めぐり逢わせのお弁当

シネスイッチでやっているもう一つのインド映画を、ずっとお盆の週も観ようとして映画館に足を運んでいたのだけど、とにかく混んでいて、2時間前に行ってもチケットが取れなかったのだけど、やっと観ることが出来た。
ムンバイでは、家で作ったお弁当を、わざわざお昼に配達してくれる仕事があるようだ。ある日、主婦のイラが、夫の関心を惹くべく愛情を込めて作ったお弁当が、何かの手違いで夫ではなく別の男の元に届いてしまう・・・。
イラは、夫の愛情をなんとか取り戻したいとひたすらお弁当を作り続け、愛する妻を失い早期退職を考えていたサージャンは、まるで人生を諦めてしまったかのような毎日。まったく会ったこともない人間同士が、毎日の短い手紙のやり取りによって、お互いがまだ見ぬ相手を想像し、少しずつ惹かれてゆく・・・。
この映画を観終わった時に、なんだか良質な短編小説を読み終えたような読後感に包まれた。イラの人生の苦悩と、サージャンの喪失感を思った。そして、どんな人間でもそれぞれに人生のドラマがあるのだと感じることが出来た。
お弁当が間違った場所に配達されてしまう確率は、なんと600万分の1だそうだ。確率はともかく、そんな不思議な出会いによって、人の人生は軽々と方向を変えてゆくものなのかもしれない。
★めぐり逢わせのお弁当 http://lunchbox-movie.jp

王様の野菜。

トロミがあって美味しい。

先週、母が『モロヘイヤ』をたっくさん持って来たので、来る日も来る日もモロヘイヤを調理していた。
どんな薬を飲んでも治らなかった難病の王様が、モロヘイヤのスープを飲んで治ったという話から、モロヘイヤをアラビア語で「王様の野菜(ムルキーヤ)」と呼ぶようになったらしい。
『王様の野菜』と言われる理由はその豊富な栄養価にも見ることが出来る。老化の原因である活性酵素の働きを抑える効果のあるカロチンの含有量がトップクラスで、カルシウム、カリウム、ビタミンB1とB2(ほうれん草の5倍)、ビタミンC、ビタミンK・・・驚くばかりだ。
母はいつも、おひたしにして、出汁やポン酢で食べると言っていた。アーリオオーリオでもとても美味しく食べられるけど、この夏の猛烈な暑さに負けないように、『王様が飲んだスープ』を想像して作って食べている。
★モロヘイヤのスープ
<材料>
モロヘイヤ 大きくがばっと1掴み
にんにく 2かけ
オリーブオイル

胡椒
鶏スープ800ml(手羽先か手羽元をたっぷりの沸騰した湯で20分茹でる。茹でる時に、ネギか生姜かレモングラスなどを入れる。茹でた鶏は、醤油やナンプラーで下味をつけてから唐揚げに。顆粒のスープの元など買う必要はない。)
<作り方>
1. 鍋にオリーブオイル大さじ1を引き、ニンニクをみじん切りにして、弱火で炒めて香りを引き出す。
2. にんにくが少し色づいて香りが十分引き出されたら、鶏スープを入れて強火にする。
3. モロヘイヤの葉をつみ、細かく刻む。茎は別にして細かく刻んでおく。
4. スープが沸いたら、塩を入れて味を整える。
5. モロヘイヤの茎を入れて、15秒くらいしたら葉を入れて、ひと呼吸置いたら器によそい、胡椒を引く。

Lalah Hathaway

偉大なDonny Hathawayの娘、Lalah Hathawayは、僕の最も好きな女性歌手のうちの一人だ。
(このブログは毎日書いているので、すでにレイラ・ハザウェイのことには触れたことがあるかもしれない。重複していたらお許しいただきたい)
1990年に出した『Lalah Hathaway』という衝撃的なデビューアルバムから9年後に、Joe Sampleと組んで『The Song Lives On with Joe Sample』というアルバムを出した。
ダニー・ハザウェイの娘というだけあって、レイラ・ハザウェイの歌声は、他の誰にも似ていない複雑な音が一つになったような独特な声であり、どこまでも伸びやかだ。それでいて歌声の根底に何か温かいものを秘めているように感じられる。
僕は、その頃つきあっていた人とブルーノートのライブに行き、彼女のバイブレーションの中に包まれた至福の時間を、今でもそっくりそのまま思い出すことが出来る。
有名な『Street Life』から始まるこの『The Song Lives On with Joe Samplehttp://www.amazon.co.jp/Song-Live-Joe-Sample/dp/B00000ILY5』は、今でも静かな夜にワインを傾けながら聴きたくなる珠玉の一枚だ。
★when your life was low https://www.youtube.com/watch?v=g3LIMYjzXlA
★night and day https://www.youtube.com/watch?v=fvzl7CCeo0c

