になってテレビを見ていた。
僕の顔を見るなり、「まあ、わざわざ私なんかのためにこんな遠い所まで来てくださって…」と言って手を合わせて泣き続けた。
昼食の時間になり、応接室でお母さんに買ってきたお弁当を広げた。東京に遊びに来ていた時は、どんな料理も楽しそうによく食べていたのだけど、どうやら俵になった白米を切る手が震えている…
レンコンを口に運んだのだけど、硬くて噛みきれず、思わず一旦外に出した…。
途中から見ていられなくて、出汁巻きを切ったり、かぼちゃを切ったりしながら、僕が箸を使ってお母さんの口の中に運んだ。
お母さんは90歳になって、色々なことが出来なくなって来たという。「老人が食事を食べるのを見ているのは、汚いと思うでしょ?」とか、「本当にごめんなさいね。うまく食べられなくて…」と言って泣いたりする。
僕は、「僕でも誰でもやがて順番に年をとるんですよ。お母さん。ゆっくり召し上がってくださいね」と言って、おかずをお母さんの口に運んだ。「おいしいわ。よく作ってあるのね。」と言って食べているお母さんを見ていて、僕もうれしかった。
よく、「年をとると、どんどん子どもみたいになってゆく」なんて言うことがある。そういう一面もあるけど、僕の接してきたお年寄りは、自分を子ども扱いされるのを好まないし、実は周りに助けられていることが、周りの負担になっていることを繊細に感じ取っていたり、自分が些細なことさえ出来ないことで落ち込んだりする、ひとりの大人として誇りを持っていることが多い。
「また来ますね。お母さん。」と言うと、「ただしさん、抱っこさせてください。」と言うので、何度も何度も小さな身体を抱きしめた。
★友人のお母さんに会いに、神戸へ。1http://jingumae.petit.cc/banana/2349250

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です