イタリア映画祭2014

先週末からはじまったイタリア映画祭http://www.asahi.com/italia/2014/。合計6本の映画を観ることが出来た。(本当はあと4本チケットを買っていたのだけど、レインボーウイークで結局行くことが出来なかった)
フランス映画祭と違ってイタリア映画祭の映画は日本で公開されない映画がほとんどで、しかも圧倒的に映画のレベルが高いのでいつも楽しみにしている。
『マフィアは夏にしか殺らない』
『存在しない南』
『南部のささやかな商売』
『初雪』
『多様な目』
『いつか行くべき時が来る』
最近のイタリア映画祭の作品は、移民問題を扱ったものや、景気の悪さを反映したもの、そしてマフィア絡みのものがいつも出品されるようだ。映画はいつも、その国の現在の問題を映していると言ってもいいかもしれない。
『多様な目』は、チェリスト、彫刻家、音楽の先生、電話オペレーター、情報機関…様々な職業の人たちの暮らしが映し出されるドキュメンタリーだったのだけど、登場人物は皆、目が全く見えない人たちだった。
彼らは全盲であるにも関わらず、スキーをしたり、ヨットに乗ったり、彫刻を作ったり、チェロを弾いたり、野球をしたり、アーチェリーをしたりするのだ。
アーチェリーをする女性は、電車で降りる時に見ず知らずの人に、「かわいそう…」とつぶやかれた時に、「誰のどこがかわいそうなの?私はあなたよりも有能かもしれないし、幸せかもしれませんよ。」と答えたと言う。
障害をきちんと受け止めて、更に自分の力で前へ進みでようと生きる姿に胸が熱くなった。
『いつか行くべき時が来る』は、映画らしい作品だった。
30歳の女の子が主人公なのだけど、流産か何かで子どもを失い、子どもを産めない身体になってしまい夫に捨てられ、単身でアマゾンの村に教会のボランティアで住み込んでいる。
父親は他界していて心配している母親には、年老いたお婆さんもいる。
個人の抱える深い苦しみや痛みと、ブラジルの抱える貧困の悩みを重ね合わせ、人生や神について考えさせられる映画だった。
映画が終わった後に監督が、「悩みや苦しみを抱えている時は、どこかに旅行に行ったらいい。大自然や人と会うことによって、人はまた変わってゆくことが出来るから」と言っていた。
日本の映画のように、テレビタレントなどに頼らない。脚本がしっかりと練られて、きちんと演技の出来る俳優たちがいる。言葉ですべてを説明することなく、映像で観る人に想像させるような、映画らしい映画を作り続けているイタリアを、改めてすごい国だと思える映画祭だった。

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