チョコレートドーナツ

舞台は1979年から80年代のカリフォルニア。
ルディは、あまり稼げない暮らしでも、ショーダンサーとしてゲイである自分に誇りを持って生きている。ポールは一度女性と結婚した後に別れて、親のあとを継いだが、世界を変えるために弁護士の仕事を自ら選び直す。そんなまったく違う世界のふたりが出会う。
ルディはある日、ヤク中の母親にかまって貰えずひとりで膝を抱えている、ダウン症の少年マルコに会う。
同性婚がまだ認められない時代に、ルディとポールはふたりで身体を寄せ合って生きている。なんとしてでも守ってあげたいと思う『家族』のために、同性愛に対する偏見や憎悪に満ちた社会に立ち向かってゆく。
主役のアラン・カミングの演技と歌が素晴らしい。音楽が言葉にならない想いを想像させる。
「血の繋がりだけが家族なのだろうか?」
これからの時代の新しい『家族』を、考えさせられる映画。
★チョコレートドーナツhttp://bitters.co.jp/choco/

自分を隠しながら生きること。

昨夜はMの昇進祝いで久しぶりに銀座の店に集まった。
Mは僕の同期。色白でぽっちゃりしているプランナー。入社以来20年一緒にいるけれども、僕はMのことをずーーーっとストレートだと思っていた。それは、飲み会の席などで、若い大学生の彼女に450万円貸したのに、そのお金が戻ってこないとか、その子とは、ネットの出会い系で知り合ったとか、およそだめ男が若い女に貢ぐ酷い話をしていたからだ。
それが3年くらい前に僕が赤いアプリを会社で広げた時に、Mがすぐそばに写っているのを発見して腰が抜けるくらい驚いた。
『あいつ、ゲイだったのか?今まで若い大学生の女子とばかりつきあっていると言っていたのは、大学生の男子だったのか?』と。
昨夜は、またMの若い恋人の話をみんながおもしろがって突っ込んでいた。僕はなんだかいたたまれなくなり、トイレに立ったり、遠くに席を外したりしてあえて聞かないようにしていた。遠くにいてもMは、周りに聞かれると、「彼女」と言う発言を繰り返していた。
もしかしたらそんなこと、Mにとってはわけのないことなのかもしれない。けれでも、会社に入って20年以上それを貫き通して、ずっと『彼女』と言い続けて来たであろうMのことを考えると、なんだか心穏やかではいられなかった。
僕はもう、こんな存在だからか、周りから恋人のことを聞かれることはまずない。聞かれても、絶対に彼女とは答えられない自分がいる。彼女などと言ってしまうと、嘘をついた自分が居心地よくなくて、後々罪悪感が頭をもたげてきて胸の中がもやもやでいっぱいになってしまうだろう。
誰もが、その人のセクシャリティのまま周りにも受け入れられる日はいつになったら訪れるのだろうか?
誰かを好きになるという純粋な気持ちさえ、ひた隠しにしながら生きるしかなかった、星の数ほどいるであろう僕らの仲間のことを想う夜だった。

縫い屋。

4年前くらいにトレーニングをはじめて、実は体重が62キロから72キロまで増えてしまった。
元々、若い頃は運動をしていたので筋量は増えやすいようなのだけど、脚周りが太くなるのに困っていた。何気なく穿いているズボンがきつくなり、撮影中にしゃがんだ時にGパンが音を出して切れた時には、小さな悲鳴をあげた。「きゃあ〜!」
さて、そんなこんなで、さらにまたGパンを破き、アーミーパンツを破き、自分の持っているズボンをことごとく破いてしまう日々の中で、いつも間に合わせのように会社のそばの洋服修理屋さんに持っていっていたのだけど、たとえば、5センチくらいの裂け目を修理するのに、3000円くらいとられていた。
そんなある日、家の近くの洋服屋さんに聞いてみると、原宿に『縫い屋』という安くてうまい洋服修理屋さんがあるというので、溜まった『裂けてしまったズボン』をひっさげて雪の降る日にのぞいてみた。
竹下通りから明治通りを渡ってずっとまっすぐ入ってちょっと右の小さなマンションの中にある縫い屋は、受付で修理してほしい箇所を見せながら、説明をすると、量にもよるけど1週間以内できれいに仕上げてくれる。しかも、銀座の修理屋さんの半分以下の値段なのだ。
場所がらなのか、デニムの修理もとても多いみたいで、どのような仕上げにするか、きちんと相談にものってくれる。1週間が過ぎて取りに行ったのが写真になるのだけど、とても綺麗に直してくれていると思う。
修理をしてまた身につける洋服って、なんて愛おしいものかと思う。長く穿いて身体に馴染んできたズボンは自分の身体の一部のように感じるから、より一層愛着を感じて手放せなくなる。
もし家に、直そうと思っているのにそのまま放ってある洋服があったら、一度縫い屋に持って行って相談してみるといい。意外と安く、綺麗に仕上げてくれると思う。
★縫い屋http://www.nuiya.org

オネエ全開のソチオリンピック。

おめでとう!でもその衣装…

トランスセクシュアル?

