ダウンベスト。

昼間は暖かく、夜になると冷え込んでくるこの時期に、重宝するのはダウンベストではないだろうか。
東京に暮らしていると、地下鉄の通勤では車内の温度が高く、コートを着ているとひどく汗をかく。かといって、厚手のジャケットも昼間は汗ばむ陽気だろう。ダウンベストのいい点は、
1.身体の心臓を含む中心部が温かいこと。
2.思ったよりかさばらないこと。
電車の座席に座る時にコートやダウンジャケットを着ていると、隣のスペースが奪われ、自己中心的な人物になりかねないのだけど、同じダウンでも『ベスト』ならば、隣の人に気兼ねすること無く座れる。
下には少し厚手のシャツを着ていれば、動きにくくなってくるこの時期でも十分軽快な格好のまま外を歩き回ることが出来る。
僕は、たいていのダウン製品が持つ、シャカシャカした化繊が嫌いなので、せめて表面は自然のウールのものが好きだ。中でも、このペンドルトンのチェックのベストをこよなく愛している。

NOWHERE

DIMITRIS PAPAIOANNOUによって、ピナ・バウシュのメモリーに捧げられた舞踏。
簡単に言葉に出来ないものを表現しようとする芸術に触れると、胸がドキドキする。
★NOWHERE (2009)/central scene/for Pina http://vimeo.com/m/100021239

言葉。

色々考えて僕が作ったボードを、台湾のパレードで、そばにいた人に適当に配って持ってもらったのだけど、写真のカップルがこのボードを持ってくれてとてもうれしかった。
彼らはこのボードとともに、たくさん写真を撮影されていた。
そのままFacebookで繋がったのだけど、今はカバー写真になっていた。
言葉は、どこへでも一人で歩いて行って、見た人に何かを感じさせるかもしれない。

美女と野獣

今回フランスで実写化された『美女と野獣』は、ディズニーの製作したアニメの『美女と野獣』とは、ストーリーが異なっている。
もともと1740年にフランスのヴィルヌーヴ夫人により執筆された長編物語が、1754年にボーモン夫人が30ページほどの短編にして発表。それが世界で知れ渡るものになったようだ。
そして今回、フランスのクリストフ・ガンズによって脚本、監督された実写版の映画は、最初のヴィルヌーヴ夫人の物語を元に脚本化されたという。※お伽話はストーリーがすべてなので、ここでは敢えて触れない。
〈見どころ〉
ドイツの巨大なスタジオにセットを組んだという美術は、野獣の城の中の様々なものまで作り込んでいて豪華だ。
ベルの衣装が素晴らしい。場面ごとにはっきりとした色、隅々まで凝った細部、全く違うデザインで魅了させられる。
野獣のヴァンサン・カッセルは、特殊メイクではなくて、ホッケーのヘルメットみたいなものを着けてすべて撮影、その後トロントで同じシーンを顔の表情だけ撮影、そして一本ずつ植えつけられた野獣マスクと合成で重ねたそうだ。野獣の映像については意見が分かれるところだろう。(僕は、なんだか着ぐるみチックに感じられて、他の方法はなかっただろうか…と思った)
美女役のレア・セドゥは、『アデル、ブルーは熱い色』でバリバリのレズタチ役をやってパルムドールを取った個性派女優なのだけど、ベル(Belleは美しいという意味)には、もっと圧倒的な美女がよかったように思う。(レア・セドゥの演技は、本当に素晴らしかったのだが…)
〈僕の感想〉
何百年もの間人々に読み継がれ語り継がれて来たお伽話の中には、何かしら人の心を動かすテーマがあるに違いない。
『美女と野獣』の中で大切なことは、およそ愛し合うはずなどない全く姿形の違うふたりが、お互いを知ってゆく過程において、表層だけではなく心の奥の方でお互いに少しずつ惹かれ合ってゆくところなのではないだろうか。
今回のこの作品は、物語の中の他の要素に時間が多く割かれてしまったようで少し残念に感じた。
衣装と美術とファンタジー溢れる映像を劇場で観るためだけでも、1800円はとても安いと思える価値のある作品。
★美女と野獣http://beauty-beast.gaga.ne.jp/sp/index.html