オクラ。

ささみとオクラの柚子胡椒和え

すっかり秋めいて来た空

母が、オクラを持って来た。
オクラは痛みやすいので早めに食べねばと、ここ数日オクラを調理している。
オクラのことを、とりとめて美味しいと感じたことはないのだけど、βカロチン、ビタミン類、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど、栄養価も高いようだ。よく納豆や長芋と一緒となったネバネバ連合のような料理を見かけるけど、僕は、何を食べているのかわからない料理は苦手だ。
普段よく作るのは、茹でておかか和え。ツナとマヨネーズ和え。なんかだけど、積極的にたんぱく質を摂る食事には、ささみと合わせるとよい。
★ささみとオクラの柚子胡椒和え
<材料>
ささみ3本から5本(適当に)
オクラ1パックくらい
柚子胡椒
醤油
オリーブオイル

<作り方>
1.20センチ以上の大きめの保温性の高い鍋にお水をたっぷり入れて沸かす。
2.沸騰したら、塩をひとつまみ入れてささみを入れて、火を止めて蓋をする。5分間そのまま。ささみを取り出す。
3.手に粗塩を掴みながら、オクラのひげをこする。5角形すべて丁寧に。
4.大きな鍋にお湯を沸かし、オクラを入れて1分半くらい茹で、ざるにあげる。食べやすい大きさに切る。
5.ボウルにオリーブオイル大さじ1、薄口醤油小さじ1/2、柚子胡椒小さじ1/2〜1、を目安に入れて、フォークなどで混ぜ合わせる。味見をして整える。
6.ささみを手で食べやすい大きさに裂いて、ボウルの中に入れてよく馴染ませる(ささみに鯵を含ませる)。最後にオクラを入れてさっくりと混ぜ合わせる(オクラにはさらっと絡むくらいがよい)。お皿によそって完成!
※柚子胡椒の代わりに辛し・わさび、オリーブオイルの代わりにごま油でも美味しい。

レインボー祭り。

バインセオ

パクチーモヒート

レインボー祭りの終わる頃、友人に呼び出され二丁目に行った。新宿二丁目でレインボー祭りが行われるのは、15回目だそうだ。
昔はパレードと同じ日にレインボー祭りがおこなわれていたので、もっと大規模で、人も沢山集まったように思う。
昔は、二丁目しかゲイの集まる場所が無くて、夜の二丁目にあまり来たがらないゲイもいて、そんな、日頃の二丁目では見かけない人たちが気軽に来られるイベントだったように思う。
今、新宿二丁目は昔のように人は来なくなったと言われている。実際にあの街に30年くらい通っているけど、今は昔のような賑わいは感じられない。インターネットもあるから、ゲイの出会いには事欠かないからだろう。
来年以降、もっと人を集めてゆくには、もしかしたら根本的な大改革が必要なのかもしれない。
毎年恒例のエイサーや踊りなどもいいけど、もっと新しいことを盛り込んでいかないと、なかなか話題にはならないのではないだろうか。
15年も経って、LGBTの環境も少しずつ変わってきているということだろう。
散り散りになる人たちを見ながら、友人と仲通りにある『ベトナムちゃん』でご飯を食べたのだけど、この店はなぜか台北に遊びに来ているような、ガチムチで溢れかえっていた。