Misha Ge

週末にタックスノットに行ったら、みんなで男子フィギュアの話題で盛り上がったのだけど、金メダルを取った羽生君の、フリーの衣装はあり得ないくらいゲイテイストではないだろうか…?
この衣装を見ながら、「これはちょっと普通に考えたら着れないよね…」とみんなは頷いていた。笑
それに、写真2のような、あれ?この人、男性?女性?みたいな人とか…
そして、度肝を抜かれたのはこの写真3のウズベキスタンの代表のこの人『Misha Ge』。
どこを輪切りにしても1000%ゲイに見えるし、何よりも、自分のやりたいように思いっきり全開でオネエパフォーマンスを披露している。http://mashable.com/2014/02/14/misha-ge-winter-olympics/
ソチで、オネエ全開のパフォーマンスってある意味物凄い挑戦だと思うけど、そもそもオネエがオネエ全開でパフォーマンスをして国の代表になって活躍出来るオリンピック競技なんて、きっと男子フィギュアくらいしかないよね!
なんて話をしながら、タックさんと大笑いしたのでした。

おやじ

ヤン

レバー

ホルモン

食通の間でも有名な、青山一丁目にある有名なホルモン焼き屋さんの『おやじ』に、やっと行くことが出来た。
小道を一本入った路地裏にある小屋のような店は、客席数もそれほど多くはない。
席に着くなり、飲み物をすぐに頼まなくてはならないように聞いてきて、飲み物を頼むと、食事のオーダーをすぐに聞かれる。
肉を注文出来るのは、最初のみ。追加出来るのは、サイドデイッシュやご飯類と、カルビ、みすじのみ。あくまでも極上のホルモンがメインなのだ。
男二人だったら、6皿くらい選ぶことを勧められ、牛タン、レバー、ハツ、ヤン(センマイに近い)、ホルモン、ハラミ、最後にみすじを追加した。
僕は内臓やホルモンは、好んで食べることはない。そんな僕でも食べることが出来たのは、丁寧に焼き方と食べるタイミングも教えてくれるから。最上のホルモンを最高の状態で食べることが出来る。
おやじさんは、とても店員に厳しい。そして、お客さんにはどこから来たのか、いちいち訪ねる。愛想も良いし物腰は柔らかいけど、どこか客を品定めしている感じがある。
ホルモン好きには堪らない店かもしれないけど、僕はハラミやカルビやみすじを食べている方が好きなので、わざわざホルモン焼き屋にはもう行かなくてもいいかな?と思ってしまった。
★おやじhttp://s.tabelog.com/tokyo/A1306/A130603/13042753/

雪の日に聴く音楽。

東京は先週に引き続き、大雪の週末を迎えた。外苑の樹々は雪化粧に覆われ、まるで北欧かどこか別の国に来てしまったように美しい。
雪がしんしんと降る日には、部屋で無音で過ごすのが一番だろう。雪の降る静けさ、その非日常こそが贅沢だと思えるから。でもあえて音楽を聴くとすると、どんな音楽を聴こうか?
僕は今日、バッハを選んだ。
パブロ・カザルスのこのアルバムは、僕がまだ大学生の頃に出会った。ニューヨークが好きで何度も行っている時に、年末の寒い日に、ふと地下鉄の乗り換えで歩いている時に、無心でチェロを弾くお爺さんがいた。
上手いとか下手とかではなく、一心不乱に弾くバッハを聴きながら僕は彼の演奏に魅了されて、この人はいったいどんな人生を送ってきたのだろうか…?と考えた。
その後、何度か同じ乗り換えでその道を通ったけど、そのお爺さんには二度と会うことは無かった。
ニューヨーク滞在中(その頃はよく3週間くらい滞在していた)に、お爺さんが弾いていたバッハの曲を聴きたくなり、ニューヨークのヴィレッジの辺りのCDショップでこのアルバムを買い求めた。カザルスを選んでくれたのは、眼鏡をかけた髪の長い怪しいお兄ちゃんだった。(カザルスは、『私の生まれ故郷カタルーニャの鳥は、PEACE、PEACEと鳴くのです』という言葉を遺して、『鳥の歌』を国連で演奏したことも有名)
降りしきる雪には、バッハが似合う。
ニューヨークのSOHOのカーストアイアンの建築物にも、バッハが似合う。