寿司処ちはる

タコ、関サバ、関アジ、ヒラメの雲丹巻き

墨イカ

しめ鯖

大分市内には、多分もう12回は来ているかもしれない…。食べる店は、かなり詳しくなって来ました。^ ^
大分市内の寿司屋では、以前ここにも上げた『月の木』という店は、お店も小綺麗だし、大将はこっちの人かもしれない物腰の柔らかさでまずまずなのだけど、今回行った『ちはる』も、より地元に愛されるいいお寿司屋さんだった。
最初に関サバ、関アジ、タコ、ヒラメなんかを刺身でつまんで、松茸茶碗蒸しを食べて、美味しい日本酒を飲んで、11貫あるお任せ(3000円)を食べても、コスパの良さは大分ならではかもしれない。
東京の高級寿司屋に比べるとちょっと荒い仕事でも、地元の魚が食べられて、地元の人に愛されるこんなお寿司屋さんがあるのはうらやましいな。
★寿司処ちはる http://tabelog.com/oita/A4401/A440101/44003808/

はじめての水炊き。

ネギは斜めに切って食べやすく。
キノコ類は、石づきを切り落として、水で洗わないこと。
椎茸は、飾り包丁をこうやって入れるの…。
白菜の茎は茹でると熱くなりすぎて、正方形だと食べにくいので、細く切ること。
鶏肉は、骨付きを使って、一度沸騰した湯の中で下茹して臭みを抜いてから、スープの中へ。
Kの家で、はじめて水炊きを作った。
土鍋はなぜか持っていたので、卓上コンロを買って、あれこれ僕に料理の指導をされながら、素直なKは、僕の言うことをじっと聞いて行動に移してゆく。
こんな風にしながら、今までに少しずつ料理を教えてきた。昔はほとんど料理なんてしなかったKは、今では自分で出汁も引けるし、味噌汁も作れる。
熱い鍋を囲んで、好きな大分の豊潤をちびちび飲みながら、ふたりで家で食べる鍋料理は、ほかにどんな調味料もいらないくらい美味しく感じた。

再び、大分へ。

Kはうさぎのコニーで、僕はクマのブラウンだそうだ。

「東京に行こうかと思っています。
東京で一緒に暮らしませんか?」
Kに突然言われて、どこまで本気なのかわからずに、僕もはっきりとしないまま、時が過ぎていた。
大分の病院で働くKは、3人兄弟の末っ子ということもあり、ご両親もそばに置いておきたい存在だと聞いていた。職場を変わることだって、30を迎える男にとってはリスクに違いない。
そんな、何もかもをKなりに色々考えて、やっと言葉にしたに違いない。
僕は、誰かと100%一緒に暮らしたということがないこともあり、同棲するということに戸惑いがあったのと、離れていると時々不安定になるKのことを思い、ふたりで一緒に暮らすことが少し不安だった。
そんなはっきりとしない僕に、Kはヘソを曲げてしまい、困った僕は、急遽大分に飛ぶことにした。
夕方大分空港に着いて、バスに乗った。
Kに会うことがなかったら、もしかしたらこの大分という地に足を踏むこともなかったかもしれないのに、今は国東の穏やかな海を見ると、いつしか心がほっとするような安堵に包まれる。
バスを降りて、ベンチで座っていると、後ろからKがうれしそうに声をかけてきた。