台湾プライド。

昨年の台湾プライド。

夏が終わり、そろそろ10月の最後の土曜日に行われる台湾ゲイプライドのことを考える時期だ。
このところ急激に台湾プライドの海外からの旅行者が増えているようで、飛行機もホテルも直前だととても混んでいて取りにくいのだ。
いつもはチャイナか全日空で飛行機を取り、メンバーでもあるRegentという老舗ホテルに泊まることにしていたのだけど、今度は新しく出来たオークラにしようかと思っている。
台湾のゲイパレード自体も大きくなって来ているので、ニューヨークなどのパレードを見たことがない人でも、台湾プライドを見たら何かしらの感動があるに違いない。
今年はKも、はじめて台湾に行くと、今からはりきっている。
K「台湾は、日本語通じるんですよね?」
僕「空港とホテルの一部しか日本語は通じないよ」
K「えっ?
空港まで、迎えに来てあげて!」
英語や海外というと、途端に臆病になるKも、今から現地で小籠包を食べるのを楽しみにしています。
友人が台湾プライドツアーを組んでいます。
★Out Asia Travel http://outasiatravel.com/taiwanparade/

娘とディナー。

イロドリのステーキ。美味しい!

九州縦断旅行と、今週のプレゼンが相次いだので、身体がヘトヘトに弱っていた。
娘のKe(ゲイの可愛がっている若者)が一緒にご飯を食べたいというので、『irodori』へ。
Keは、夏の間しばらく下田に仕事に行っていて、日に焼けていた。四月に日本の会社に入社したものの、5ヶ月経って、ほんの少し仕事にも倦怠感を感じているようだ。
Ke「お母さんは、苦手な人がいたら、どうしますか?」と質問が来た。
僕「ん〜…僕自身、苦手な人とかあまりいないから思いつかないけど、この人にも、お父さんとお母さんがいて、たいせつにこの人を育てたんだよなあと想像するよ」と答えた。
Ke「え?それから?」
僕「たいてい苦手な人や嫌いな人というのは、自分の中にある嫌な部分を、その人が見せてくれている場合が多いんだ。だから、その人がいることで、自分の内面がわかったということ」
Ke「へー、それでどうするんですか?」
僕「その人が、なんでそんな嫌な人になってしまったか想像するの…きっとその人なりに理由があってそうなっているんだよ」
「そうやってじっくりその人のことを見てみると、そんなに嫌いになったり、憎んだり、自分の感情を荒立てる必要はないことに気づくよ。きっと。」
「そのうちに、そんなに嫌な人ではないと思えてきて、それほど気にしなくなると思う」
娘は不思議そうな顔をして、僕の話を聞いていた。
嫌いな人がいることは、好きな人がいるくらいエネルギーを使うことだ。その人に対するネガティブな感情は、自分の中で存在を主張して日常生活にも支障をきたす。
嫌いというネガティブな気持ちを薄めて行って、小さくすることができれば、自分の中の意識も変わって来るものだ。
その後、ブリッジに流れて、久しぶりに混み混みの週末を楽しんだ。

母とランチ。

赤坂離宮の飲茶コース

モロヘイヤ、バジル、オクラ、茗荷

今年はお盆の前に二日休み、お盆は休めないので、母と義理の父が銀座まで出てきて、『赤坂離宮http://s.tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13013346/』でランチをした。
いつものように、手には畑で採れた沢山の野菜と、ブルーベリーのジャムなどを持ち、夏バテしていないか?仕事はどうか?白髪は増えていないか?僕を見ながら色々な質問をしてくる。
母たちは、5月にシンデレラクルーズに行ったので、台湾や沖縄や奄美、そして、船の旅がいかに面白かったかを話してくれる。
母「船の中はみんな英語だから、お母さん、何が何だかちんぷんかんぷんで、全部日本語で答えてたの…」
どこに行ってもマイペースな母は、チップは費用に含まれているから不要だというのに、みんな本当によくやってくれるからと、それぞれにチップを渡してあげたそうだ。
今度はどこに旅行に行こうかと、楽しそうに話している母を見ながら、こんな風に年をとって、旅行三昧で生きていけたら幸せだろうなあと思った。
こんな風に、正月や盆や母の日、そして誕生日と母に会っていたしても、一年間で会えるのはたったの4回なのだ。
決して失いたくない母でも、いつかは失う日が来ることがわかっているのに、いつもいつも自分の予定ばかり優先している自分を思い、情けなくなる。
もっともっと家族をたいせつにしたいと思った、今年のお盆です。

