活魚料理 武蔵

今までの人生で一番美味しかった舟盛り

ウチワエビともずく蟹

フグと豆腐の鍋

『美味しんぼ』に載ったことがあるという『武蔵』は、予約した時点で電話だけでなくFAXを送ってくれ言われたり、親父が怖そうだ、奥さんがサービスには向かない、料理がなかなか出てこないとか、『食べログ』で見ると賛否両論の店だった。店の前に来た時、この店はさすがに外したかな…と心配になった。おまけにドアを開けるとイノシシの剥製があって、フグが丸々と膨らんだ電気がカウンターに並んでいたのだ…。
しかし、結論から言うと素晴らしい魚居酒屋だった。
刺身は、他でなかなか食べられない食材を予約の僕たちのために用意してくれていたり、僕たちが食べるスピードに従って、伊勢海老をしめたり魚を捌いたり、すべて計算してくれていた。
怖いと書かれていた大将は、白髪で、魚を捌く時は全身全霊で仕事に集中しているだけで、そんな時に話しかける客の方に問題があるのだとわかった。なかなか出てこないと言うのは、店が大将と奥さんふたりでやっているということを想像出来ない人に違いない。
はじめにおすまし。次にウチワエビに、この時期しか食べることの出来ない『モクズ蟹』をいただいた。モクズ蟹は、川からこの時期に海に移動して雄に出会い産卵をするということ。上海蟹と同じ種類のようだけど、同じように小さく、卵と蟹味噌が濃厚な味わいだ。
お刺身の舟盛りが出てきた時は、思わず歓声をあげてしまった。
たった今しめたばかりの伊勢海老は甘く、ヒラメは丁寧に切られ、カサゴは湯引きしてあり、イカは溶けるように甘い。中でも一番美味しかった魚は、『ハタ』なのだけど、コシがあり食べ応えがあった。
その後、ハタを1匹ずつ煮たもの、そして天ぷらまで1匹ずつ出てきた時は、もうお腹がはち切れそうでギブアップしようかと思ったのだけど、その後も伊勢海老の味噌汁、刺身で使った魚のアラ汁、フグの鍋、しめに雑炊まで出てきてしまいには泣きたくなった…。
大将はとても話が面白くて、食事の間中ずーっと話が続いていた。なんというか、発明家のような不思議な人なのだ。奥さんはシャイでやさしい田舎のおばさんなのだ。お店は古く、庶民的な作りの居酒屋だし、店の前まで行ったら必ず入るのを躊躇うと思う。でも、騙されたと思って入ってみて欲しい。
おこぜ料理ならば『小笠原』をおすすめするのだけど、『武蔵』は、今のところ長崎で一番美味しい魚が食べられる店だと思う。
★活魚料理 武蔵http://s.tabelog.com/nagasaki/A4201/A420101/42001260/

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