愛しい洋服。

先日思い立って、ジャケットやスーツを一気に整理して、洋服の買い取り業者に出してみた。
ネットで申し込むと、翌日には段ボール箱が送られてきて、その中に洋服を詰めて、書類にそれぞれの個数や色を記入して送ると、数日後にメールが届いた。
査定金額は、だいたい1着が3500円〜5500円の値段が付けられていた。
僕が送ったジャケットは、すべてErmenegildo Zegna のものなのだけど、これを敢えて買った当時の金額と比べると、1/20から1/40くらいだろうか…(中には、およそ20年前のものまであるだろうから、そんな金額でよく買ってくれるものだ…)
若い頃は洋服に驚くほどお金を使って来たなあと改めて考えた。いつもイタリアで買っていた…今考えると落ち込む値段だ。_| ̄|○
それでも、その洋服に袖を通す時は、ある種の胸の高鳴りがあったのだろう。恋に落ちた時のような高揚感のようなものだったのかもしれない。
若い頃に沢山の洋服を着て、失敗を沢山して、今ようやく本当に好きな洋服を、ほんの少しでいいと思えるようになったようだ。
そして、新品ではなく長く愛用したものにしか感じられない愛着もわかるようになったのだろう。
洋服は、ずっと僕のそばにあって、いつも僕を表していたのだ。

マダム・マロリーと魔法のスパイス

ヘレン・ミレンが出ているというので楽しみに観に行った映画『マダム・マロリーと魔法のスパイス』。美味しそうな匂いが画面全体から立ち上がってくる映画だった。監督は、『ギルバート・グレイプ』『サイダーハウス・ルール』『ショコラ』のラッセ・ハルストレム。
マロリーは夫に先立たれてから、長年独りでミシュランの星付きレストランを切り盛りしている。彼女の人生のすべては、このレストランに捧げられている。
ムンバイでレストランを経営していたインド人一家が、ある日フランスの田舎の町に引っ越して来て、マロリーのレストランの向かいに居を構えることになる。
向かい合うレストランの対立、フレンチとインド料理の対立が、少しずつ崩れはじめる・・・。
映画の作品としては残念ながら評価の出来るものではない。スピルバーグが制作に関わっているからか、アメリカ的なご都合主義というかあらゆることがうまく出来過ぎている。ただ、食べることが好きならば、最後まで楽しんで見届けることが出来ると思う。
★マダム・マロリーと魔法のスパイスhttp://www.disney.co.jp/movie/spice.html

いつものパスタ。

じゃことルッコラのスパゲティ

パスタが好きなので、休日のランチなどによく作って食べることがある。
いろいろな種類をその時の気分によって作るのだけど、僕はいわゆる醤油やポン酢を入れるような和風パスタというものは作らない。自分が好んで作るパスタは、基本アーリオオーリオの変化形が一番多くて、その次は生クリームのソース、その次はトマトソース、そしてカルボナーラといった順番だろうか。
アーリオオーリオの中でも、一番多く作るのは、『たらこのパスタ』と『じゃこのパスタ』。シンプルでいて魚介の旨味が感じられるので、酔って家に帰って来た夜に作ることもしょっちゅう。
★『じゃこのスパゲッティ』
<材料一人分>
じゃこ(大さじ3〜4)
松の実(大さじ1)
※ルッコラ、春菊、香菜、バジル、トレビスなど香りのある野菜のどれかあるものを。
ニンニク(1/2かけみじん切り)
鷹の爪(1本種を取って細かく刻む)
オリーブオイル
塩・黒胡椒
スパゲッティ
<作り方>
1.大きな鍋にお湯をたっぷり沸かし、塩をきっちりと入れる(1ℓにつき小さじ1)。スパゲッティ1人分90グラムを目安に入れる。
2.みじん切りしたニンニクを冷たいフライパンに入れて、オリーブオイル大さじ1と1/2を入れて弱火で香りを出す。
3.香りが立って来たら、じゃこと松の実を入れて中火で炒める。じゃこがからりとして松の実が色づいたら、塩をふたつまみくらい入れて味見をして火を止める。
4.茹で上がりが近づいたらフライパンを再度温めはじめ、鷹の爪を入れる。
5.スパゲッティの標準茹で時間の2分から1分半前に水切りざるにパスタをあげる。フライパンに食べやすく切った野菜を入れて、そこへスパゲッティを入れ弱火であえる。
6.皿に盛りつけて、上からオリーブオイルをひと回しかける。黒胡椒をひく。
※ニンニクは焦がしたら最後なのできつね色に炒めない。鷹の爪は10秒で辛みが出るので焦がさないよう最後に。野菜は生で和えるくらいの感覚で。