人前で話すこと。

実は、人前で話すことが苦手だ。
小学校のころから1度も欠かすこと無くずーっと学級委員や生徒会だったし、いつもみんなの前で話しをしてきた。でも本当のところ、僕は人前に出ることが好きではないし、みんなの前で何か意見を主張することも好きではない。そして、あがり症だ。
休み明けの水曜日、朝一から大きな競合プレゼンがあり、プレゼンテーションをしなければならなかった。昨晩は何を話そうか考えてもまとまらず、今朝は死刑宣告を受けたように朝から緊張していた。こんな時、どうやって乗り切るか。
『まずは準備を万端に整える』
『パートごとに言わなければならないポイントだけ小さな紙に箇条書きにしておく』
それを順番に重ねてポケットに入れておく。僕の考えでは、大切なポイントだけ覚えれば大丈夫。すべての話しをストーリーだてて叩き込む人もいるけど、僕は、前後の言葉は臨機応変に変わっていけるくらいがいいと思う。
朝はなるべく早く起きる。朝起きたら、もう一度、箇条書きの紙を手に持ちながらなるべく見ないようにおさらいをしてみる。現地には、20分前には到着すること。
プレゼンの前は、出来るだけ周りの人と話しをして笑っておくこと。自分をリラックスしている状態に持って行くことが重要だ。クライアントと和やかに世間話をするのもとてもいい。そして、一番大切なのは、『話しはじめ』だ。
『自分では、「少し低いかな?」くらいの声で話し始めること』
日頃自分が話しているくらい低めの声で話し始めることが出来たら、もう成功だ。後は、相手の目を見ながら、ゆっくりと押さえるべきポイントの言葉を繋いでゆく。ポイントの言葉をうっかり忘れても、ポケットから紙を取り出し、ちらりと見れば大丈夫。
今回は、はじめにクライアントと和む話しが出来たので、驚くほどうまく話しをすることが出来た。プレゼンが終わったら、まだ結果などわからないのに、祝杯をあげたいくらい気持ちのいい終わり方だった。

いつもふたりで。

LとJが、ようやく九州旅行を終えてシンガポールへの帰国の途についた。
結局、4泊5日ずーーーっと彼らとKと4人で朝も昼も夜もほとんど一緒にいたのだ。それなのに、本当に何一つ嫌な思いをすることはなかった。車の中でも、ずーっとみんなでゲラゲラ笑っていたのだ。
僕と彼らは、本当に珍しくいろいろな点で好きなことなどが似ているみたいだ。旅行で重要なことは、断然『食べること』。それと同じく『宿』も重要。
一緒に旅をしていて気づいたことは、彼らが常にお互いに気遣い合っていて、心から愛し合っていること。車の中でも、振り返ると後部座席で常に手を握り合っているし、食事中もお互いに美味しいかどうか、どう思うかを確かめ合いながら過ごしている様子を見ていると、お互いにもう、なくてはならない存在なのだろうと思える。
ふたりはインターネットの『fridae』で出会った。
シンガポールで暮らすLと、香港で暮らすJは、しばらく文通のやり取りだけだったのだけど、Lが香港に仕事に行った時に、香港のホテルで待ち合わせをして会うことに・・・。ふたりはホテルで見つめ合い、『運命の人』に出会ったとお互いに確信したそうだ。
その後ふたりはつきあうことになり、お互いがもっともっと一緒にいるために、Jが自分のキャリアをすべてあきらめて、シンガポールに住むLのもとへ渡ったそうだ。
その話しをする時に、ふたりは『sacrifice(犠牲)』と言う言葉を使った。Jは『sacrifice』になってくれたのだと・・・。
今、Lはアメリカ系企業の環太平洋の拠点があるシンガポール店で働いている。そしてJは、出張の時はふたりで一緒にどこにでも行くし、Lの日常の細かな実務的なことを秘書のようにこなしながら働いているようだ。シンガポールとペナンに家を持ち、大胆に休暇を取ることが出来て、早くもリタイアを考えているLはきっと、僕なんか想像できないくらいの給料をもらっているのがわかる。
ふたりは、英語の出来ないKに何度も話しかけていた。そして、Kがいない隙に僕に言った。
「Kはいい子だよ。本当にいい子だ」
彼らは、僕たちにももっと幸せになって欲しいようだ。離れて暮らす僕たちは、いつもふたりでべったり一緒にいても幸福そうな彼らに、すっかり魅せられていた。
どうやら、『愛』は、この地球にあるようです。