人間のイメージするもの。

「この花、なんて名前だ?」
洗面所で歯を磨くKに問いかけた。
Kは必死になって5秒くらい考えて、
「すずらん!」と自信満々で答えた。
僕が笑いながら、「スイートピー!」と言うと、「やっぱり!」
松田聖子の歌の中で、好きな曲は、『赤いスイートピー』と『ガラスの林檎』なのだけど、ちょっと考えてみて、『赤い色のスイートピー』って、ほとんど見たことないなぁと思っていた。スイートピーはマメ科で豆そのものの花なので、白を基調に紫からピンク、もしくは黄色に転ぶその周りの淡い色が多いはずだから。
調べてみると、およそ8年前に品種改良で『赤いスイートピー』は出来上がったようだけど、この曲が出来た時はこの世界に『赤いスイートピー』は存在しなかったようだ。作詞家の松本隆は、頭に赤いスイートピーのイメージが浮かんだからそう書いたという。人間がイメージすることって、きっと現実化するのだろう。
スイートピーはプードルのように可憐な形状で、およそ男性にはあまり好まれないかもしれないけど、僕はこうやって1輪で、花の形状に注意がいくように飾るのが好きだ。
空に羽ばたくような翼か、羽衣のように見えて、神様の作る独創性に見入ってしまう。

Kがやってくる。

今週、Kが研修で東京に来ることになっていたのだけど、僕が日曜日くらいから少し風邪気味になってしまい、もし風邪をうつしてしまったらかわいそうだと思い、
「風邪をうつしてしまいそうだから、Kはホテルに泊まった方がいいんじゃないかな?」とメッセージを送ると、
K「T君が、一人でホテルに泊まってあげて!」
という返信が。僕をホテルに隔離して、自分は僕の家で過ごすという発想…
先ほど大分空港から、メッセージが来た。
「ひじきは長ひじき?芽ひじき?」
「豊潤は品切れだって」
「カボスは買っていくの?」
どうやら僕が好きな大分の特産品を品定めしている様子。
僕は僕で、明日の朝ごはん、何を作ろうかなぁと考えている。
本当はKは、「ご飯ならパンチがあればなんでもいい」くらいの子なんだけど…

身近にあって欲しい病院。

ちょっとした風邪などの時に病院に行っても、患者が多く午前中ずっと待って診察は5分、「後はお金を払って帰ってください。」みたいに多くの病院がなってしまっているのは、沢山の問題があるのだと思う。
今回、家のそばの病院を調べていたところ、前に検査をしたことのある女子医大の青山病院が外苑前駅のほぼ真上にあるのを思い出して、インフルエンザか風邪か調べるために電話をしてみた。
電話の応対はとても丁寧で、症状を細かく聞かれ、診察の予約は出来ないものの、何時頃来られるのか?など、親切な応対に驚いた。
実際に病院に行ってみると患者さんが少なく、10分くらいしたらすぐに診察室に呼ばれた。
先生の問診もとても丁寧で、たっぷりと時間をかけてこちらの話を聞いてくれる。
病院に行ってから診察をして、清算をして30分くらいだっただろうか。
僕が推測するには、この病院、駅の真上にありながら、ウラクプラセオという豪華な会員制の宿泊施設のビルの中に隠れているため、ほとんど通りを歩く人に知られていないのだと思う。
病院を訪れる患者は、何らかの病気で弱って訪れる。あまり長い時間待つことなく、親切で丁寧に診てくれるこんな病院がもっと身近に増えてくれたらいいのにと思った。
★東京女子医大付属青山病院http://www.twmu.ac.jp/AH/

family

人と話をすることが好きなので、若い友人ともたまにご飯に行く。
一緒にご飯を食べて飲みながら話を聞いていると、僕自身とても楽しいし、小さな相談ごともあったりして、その子が僕を、ちょっと”お兄さん”のように思っているのかもなあと思う。
昨夜、ベッドで本を読んでいたら、この春就職するQからメッセージが送られて来た。
「今度入る会社に提出する書類を書いているんですけど、Tさん、僕の緊急時の連絡先になってもらえませんか?」
僕はちょっと驚いて、そして、「いいよ!」と返信した。
今は核家族化が進んでいたり、両親が離婚していたり、親が先に亡くなってしまっている子どもたちも多いということを、改めて考えた。Qの場合は、お母様がもう亡くなられているのだ。
ベッドの中だったので、iPhoneで会社の郵便番号や住所などを調べて、メールで送ると、すぐに返信が来た。
「ありがとう!お母さん!」